表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/200

12 母親の苦難




 その後――サリナは近所の住人にも話を聞き、状況を理解する。

 シクロが強姦魔として捕まったこと。

 それにより家が空き家となった為、国が処分する為に不動産屋に渡したこと。

 そして、現在の住人に買われた。


 つまり、自分が今は住まう家もない状態であるとようやく理解したのだ。


「どうしましょう……シクロちゃんのことも心配だけど、とにかく今はどこか住む場所を見つけないと」


 シクロの罪については、絶対に冤罪だとサリナは考えていた。どれだけ証拠が上がっても、シクロのことを信じるつもりでいた。

 しかし、シクロは既に裁きを受け、王都には居ない。


 そしてサリナ自身、今は宿無しである。シクロを心配したところで、何の助けにもならない。

 むしろ、サリナの方が助けを必要としているような状況である。


 こうしてサリナは、トボトボとあるきながら、どこか安宿で一晩過ごそうとこの場を離れていく。




 そして翌日。サリナは安宿で一晩を過ごした後、不動産屋へと向かう。


「……申し訳有りませんが。この条件でご紹介出来る物件はございませんね」

「そうですかぁ。分かりました……」


 トボトボと、サリナは不動産屋を後にする。


 既に伯爵家の使用人を辞めたサリナは現在無職。しかも住まい無し。

 貯金もそう多くは無い。


 そんな住所不定無職の女に紹介できる物件など、まともな不動産屋には存在しなかった。


「なら、まずはお仕事ね! 宿ぐらしでも、簡単なお仕事なら出来るはずだわっ!」


 そうして、サリナは改めて気合を入れ直す。

 宿暮らしをする人間も王都には少なくない。そうした人間も定職を持っている場合はある為、サリナでも働ける場所はあるはずだった。


 そう――あるはず、だった。




「……強姦魔を育てた親を雇うつもりはないね」

「そう、ですか」


 サリナはすっかり意気消沈した声で、拒絶の言葉を受け入れる。

 今回、とある食堂にて配膳、接客業の募集が張り出されていた為に面接を受けた。


 だが、結果は惨敗。

 これまでに、他にも六軒の求人を巡ったサリナ。だが、どこでも答えは同じだった。


 シクロのことは、聖女マリアが関わっていたこともあり、王都ではかなりの噂となっていた。

 当然悪い噂であるため、多くの人間がシクロを、そしてその母親であるサリナを良くない目で見ている。


 また店側がサリナの立場に同情的であっても、客の印象の悪さを考えたら雇えない、という結果に終わった。


 そうした理由から――既に日も暮れようとしているのにも関わらず、サリナは住所不定無職のままであった。


「本当に、どうしようかしら……」


 伯爵家に引き返し、再度雇用してもらう、という手も無くはない。

 だが、もし雇用してもらえなかったら、馬車での移動にお金を使っただけになる。

 ただでさえ残りの財産は少ない。大切にしなければならない。


 何よりも――シクロがあまりにも悪く言われており、それが悲しかった。

 すっかり心も弱っており、冷静な判断力も失われつつあった。


 サリナは――窮地に立たされているのであった。

お読みいただきありがとうございます!


本日の連続投稿はこの話で終わりです。

明日からも1日7回、9月5日まで連続投稿が続きますので、是非お楽しみください!


この作品を面白いと思っていただけた方、もっと読みたい! と思っていただけた方は、よろしければブックマークをして評価ポイントの方をポチっと押していただければ嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで読んだ時間返してほしいと思う作品に出会ったことがなかったので貴重な体験ができましたありがとうございます
[気になる点] さすがに、ざまぁまでの溜めが長すぎる それに、性的な制裁はちょっと違うと思う [一言] う~ん・・・ちょっとバランスが悪いかな
[一言] さすがに展開遅い上胸糞悪い、いい思いさせないで主人公がザマアしないからよむきがなくなってくる。書き直したほうがいいと思う。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ