02 スキルの確認
「――さて。現状の『時計使い』のスキルの内容は、こんなところかな」
シクロは壁に文字を書き込み終えると、そう呟いて壁から離れる。
壁に書き込まれていたのは――現時点で、シクロが実験をしたことにより判明している時計使いの能力一覧であった。
☆日時計
生成:影を作るための棒。棒の周囲に光源。(生成時の棒との相対的な位置は固定。光源の位置は実在の太陽の位置を模している?)
操作:棒から落ちる影、および生成した光源の操作。
停止:陰、光源の固定。
感知:なんらかの光源により、陰を落としている物体すべて。
鑑定:なんらかの光源により、陰を落としている物体すべて。
収納:棒状の物体(それともしかしたら光源となりうるものも?)
☆水時計
生成:水とその器になるものの生成。(器が盾に使える?)
操作:水の操作。(水以外は操作できなかった。実力不足?)
停止:水の流れの停止。水の氷結!(予想外! すごい!)
感知:流れのある液体の感知。(生物も血の流れにより感知できるっぽい)
鑑定:液体の鑑定。液体の器になるものの鑑定。(自分の血や怪物の血も鑑定できた)
収納:液体の収納。液体の器になるものの収納。
☆砂時計
生成:砂の生成。(砂利ぐらいまでなら砂扱いでOK。小石は無理)
操作:砂の操作。
停止:砂の固定。
感知:ある程度の量がある砂の感知。
鑑定:砂の鑑定。
収納:砂の収納。
☆腹時計
生成:お腹がぐぅっと鳴る。(くだらない!)
操作:空腹度の変更、それによる栄養状態の変更。
停止:空腹度の固定、それによる栄養状態の固定。
感知:食事を取る必要のある生物の感知。
鑑定:食事を取る必要のある生物の鑑定。(特に空腹度と栄養状態はよく分かる)
収納:栄養、エネルギーのストック。(キューブ状の物体として身体からエネルギーを抜いて収納空間に保存出来る。エネルギーキューブと名付ける。他人にエネルギーを分け与えることが可能?)
といった様子で、シクロは現状の考察も含めて、壁面に書き込んでいた。
こうして現状の能力を記録しておくことにより、後々に能力が成長した時、違いがわかりやすくなる。
また、能力の変化に応じて内容も書き足していくことで成長を実感しやすくもなる。
「これが、修行でどう進化していくのか。今から楽しみだな!」
ニンマリと笑みを零すシクロ。
こうして――シクロが再起を目指して立ち上がった一方で。
王都の方では、シクロが居なくなったことにより狂った歯車が、すこしずつ、影響を出し始めていた。