06 連絡事項
「さて。では改めて――私がここのギルドマスター、レギアス=サンドリアだ。叙爵の件、おめでとうシクロ君」
「はい、ありがとうございます――レギアスさん」
ギルドマスター、レギアスは改めて名乗り、シクロの叙爵を祝う。
「そして叙爵式とその他手続きについてだが、王宮からの連絡は私を通して伝えさせてもらう。王都滞在中の宿泊先は決まっているかね?」
「いいえ。この後、どこか良いところを選ぼうかと」
「であれば、オススメの宿を手配しよう。至急の用件がある場合は、そちらに連絡させてもらう」
「お願いします」
シクロ達の宿泊先も決まり、これで叙爵式までは次の連絡を待つだけとなる。
「では――他に何もなければ、今日はここまでにしておこう」
「あ、一つだけお願いしたいことがあるんですが」
話が終わろうとした段階で、シクロが口を開く。
「実は、イッケーメン伯爵との面会を希望していまして」
「なるほど。その仲介をしてほしい、ということだね?」
「はい、そうなります」
「分かった。伯爵はギルドとも懇意にして貰っているから、すぐに連絡はつくだろう。宿で待っていてくれ」
「ありがとうございます!」
シクロは改めて、感謝の意味を込めて頭を下げる。
「では、他に無ければまた後日。次は王宮からの連絡が来た時になるだろう」
「はい、よろしくお願いします」
こうして、ギルドマスターのレギアスとの面会は無事終了した。
その後、シクロ達は王都を軽く散策した後、ギルドの手配した宿で一泊する。
翌日。ギルドからの連絡が届き――早速、イッケーメン伯爵との面会の都合が付いたとのことだった。
今日の午後、ギルドの応接室で面会可能とのことであった。
連絡の為にギルドから寄越された職員に、了解の旨を伝えるシクロ。
「――ボクはギルドで伯爵と面会するけど、皆はどうする?」
「ウチはせっかくの王都やし、もうちょい見て回りたいな」
カリムは別行動を望む。
「偉い人は苦手~。お兄ちゃんに任せるね!」
「……はぁ。ミストはどうする?」
アリスの自由過ぎる発言にため息を吐きつつ、シクロはミストに訊ねる。
「できれば、カリムさんに付いていきたいです。まだ王都の地理にも明るくないので……」
「ミストは努力家だな」
微笑みながら、シクロはミストの頭を撫でる。
それを羨ましげに、口を尖らせて見つめるアリス。
「――よし、じゃあ今日の行動はこれで決定だな!」
こうして、シクロだけがイッケーメン伯爵との面会に向かうこととなった。