06 時計使い
「では、次はボクをお願いします」
「分かった。祈りを捧げなさい」
そうして、いよいよシクロの番が来た。
シクロは水晶の前に立ち、スキル選定の神に祈りを捧げる。
(どうか、マリアとアリスにも負けないような、特別なスキルが手に入れられますように)
と、強く願う。
すると――シクロの身体を、強すぎるぐらいの光が包む。
その光は、マリアとアリスの時よりも強い。
「なッ!? またなのかッ!?」
司祭が驚く。が、シクロは祈りをやめない。
光に包まれてからも、さらに強く願う。
すると――さらに別の色の光が、より強くシクロを包み込んだ。
その光は教会の中から溢れて、周囲一体をまばゆく照らすほどの光であった。
「な、なんだこれはァッ!? 前代未聞だッ!!」
司祭が今日一番の驚きの声を上げる。
しばらく光が輝き続け、やがてシクロの光はゆっくりと収まっていく。
そうして光が消えた後――水晶にはしっかりと文字が浮かんでいた。
「ぬ? こ、これは……?」
司祭は、なにやら困ったような声を漏らす。
シクロは気になって、司祭に尋ねる。
「あの、司祭様。ボクのスキルは何だったんでしょうか?」
「うむ……。待ちたまえ。このスキルは、そうだな……」
言い淀んだあと、司祭は一冊の本を開く。
その中に目を通した後、頷く。
「やはりそうか。このスキル、間違いない」
「えっと、それでなんという名前なんですか?」
シクロに何度も問われて、ようやく司祭は答える。
「そう――このスキルは『時計使い』である」
「はい?」
「その名の通り。時計を扱う者、という意味の『職業スキル』だよ。それも、恐らくは史上初めて確認された、ユニークスキルでもある!」
言われて、シクロの胸の中には喜びと困惑が同時に浮かんだ。
ちゃんと『職業スキル』が貰えたことに加えて、『聖女』や『賢者』にも負けない希少なスキルであることは喜ばしいことだと言える。
けれど――ある点が一つ、どうしても気になった。
「……でも、司祭様。『時計使い』なんですよね?」
「うむ、そうだな」
「……それって、何をするスキルなんですか?」
「――さっぱりわからん」
と、司祭が完全に丸投げしてしまう。
そう、つまりシクロは、どんなことが出来るのか、何の役に立つのか……それすらもよく分かっていない、謎のスキルを手に入れる羽目になったのだ。
この先、自分はどうなってしまうんだろう、と不安になるシクロであった。