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憂憂、鬱鬱、最終電車。  作者: 阿片頭梔子
四月
9/9

七月、バイト先にて。2

「そういえば君って浪人生なんだっけ?」


 煙草の補充作業をしているとき、ふと聞かれて言葉が喉に詰まった。そのまま黙っていると、僕の沈黙をくみ取るように言葉を続ける。


「まぁ、人生って長いしさ!一年二年の遅れても何てことないよ。でも、週五回で朝入ってくれてるけどさ、勉強時間はしっかりとれてるの?」

「、、、まぁそれなりに勉強はしてると思います。多分」

「多分て!まぁ俺の人生じゃないからいいけどさ、親御さんに心配かけんなよ~!」


 これがこの人なりの優しさなんだろうと理解はしていた。理解できるけれど、身体が硬直してしまった。

実際バイトを始めると言った時は、全員から反対された。塾の先生には勉強面での影響の心配。両親には僕の精神面での心配をされた。それでも、僕がバイトを始めたのは惰性でも何か社会の役に立っているという実感が欲しかったからだった。


 そこからバイト終わりまでの記憶は全くない。業務上全く問題がなかったようにも、何かやらかしをしたような気もしていた。バイト先での「人生は長い」という言葉が反芻していた。

 七月の終わりというのは本当に蝉がうるさい。うるさい。気持ちが悪い。熱された鉄板のようなコンクリートが僕の憂鬱以外全てを焼き尽くす。自販機で買ったコーラもろくに手をつけず、温くなってきていた。

そうして歩いていると駅まで辿り着いた。ここからいつものように電車に乗って、塾へ行く予定だった。


「月下駅〜月下駅〜お降りのお客様は…」

いつも通りアナウンスが鳴った。足を数歩前に踏み出すだけでよかった。

僕は電車に乗ることが出来なかった。

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