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退職日に届いた荷物

更新はゆっくりです。

ある程度書き溜めてからの投稿になると思います。

これまでに投稿して来た永続転生記のプロローグを連載にしたものになります。

 坂月菊理が持つ、最も古い思い出はこの日から始まる。

 そして、全ての始まりはその荷物が届いた日だった。


 

 ブラック紛いだった会社の退職を、二年かけて如何にか実現に漕ぎ着け帰宅したある日、覚えのない宅急便が届いた。

 ネット注文は全てコンビニ受け取りにしているので、自宅に届く事はまずない。宛名は間違っていない。送り主に覚えもない。

「歴新社? ネットで調べれば出てくるかな」

 見た目の割にちょっと重い段ボールの荷物を自室に運び込み、スマートフォンを操作し、送り主についてネットで調べる。

 悪戯の類かと思いきや、検索に引っかかった。会社名で検索をかけた結果は次の通りだ。



 歴新社。(れきしんしゃと読むそうだ)

 最近になって設立された新しいゲーム会社らしい。

『新しい歴史』をキャッチコピーに、新技術を注ぎ込みオンラインゲームを製作した。

 現在、全世界で無作為にゲームテスターを選出し、ゲームプレイに必要なものを一式宅急便で送っている。


 随分と一方的だが、必要な物を身銭を切って送っている辺り、まだ良心は残っているのだろう。

 荷物を開けた人物が中身をネットに投稿していたので、画像を表示する。

 テスター選出の手紙、スマートフォンを使用したVRゲームに使うようなヘルメット型のヘッドセット、ゲームソフトのDVD‐ROMが一枚。説明書一冊。最新のゲームミング用ノートパソコン一式、等と色々入っている。請求書は入っていない。

 だが、最も気になったのは、何に使うのは不明な宝飾である。ガラスのように透き通っているので、見た目は水晶のようだ。立方体のペンダントトップに加工されている。

 どうするかな……

 部屋着に着替えながら、未開封の荷物を見つめる。

 開封するか、否か考える。

 個人的に何となくではあるが、あの宝飾が気になる。

 ゲームの配信日までには、まだ時間がある。会社は退職済。健康保険や厚生年金、雇用保険の手続きなどを行うにしても、必要書類が会社からまだ届いていない。次の仕事が決まるまで、まだ時間がかかるだろう。ダラダラと過ごすよりかは、何かやった方が良いよなぁ。でも、タブレットでソーシャルゲームを二つ程やっているのに、追加してどうするんだ。怪しいんだから受け取り拒否すればいいんだけど、運送会社の営業所が家から遠い……

 などと、理由が次々と出て来る程度には興味は有る。

 後悔は先に立たないと言うし。請求書が入っていないと言う事は、料金は取らないと言う事なのだろう。そもそも、謝罪文が入った手紙が入っているのだから、問題はない筈。

 そう自分に言い聞かせ、カッターを片手に荷物の開封を行った。



『浮遊大陸』

 それが説明書に書いてあった、そのオンラインゲームの名前だった。

 説明書はありがたい事に、日本語版だった。日本人の誰かが翻訳を行ったのか、直訳でよくある変な日本語になっていない。

 中身を全て取り出し、床に並べて行く。並べる際にちょっとしたトラブルがあったが、並べ終えてスマートフォンで写真を一枚撮る。証拠はちゃんと残しましょう。

 改めて段ボールの中を調べる。請求書の類は入っていない。説明書を読み、料金についての項目を読む。ネットゲームで良くある『通信費はご自身で負担お願いします』と言った感じの文章があるものの、ゲームプレイに関する料金は発生しないと明記されている。つまり、無料。これは重要である。

 今度こそ、改めて届いた荷物の一式を見る。

 ネットに投稿されていた画像と同じ品々が目の前に並んでいる。

 そう、何故かやたらと気になるあの水晶のような宝飾も目の前に在る……のだが、これがちょっとしたトラブルの原因であった。

 硬化プラスチックケースに入った宝飾のケースを掴み、妙に冷たいものを感じて手を離してしまった。

 一時期パワーストーンを集めていたからか、力のある石に触れると、手が痺れたり、氷を掴んだ時のような冷たさを感じるのだ。

 ロシアに落ちた隕石の破片(鑑定書付)をケース越しに触った時も、手が妙に痺れたのだ。今回も直ぐに手を離したが、手が痺れて来た。

 パワーストーンの類なのか。今度はタオル越しに掴む。タオル越しにも拘らず、冷たさを感じる。手の痺れも強くなったが、写真撮影後に段ボールに戻す。

 何度も触りたくはない。そんな感じになる妙な物品だった。

 続いてヘッドセットを見る。とあるライトノベルのオンラインゲームに出ていたかのような、フルフェイスヘルメット型のヘッドセットである。ゲームオーバーになったら、レンチンの要領で脳がダメになるとかないよね? と不安になりながらも、不審な所がないかチェックする。一ヶ所奇妙な正方形の窪みがあったが、ヘッドセットの説明書には、宝飾をセットする場所とあった。それ以外に不審な個所はなかった。試しに被ったが、被り心地はよかった。

 ただし、何度も宝飾に触りたくなかったので、ヘッドセットにセットして置く。

 


 不足品のない荷物。妙な宝飾。

 妙な気味の悪さが有るが、今回は好奇心を優先する。

 好奇心は猫をも殺すと言うが、自分は猫になるのだろうか。そこだけ気になった。

 

ここまでお読み頂きありがとうございます。

需要の有無が判らない過去編です。読んで頂けるとありがたいです。

投稿は迷いましたが、お蔵入り状態にしてもアレかなと思い正規投稿しました。

数話溜まっているので連投になります。


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