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24 断罪神との死闘




 ――シクロは目を覚まし、真っ先に声を上げる。


「カリム! アリス! 待たせたッ!!」


 シクロが見ると、二人は断罪神の攻撃をどうにか防ぎながらも、ボロボロの状態であった。


「ハハッ、遅いけど、二重丸付けたるわ」


 自分の剣を杖のようにして立つカリムが声を上げる。


「お兄ちゃん……良かった」


 膝を突いたまま、息の上がっている様子のアリスは安堵した様子を見せる。


「ミスト。二人を頼む」

「はいっ」


 シクロはそう告げると、断罪神に目掛けて駆け出す。


「起動せよ――AOCアイギス・オブ・クロックワークスッ!!」


 同時に、シクロは自らの最大の技であり、最強の装備を顕現させる。


 緻密に組み上げられた、全体が魔道具で出来た外骨格型の鎧。AOCアイギス・オブ・クロックワークスがシクロの全身を包む。


 続けて、シクロはさらに武器を二つ生成する。


「ミストルテインッ!! レヴァンテインッ!!」


 拳銃型のミストルテイン。銃剣型のレヴァンテインをそれぞれ生み出し装備する。

 また――これらの武器とAOCは接続可能であり、そうすることによって出力等の性能が大幅向上する。


 ケーブルによってミストルテイン、レヴァンテインはそれぞれAOCと接続し、最高の性能を発揮できる状態に移行する。


「――オォオオオオッ!!」


 そのままシクロは断罪神へと突撃し、銃剣レヴァンテインを振るう。


「くッ……!! シクロ=オーウェンッ!!」


 断罪神はここに来て、初めて焦りを表情に浮かべる。

 シクロの攻撃を警戒し、咄嗟に後退。


 だが――シクロの装備はそうして距離が空いている時ほど効果を発揮する。


「逃がすかよッ!!」


 即座に二丁の銃口を断罪神へと向け、射撃。

 高出力、高圧縮の魔力弾を次々と連射し、断罪神を撃ち抜く。


「ぐうッ! さ、させんぞォッ!!」


 断罪神は両腕を交差させながら、光り輝く魔力を放ち、自らを守る。

 シクロの銃弾は容赦なく魔力を削り、着弾と同時に弾けて火花のような光を放つ。

 だが、それでもなお削りきれない勢いで断罪神が光る魔力を生み出し纏う。


「こうなれば……ッ!! 最早手段は選ばぬッ!! 我が今までに集めた全ての力を出し尽くしてでも、貴様をこの場で屠るッ!!」


 宣言し、断罪神はさらに強く魔力を、光を放つ。

 まるで自らが光そのものにでもなったかのように輝き出す。


「シクロ=オーウェンッ!!」


 次の瞬間、断罪神はシクロの方へと距離を詰め、大鎌を振るって襲い掛かる。


「貴様のようなッ!! 愚かな人類は取り除かねばならぬッ!!」

「黙れ! テメェに殺される謂れなんて無いんだよッ!」


 断罪神の大鎌の連撃を回避しながら、シクロは銃撃で反撃を繰り出す。

 だが、断罪神の分厚い魔力の壁が弾丸を弾きダメージは与えられない。


「自らの罪を理解してなお、我に立ち向かうと言うのかッ!!」

「ああそうだよッ! アンタの理想って奴が気に入らないからなッ!!」


 次の瞬間、シクロは断罪神の懐に入り込み――大鎌のリーチの内側から蹴りを放つ。

 AOCの補助により、身体能力も飛躍的に向上しているシクロの蹴りは、容易く断罪神を吹き飛ばす。


 だが――やはり、魔力の壁が邪魔となり、断罪神本体にはダメージが入っていない。


「なぜ理解しないッ!! 全ての悪が除かれ、全ての人の思いを妨げるものの消えた、全ての望みが叶う世界をッ!!」


 断罪神は怒りのままに言葉を発し、同時にシクロの方に向けて手を翳す。

 そして――次の瞬間、身に纏う魔力の光が、衝撃波となって全方位に放たれる。


 シクロだけでなく、全体を巻き込んでの攻撃。シクロはこれをレヴァンテインを用いて魔力を切り裂き防ぐ。

 一方で、カリム、アリスはミストの展開するサンクチュアリ、そしてバリアーの内側に退避しており、衝撃波は完全にミストによって防ぐことに成功していた。


 シクロは衝撃波が通り過ぎた瞬間、即座に断罪神との距離を詰めていく。

 攻撃に魔力を使い――守りが薄くなった今、この瞬間がチャンスだと判断した為だ。


「そんなまやかし、信じるかよッ!!」


 シクロは断罪神の言葉に言い返しながら、超至近距離から格闘戦に銃撃を交えながら連続して攻撃する。


「どんなに望んだからって願いは叶わないッ!! それでも足掻くから人間なんだろッ!」


 シクロの攻撃を受け止めつつ、断罪神は苦しそうに顔を顰める。


「くッ……!! 強い願いは、望みは、いつか果たされるのだッ!!」


 断罪神は、さながら自分に言い聞かせるかのように言って、反撃に大鎌を振るう。


 だが、シクロには当たらない。容易く回避された上に――懐に入り込まれ、顎下にミストルテインの銃口を突き付けられる結果となる。


 そのままシクロは――瞬間的に数発の弾丸を射撃する。

 AOCの強化もあり、十分すぎる威力を持った魔力の弾丸が断罪神の顎を撃ち抜く。


 強烈な衝撃とダメージが断罪神の頭部を突き抜け――そのまま、断罪神は後方へと倒れ込む。


「どんなに強かろうが、無理なもんは無理だ」


 言って、シクロは倒れる断罪神の足をレヴァンテインの刃で切り裂く。

 オリハルコンを含む合金製の刃は、AOCから送り込まれる魔力による保護もあり、非常に鋭利である。倒れ弱った断罪神の守りごと、本体を切り裂くのも容易かった。


「グッ!?」


 痛みに呻く断罪神は、憎々しげにシクロを睨みつける。


「貴様ァ……ッ!! ならば何故! 人間は夢など抱くのだッ!!」


 立ち上がれないままでも、まだ、断罪神は抗おうとする。

 大鎌を構え、シクロに立ち向かう。


 だが――最早、シクロを止められる程の力は無い。


「そんなの簡単だ。――信じてくれる仲間が居るからだよッ!!」


 言い放つと同時に――シクロは装備を変更する。


「来いッ! フランベルジュ!!」


 シクロが呼び出したのは、元々は火炎放射器として設計されたはずの魔道具である、フランベルジュ。


 AOCとの連携を考えた設計の改良により――放つのは炎に留まらない、大口径かつ大出力の汎用砲として機能するようになった。


 シクロが放つことの出来る、最大火力の武器である。

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