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28 攻略完了




 ――十分な休息をとった後。シクロ達は、いよいよディープホール攻略の最後の段階に突入する。


 最深部を守っていたであろうボス、断罪神を撃破した。

 それはつまり――このボス部屋の先に、ダンジョンの核となっている『ダンジョンコア』が存在することにもなる。


 実際に、断罪神と戦った部屋の奥には、さらに奥へと続くと思われる門が存在していた。

 恐らくは、その先にダンジョンコアが存在しているものだと考えられた。


「よし――じゃあ、最後の仕上げに行くか!」


 シクロが仲間の三人に呼びかける。


「いよいよ、って感じやな!」

「いろいろあったけど、お兄ちゃんと一緒に冒険出来て楽しかったわ!」

「行きましょう、ご主人さまっ!」


 三人がそれぞれに反応して――いよいよ、門を開く。


 シクロが門に手をかけ、少しずつ押してゆく。

 ある程度開いたところで、門は勝手に開き始める。


 そうして――完全に開ききった門の先には。

 予想通り、ダンジョンコアが鎮座していた。


「でっかぁ……こんなん、見たことも聞いたことも無いわ」


 カリムが声を漏らす。


 それも当然のこと。目の前に存在するダンジョンコアは――人の背丈の数倍はありそうな高さを持つ球体であったのだから。


 淡く蒼く発光するダンジョンコアは、それがまだこのダンジョンが生きて稼働していることを示している。

 これを破壊し、停止させることで――ダンジョンの攻略は完了する。


 魔物を生み出すという性質は著しく弱まり、その後は時間と共にゆっくりと弱まる。

 さらにダンジョンを構成する異空間そのものも、時と共に縮小し、消滅していく。


 そうして『最悪のダンジョン』とまで呼ばれたディープホールを弱体化し、ノースフォリアに恩恵を齎すことが、今回の最大の目的である。


「――いよいよだな。記念になると思うけど、誰が壊す?」


 シクロが仲間三人に問うと、全員が呆れたような笑みを浮かべた。


「何アホなこと聞いとんねん」

「お兄ちゃん。そんなの決まってるでしょ?」


 全員の視線が集まり、シクロも気付く。


「ボクでいいのか?」


 ダンジョンコアを破壊すると冒険者は大成する。大金持ちになる。生涯健康でいられる等、様々な迷信も存在する。

 誰かが破壊を申し出てもおかしくない、とシクロは考えていた。


 が、パーティーメンバーの意思は揃って固いようだった。


「ご主人さま。どうぞ、破壊して下さい」

「――分かった。ありがとう、みんな」


 そう言うと、シクロはその手にミストルテインを生み出し、構える。


「それじゃあこれで――ダンジョンクリアだ!!」


 宣言と同時に、シクロは引き金を引く。


 ダンダンダァンッ! と、計三発の弾丸をダンジョンコアへと打ち込む。


 オリハルコンを含む合金製の弾丸が、勢いよく着弾。

 そのままメキメキと、ダンジョンコアを貫き進んでいく。


 そうして――銃弾が貫通した後。ダンジョンコアはその衝撃に耐えられず、砕けてバラバラになる。


 それでも尚、岩のように大きな破片になって割れたダンジョンコアだったが、さすがに活動までは維持出来ず。

 すぐに光を失い――無色透明の、ただのガラスのような物体に変わってしまう。


 それと同時に――部屋が、辺りの空間が震えだす。


 ダンジョンを攻略すると――まず最初に消滅する空間が、ダンジョンコアの存在する空間である。

 シクロ達は、これに巻き込まれないよう部屋を退出しなければならない。


 とは言え、時間的猶予は思いの他長い。

 振動は空間の消滅する予兆に過ぎず、実際に消えてしまうまで数日は掛かる。


 また、巻き込まれると必ず死ぬというわけでもなく、ダンジョン内のどこか別の場所に飛ばされる、というだけである。


 とは言え、何処とも分からぬ場所に飛ばされるというのは非常に厄介な為、退避するのが無難ではあるのだが。




「よし――それじゃあみんな、帰ろう!」




 こうして――無事、ダンジョンの攻略に成功したシクロ。

 最悪のダンジョン、ディープホールを攻略し、創造神との邂逅もあった。


 これからのシクロが、どのような道を歩むのか。

 それは神ですら、預かり知らぬことである。

このお話で、八章は終了となります。


次回からは九章となるのですが、まだまだ執筆が進んで居ないため、少しお時間をいただかせてもらいます、すみません。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

面白かった、さらに続きを読みたい、と思ってくださったなら、ブックマークや評価ポイントの方を頂けると有り難いです。


それでは、今後とも当作品『時計使い』をよろしくお願いいたします!

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