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01 王都へ出発




 魔王との会合を終えて数日後。

 いよいよ、シクロが叙爵の為に王都へと向かう日がやってきた。


「いよいよだね、シクロ君。全て任せきりになってしまうが、よろしく頼むよ」

「はい、安心して待っていてください、デイモスさん」


 シクロは領主邸にて、デイモスと旅立ちの挨拶を交わす。


「ところで、本当に馬車の手配はしなくて良かったのかい?」

「ええ。ちょっとした魔道具……というか、もっと大掛かりなものですが、移動に便利なものを開発したので」

「ほう、それは興味深いね」


 デイモスが言うと、シクロはニヤリと笑みを浮かべて問う。


「せっかくですし、見ますか?」




 ――デイモスを連れ、シクロは領主邸の庭に出た。


「時計生成――『ファーヴニール』!」


 シクロは正面に手を翳し、スキルを発動させる。


 すると、瞬く間に複雑な魔道具が組み上がってゆき――最終的には大型の馬車ほどの大きさの物体が生み出された。


「こ、これは……まさか『自動車』かい!?」

「はい。実はディープホール攻略後から随分と調子が良くて。設計が捗るものだから、既存の武器の改良ついでにこんなものまで作っちゃいましたよ」


 シクロが生み出したのは『自ら動く車』という意味を込められた、最新鋭の魔道具。自動車であった。


 元は馬に引かせていた戦車をゴーレムに。そしてゴーレムから自走式にと改良を重ねたものが自動車の起源である。

 そうして生み出された自動車の技術は民間にも流れたが、大量の魔石を必要とするという欠点があり、民間の移動手段として普及することは無かった。


 現在はごく一部の上流貴族や大富豪が、限定的な移動に使うのみであり、それ以外は本来の使い方、つまり戦場での戦車としての使い道が主となっている。


 そうした理由から自動車は非常に希少であり、代わりに性能は高く、戦場でも重宝されている。

 そのような代物が目の前に突如現れた驚きから、デイモスは声を上げたのであった。


「自動車って……それを動かす為に必要な魔石はどうするつもりだい?」

「もちろん、ボクが生成しますよ。何なら、自前の魔力で動かすことだって出来ますし」


 一般的な冒険者の魔力では、数分でも動かせれば御の字といったところ。それほどまでに、魔石を動力とする自動車は魔力を必要とする。

 故に自動車は、希少な鉱山やダンジョンから産出する、ごく一部の上質な魔石を動力に使わねば実用不可能なのだ。


 それに乗って、しかも自前の魔力で王都まで旅をするつもりでいるシクロに、デイモスは呆れていいのか、驚けばいいのか分からなくなった。


「……君が特別だということを、改めて認識させられたよ」

「あはは。驚かせられたなら何よりです。せっかくですし、中も見ていきますか?」

「いや、これ以上は疲れが好奇心を上回る。遠慮しておこう」


 こうして、自動車『ファーヴニール』の予期せぬお披露目の後。

 シクロ達一行は王都へと出発するのであった――のだが。


 パーティメンバーは、デイモス以上の驚きを持って門出を飾ることとなる。


お久しぶりです。投稿再開したいと思います。


十分な書き溜めが出来るまで投稿しないつもりでしたが、行き詰まっている状態でして、このままだとしばらく投稿が無くなりそうだと感じたため、とりあえず出来ている分だけでも少しずつ投稿していこうかと思います。


しばらくは週1回の投稿を続けていきますので、よろしくお願いいたします。


また、現在当作品『時計使い』は書籍版一巻が好評発売中です。

そしてコミカライズ版も、現在コミックライド様にて連載中です。


どちらもぜひお手に取っていただければと思います。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] シクロの母親と幼馴染の親は現在どうなっているのか?
[良い点] 待ってました! コミカライズの絵師さんの画力ヤバいですね、おめでとうございます!
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