04 久々の王都へ
ノースフォリアを発って一日半。シクロ達は王都へと到着した。
まずは到着したことを冒険者ギルドに報告。その後、ギルドから王宮へと連絡が回り、後ほど叙爵式についての返事がある手筈となっている。
故に、シクロ達はまず冒険者ギルドを目指した。
「王都の冒険者ギルドか……そういえば、初めて行くことになるな」
「そうだったんですか?」
シクロの呟きにミストが疑問を返す。
「ああ。日々の暮らしで、仕事で精一杯だったからな。アリスの様子を見に行くとか、そういうことを考える余裕も無かった」
見覚えのある王都の街並みを眺めながら、シクロはしみじみと言った。
「――まあ、その辺りは今は良いんだ。さっさと用事を済ませよう」
こうして一行は、真っ先に王都の冒険者ギルドを訪問する。
ギルドに到着すると、シクロは受付に向かい、ギルドカードを提示する。
「SSSランクの冒険者、シクロ=オーウェンだ。叙爵の手続きと式の為に王都へ一時的に訪れている。王宮か、ノースフォリアの冒険者ギルドから連絡が来ていると思うんだが」
シクロの言葉と、研修資料等でしか見たことの無い高ランク冒険者を示すカードに、受付嬢は目を見開いて驚く。
「か、かしこまりました! 上に確認してまいります!!」
言って、受付嬢は席を立ち、ダッシュで奥へと姿を消した。
少し待っていると、また別の女性がシクロ達の所へと現れる。
「SSS級冒険者のシクロ様、及びパーティ『運命の輪』のメンバーの皆様ですね。私が当ギルドのサブマスターです。――ギルドマスターとの面会の準備が出来ておりますので、こちらへどうぞ」
と、女性――サブマスターの言葉。
これに従い、シクロ達は案内されるがまま、ギルドの奥へと通される。
そうして案内された場所は、ギルドマスターの執務室そのものであった。
真新しい木材で建築、修復されたと思われる領域とそうでない領域の境目があり、アリスが起こした爆破事件の跡であるとはっきりわかった。
「――ギルドマスター。お連れいたしました」
「ああ。入れてくれ」
ノックの後に告げられたサブマスターの言葉に、室内から返事があった。
サブマスターはドアを開き、シクロ達を室内へと招き入れる。
シクロを先頭に、全員が室内へと入る。
すると――ギルドマスターの尖い視線が、まずシクロを射抜いた。
「ようこそ。SSS級冒険者……『時計使い』のシクロオーウェン君」
何かを試すような、含みのある声でギルドマスターがシクロを出迎える。