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08 その頃の王都にて




 シクロが最悪のダンジョンにて、怪物を撃破していた頃。

 王都のある一角――『ミランダ薬品店』にて。


「――いつもすみません、ブジン様」


 ニコニコと笑顔を浮かべながら接客をするミランダ。そして対する客は――シクロを陥れた張本人、ブジン=ボージャック。


「いえいえ。犯人は捕まったとはいえ、まだまだ心配ですから。はっはっは」


 そんなことを言いながら――ブジンは、幾度と無くミランダの所へと通い詰めていた。

 理由は単純。シクロによって邪魔をされてしまった、特上の美人であるミランダを襲うという計画を再び実行する為だ。


 人払いをして襲うという手口は、シクロを嵌める為に公然となってしまった為、もう使えない。

 だからブジンは、今回は搦手で行こうとしていた。


「それよりも、ミランダさん。例の話、考えてくれましたか?」

「えっと……ブジン様のお父様のご領地で、薬品店を開く、という話ですよね?」

「ええ。ミランダさんのような優秀な薬師が、ぜひとも我が領内に欲しいのです」


 そう。今回の計画もまた、単純かつ権力を利用したものである。


 ミランダを自身の領地へと誘い、何かしらの理由で王都を離れさせ――その道中で何者かに襲われ、行方不明となる。

 そうすれば、誰もブジンを疑いはしない。


 これまで王都で続けていた強姦と違い、今回はとびきりの美人を誘拐するのだ。

 ブジンの気合の入りようもまた、大きく違っていた。


 この計画が実行可能となったのは――シクロの冤罪事件の縁もあって、勇者レイヴンのコネも使えるようになったというのも大きい。

 今まではコソコソと、小金を使って小悪党を利用するのが関の山であった。

 それが勇者との繋がりを得たお陰で、かなり大きな規模の計画でも実行可能となった。


 その第一の標的が――他ならぬ、ミランダであった。


「魅力的なお話ですけど……このお店があることで、助かっているとおっしゃってくださるお客様もたくさんいますから。今は、王都を離れることは考えておりません」

「そうですか。それは残念です」


 諦めたようなそぶりを見せるブジン。しかし、実際はまだまだ諦めるつもりなどない。


「それでは、一度我が領を訪れてみる、というのはいかがですか? 良い街ですから、きっと気に入って頂けるはずです!」

「そうですねぇ。――最近は色々ありましたし、気分転換に、というのも悪くはないかもしれませんね」


 ミランダの色よい返事に、ブジンはここぞとばかりに畳み掛ける。


「その時は、私が馬車から何まで、全て手配させていただきますよ。ミランダさんには、お世話になってばかりですからな!」

「うふふ。お世話になっているのはこちらですよ。いつもわざわざ、こんな遠い店まで備品の買い足しに来てくださって、ありがとうございます」


 こうして――ミランダはブジンと、着実に親しい間柄となっていた。

 まさかこのブジンが、ミランダが言う『色々』の元凶、真犯人であるとはしらずに。

お読みいただきありがとうございます!


本日の連続投稿はこの話で終わりです。

明日からも1日7回、9月5日まで連続投稿が続きますので、是非お楽しみください!


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