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装備と魔法適性と適職

「「な、なんだぁこりゃぁ!!」」

 倉庫の灯りを点けると、ギィードとアルゴスが声を揃えて驚きの余り叫んだ。煩いが、普通はそうなるか。

「凄いわね」「凄まじいな」「ここまで有ると壮観ですね」「すごーい」

 ミレーユ、ルシア、マルタ、ロンの四名は唖然としていた。如何に美形でも、ここまで唖然とすると間抜け顔に見えるのか。

「話しには聞いていましたが、多いですね」「ここまで作る必要が有ったのか?」

 ベネディクトとペドロからは呆れを頂戴した。ほっといてください。

「え? これ全部、一人で作ったの?」

 ベネディクトとペドロの会話で、何かを察したクラウスは顔を引き攣らせていた。そうだが、何かおかしいか?

「拠点の近くで色んな鉱石が採掘出来た。物は試しで色々とやっていたら、大量に出来た。一人じゃ使い切れないから、好きなの持って行っていいよ」

 持って行っていい、と言うと今度は一人を除いて戸惑い、こちらに視線が集中する。

「機能が分からんと、何を選べばいいか分からんぞ」

 例外のペドロからのんびりとした質問が飛んでくる。肝が太いのか、顎髭を撫でながら呆れている。

「なら、ペドロは、何かリクエストはある?」

 機能が分からないと選べないと言うのなら、こちらで候補を出すのが良いだろう。その実例として、落ち着いているペドロに希望の武具を尋ねる。

「わしは医者だ。武器なんぞよりも、治す道具がいい」

 医者だから武器を拒むとは。存外、信念が強そうだな。治す道具と考えて、魔法行使補助に特化した杖を手に取る。見た目はメイスに見えるが、立派な短杖です。モーニングスター風のものもある。槍のように柄の長い杖も存在する。

 メイス風、モーニングスター風、先端に石をつけたタイプ、柄の長さの違う数種類の杖をペドロに見せる。

「この、ホーリーウォータースプリンクラーを頂いてもいいですか?」

 すると、横から見ていたマルタが尋ねて来た。許可を出すと、柄の長いモーニングスター風の杖を手に取った。ペドロは少し考えてからメイス風の柄の長い杖を手に取った。短杖だと武器に見えるからダメなのか? 内心でちょっと気になった。

「杖の機能は、魔法行使の補助。イメージした魔法が発動しやすくなる。これで怪我を治す魔法とかの練習をすればいいよ」

 機能について簡単に説明するが、何も試していない二人――と言うよりも全員に魔法の制約についても教える。

「簡単な魔法とか技能みたいな魔法には詠唱は要らない。勿論、魔法陣みたいなものも不要。使いたい魔法のイメージをそのまま詠唱として口にするだけで、色んな魔法が使える。ただし、イメージがはっきりと作れないと発動しないし、詠唱しようにも声が出なくなる。イメージを作る為に魔法名は有った方が良い。魔法の発動に関して分かっているのはこれくらい」

 既に一度聞いているペドロとマルタが感心している。どこまで試したんだと言う視線を感じるので、炎を例えに説明をする。

「ただの炎の塊でも、大きさで名称を変えた方がイメージしやすいでしょ?」

 右手に火球、左手に炎弾を出す。おお、と歓声が上がる。次いで、わいわいと考察が始まる。

「威力調整の為にも、名称は区別した方が良さそうだな」

「確かに、一々威力弱めとかの調整するのとか面倒臭そうだし」

「細かい調整が出来るようになれば不要かもしれないけど、出来ない内は必要になるか」

「でも、魔法の区分けの方が大変じゃないかな」

「区分けの手間を考慮しても、慣れるまではそうした方がいいでしょう」

「そうなると、慣れるまでが大変そうね」

「慣れれば問題はなさそうだな。――ククリ、一つ聞きたい」

 考察会話に交じっていたルシアに唐突に名を呼ばれ、首を傾げた。こちらも判明している事が少ないのに何が知りたいのか?

「自分がどういった魔法に向いているのか知る方法は有るか?」

「適性が知りたいの? 調べる方法はなくはないけど、思い付きで試した八種類からどれかって形になるよ?」

「構わん。向き不向きが分からなければ、修練に余分な時間を費やす事になる」

 ルシアは効率重視派なのか? 疑問はともかく、鑑定道具の金属板を手に取る。ゲームによくある『ステータスプレート』のような物だ。ただし、掌サイズではなく、学校で使うようなノートサイズだが。

 いくつかの鑑定機能を付けて、スマホサイズに小さく作り直して、今度一人に一枚ずつ配るか。

 このステータスプレートの横にスライドスイッチが有り、ここをスライドさせた人物の現在の到達地点を表示するようになっている。文字の色が個人の魔法光である。

 使い方を説明してルシアに渡し、その後、全員が自身の適性を見る事になった。

 その結果は、鑑定した順に次の通りである。


・ルシア 魔法適性 光 適職 剣士

・マルタ 魔法適性 水、風、光 適職 重拳闘士

・ミレーユ 魔法適性 炎、風、雷、光、闇 適職 祈祷師

・クラウス 魔法適性 炎、風、雷、光 適職 守護騎士

・ベネディクト 魔法適性 風、闇 適職 暗殺者

・ペドロ 魔法適性 炎、水、氷、光、闇 適職 治癒士

・ロン 魔法適性 炎、風、雷 適職 狙撃手

・アルゴス 魔法適性 風、雷 適職 槍術士

・ギィード 魔法適性 炎、水、氷、風、雷、地、光 適職 重戦士


 ちなみに自分は試したからか、全属性に適性が有った。適職は念の為作ったものである。

 全員が自分の魔法適性と適職を知った訳だが、一人だけ、鑑定結果に異議を唱えた人物が出た。全員に魔法適性が有って良かったと喜ぶ暇もなかった。

「これ、壊れていませんか?」

 そう、現役シスターのマルタである。何故異議を唱えたかと言うと、原因は適職である。

 適職に重拳闘士と出たのだ。拳で戦うシスターとは、お説教か?

 マルタの適職が表示された瞬間、全員の白い視線が集中した。皆思う事は一緒なのだ。シスターなのに、と。

 そのおかげで、ミレーユとベネディクトの意外な適職についてはスルーされた。

「あー、怪我を治す回復魔法は練習すれば使えるようになるんじゃない? 拳は使わなければいいんだし」

 一応フォローを入れる。ですよね、と冷や汗をかきながらマルタが同意する。確かに、と言う空気になり、それ以上の追及はなかった。決して、マルタの周囲を見る目が怖かったからではない。追求がない事を確認したマルタは胸を撫で下ろした。

 その後、全員の希望に沿った武器の配布が行われた。

 ペドロに医薬品はないのかと尋ねられたが、材料らしきものが見つかっていない為、作ってはいないと回答する。残念そうな顔をしていたが、仕方がないと諦めてくれた。

 空きの小瓶を何本か渡し、水の魔法で液体薬代わりになる物は作れたので試すと良いと伝える。目に見えて喜び、やる気を出していた。

 材料が見つからなかったので後回しにしていたが、時間を見て薬も作らないとだな。

 拠点を出て、集会場に戻る。

 魔法、技能、スキル魔法についてさらに講義を行っていると、時刻は午前二時半(日本時間)になろうとしていた。

 さすがにそろそろ寝ないと不味いので、名残惜しいがログアウトする事にした。学生組も、夕食の時間と言う事でログアウトする。

 半数以上がログアウトするので、今日はお開きとなった。

 別れの挨拶をし、拠点の寝室に戻り、ログアウトする。

 ヘッドセットを外し、息を吐いた。現実に戻ったからか、疲れが一気に出て来た。

「濃い連中だった」

 パーティメンバーを思い返す。日本人はいないが、年下ばかりだった。

 気を張る必要はなさそうだが、気は使いそうだ。

 やって来た眠気を堪えながらパジャマに着替えて、ベッドに潜り込む。

 細かい事は起きてから考えよう。いつもならベッドに入っても眠れるまでに時間がかかるのだが、今日はすんなりと眠れた。



第五話です。

カオスな状況ですが進みます。

次話で連投は終わりです。

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