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08 殲滅開始




「まずは頭数を減らしていくか」


 シクロは言うと、ミストルテインを構え、連続で射撃する。

 ダンダァンッ! と音を立て、弾丸が魔物たちを狙って飛来する。


 魔物たちは次々と頭を撃ち抜かれて絶命するが――そのうち、ヘルプラントを狙った弾丸だけは、直撃したにも関わらず、命を奪うことは出来なかった。


 弾丸に撃ち抜かれたヘルプラントの傷からは、寄生虫の成体――ムカデに似た生き物が溢れ出て、何らかの液体を吐き出して傷を塞いでゆく。


「……チッ。傷付けるだけじゃあ効き目が薄いらしいな」

「シクロはんは、他の魔物の数減らすの優先した方が良さそうやな」


 カリムは言いながら剣を抜く。


「カリムもヘルプラントはきついんじゃないのか?」

「いや? ウチにも隠し玉があるんやで」


 言うと――カリムは剣を構えたまま瞑想し、集中力を高める。

 そして、次の瞬間、呟きと同時にスキルを発動する。


「――『紅焔剣舞』、いくで」


 すると、途端にカリムの手元、剣を握る部分から炎が溢れ、剣を包み込む。

 そして炎が剣を完全に包み込んだ後は、そのまま炎が三つに分かれ、剣を覆う炎と、二本の炎の剣に分離する。


 そうして準備を終えたカリムは、前へと駆け出す。

 そして、まるで舞を踊るような流れる動きで次々と剣を振るう。


 また、カリムの剣閃に合わせ、宙に浮かぶ炎の剣たちも舞い踊り、独立して周囲の魔物を切り裂き、燃やしていく。

 瞬く間にカリムはヘルプラントの群れまで到着すると、次々と切り捨て、同時に炎による熱で焼き殺し、内部の寄生虫ごと死滅させていく。


「なるほど、そういうのもあるのか」


 シクロはカリムの技に感心しながら、周囲の魔物――特にこの場から逃げ出そうとしている魔物を優先して殲滅していく。


 そして――ヘルプラントへ有効打を持っているのは、カリムだけではなかった。


「いくわよ! フレイムピラーッ!!」


 まず声を上げたのはアリス。カリムが攻め入った方とは異なる範囲へ炎の弾丸を放つ。

 放物線を描きながら飛来した弾丸は、直撃すると途端に炎の巨大な柱を立ち上げ、ヘルプラントの全身を包み、炭になるまで焼き尽くす。


 そんな高火力の魔法を、アリスはバンバンと連続で使っていく。広範囲魔法でないにも関わらず、殲滅速度はカリムとそう変わらない。


「私も……いきますっ! ホーリーレイ!」


 続いて、ミストが魔法を放つ。

 神聖属性の光線が、上空から次々と降り注ぐ。魔物達は無差別に貫かれて――そのまま体内の寄生虫を一気に浄化され、滅されていく。


 寄生虫は死から逃れようと、宿主から膨大な生命力を吸い上げる。そのため、聖なる光線が一発直撃しただけでほとんどの魔物が即死していく。

 当然、体内に巣食う寄生虫も例外なく全滅である。


 そうしてシクロとミストが協力し、ヘルプラント以外の魔物を広域殲滅した効果もあり、残るは株分けにより異常繁殖をしたヘルプラントのみとなった。


「――そんじゃあ、ボクもここらで必殺兵器のお披露目といこうかな!!」


 言うと、シクロはミストルテインを一度消して、両手を空にする。

 その状態で、シクロは時計生成を発動しつつ、身構える。


「こい、『フランベルジェ』ッ!!」


 シクロが呼ぶと――十秒ほどの時間を掛けて、巨大な魔道具が生成される。

 形状としては銃に近いが、サイズが桁違いであり、全長は1メートルを超える。

 さらには持ち手の上部に巨大なタンクが装着されており、重量感もずっしりとしていて、ミストルテインとはまるで異なる様相の武器であった。


「ご主人さま、これは?」

「弾丸じゃなくて、燃料を着火しながら敵に吹き付ける。火炎放射器っていう武器だよ。中の燃料も――もちろんスキルで生成済みだッ!!」


 言うと、シクロは火炎放射器フランベルジェのトリガーを引く。

 すると――タンク内に水時計生成の応用で生み出された液体燃料、いわゆるナパームに近い物質が放射口へと送り込まれ、勢いよく噴射される。


 着火された燃料は炎をまといながら、ヘルプラントへと飛翔。

 ヘルプラントの身体に粘り気のある燃料がまとわりつき――焼き尽くしながら、全く消える様子の無い炎が燃え続ける。

 転がったり、触手で炎を消そうともがくヘルプラントも居るものの、粘性の高い燃料である為、むしろ逆効果となり炎が燃え広がってゆく。


 結果――たった一度の射撃で、数十体のヘルプラントを巻き込み、燃やすことに成功する。


「ハハハ! これは想像以上に効いてるみたいだなッ! このまま殲滅してやる!」


 そうして――シクロもヘルプラントの殲滅の為、フランベルジェで次々と標的を燃やしていく。

 やがて暴れるヘルプラントは、無我夢中に逃げようとする内に、森にまで燃料をこすり付けてしまう。


 そのままだと森を燃やすことになるのだが、シクロは慌てていなかった。


「おっと――山火事にするわけにはいかないな!」


 言うと、シクロは時計生成を発動。燃料もまた時計生成で生み出したものである為、スキルの効果により消すことも可能である。

 シクロは森に燃え移った分の燃料だけ、すぐに消失させる。


 すると、火元となる燃料を失った炎は、一瞬だけ揺らめいた後、すぐに消える。森の木々は生きた木々である為、僅かな間炎がちらつく程度では燃え広がることは無い。

 無事、フランベルジェによる延焼、山火事は回避された。


 また、シクロと同様にアリスとカリムも延焼には気をつけていた。


 まず、威力を最大限優先し、ヘルプラントが暴れるのを防ぐ目的で、一瞬にして絶命させている。

 そして炎が延焼するよりも先に、発動した魔法を終了させることで火を消している。

 結果、カリムの炎剣もアリスの炎の柱も、山火事を起こすようなことにはなっていなかった。




 そうして――四人の殲滅作戦により、その場の魔物は短時間で殲滅された。

 地面に埋まっているヘルプラントの根までも、アリスの魔法が念入りに焼き殺し、この群れについては完全に焼却処分が完了した。


「――さて。ここはこれで良いにしても、他にも群れがあるかもしれないんだよな?」


 シクロが言うと、アリスは頷く。


「うん。可能性は低いとは思うけど。寄生されたヘルハウンドを、都合よく捕食したヘルプラントが居れば同じようなことに成ってる可能性はあると思う。多分、寄生されたヘルプラントの方が誘引の力が強いから、ヘルハウンドもほとんどここに集まってたはず。だから、本当に低い確率の話だよ」

「そうか……なら、狩り残したヘルハウンドを焼いて処分しつつ、念の為にまた森の探索だな」


 シクロの言葉に、他三人も同意して頷く。


 こうして――寄生されたヘルプラントを中心とした異常な魔物の群れの殲滅は終わり、探索が続けられることとなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで順調なのが逆に怖い|ω・)…
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