13 盗み聞き
ざまぁを待ち望む声がありましたので、投稿ペースを早めていきます!
一日7回投稿して、なるだけ早くざまぁなシーンに到達するようにします!
話数的には30話を超えたぐらいから、因果応報なざまぁが待ち構えておりますので、どうかもう少しお付き合い下さい!
――自分の不幸、全ての始まりから今日までを思い返したシクロはため息を吐いてからぼやく。
「……はぁ。辛くても、相談する人もいないって、けっこうきついなぁ」
そんなことを言いながら、俯いたまま歩く。
その足取りはかなりフラフラとしていて――ショックのあまりぼーっとしていたのもあって、普段とは全然ちがう路地へと入ってしまったシクロ。
「……あれ? ここ、どの辺だろう?」
迷ってしまったことに気づき、あわてて周囲をきょろきょろと見回す。
「うーん……あっちの方に時計の気配がするし、人がいるっぽいかな」
時計感知のスキルを使い、人の居そうな場所に検討をつける。
道を聞けばいいだろう、という軽い考えでそちらへと向かっていく。
そんなシクロが――曲がり角を曲がる寸前、物騒な言葉が耳に飛び込んできた。
「――アニキ! 今回の強姦のプランはどんな感じなんです?」
(ご、強姦!?)
そんな物騒な言葉に驚き、足を止める。
「ああ。住宅街のど真ん中、ぽつんとある薬屋が標的だ。そこに押し入って、店の主人を犯す」
「へえ。けどアニキ、住宅街ってんなら、騒いだら人がよってきそうなもんですけどねえ」
「安心しな。黙らせる方法なんざいくらでもある。ちょっと物音がしたぐらいじゃあ、家の前でも通らねえ限り気づかねぇさ」
なんと、曲がり角の先で話されていたのは、どこかの女性の家に押し入り、強姦をするという悪魔のような計画であった。
(……最低だ……にしても、薬屋の主人で、女性で、住宅街のど真ん中。それに恐らくは一人ぐらしってなると――)
シクロは脳裏にある人物のことを思い浮かべる。
ちょうど、それに該当する人物がシクロの家の近所にも存在しているのだ。
「ってことは、いつもどおり俺らで人払いしてりゃあいいってわけですねアニキ?」
「そういうことだ。金は十分渡してるはずだ。抜かるなよ?」
「へへっ。慣れたもんですからね。任せてくだせえ! ……で、その標的ってのはどこの誰なんです?」
会話の流れに、シクロは耳を傾け、集中していた。
アニキと呼ばれた男の口から、せめて自分の知らない人の名前が出てくれますように、と祈りながら。
「――店の名前はミランダ薬品店。女主人のミランダってやつがやってる店だよ。知ってるやつもいるんじゃねえのか?」
「ああ、あの美人がやってるって有名なとこっすか!」
シクロは、ギリッ、と歯を噛みしめる。
(そんな――ミランダ姉さんが、狙われているだなんてっ……!)
残念なことに、標的は正にシクロの知る人そのものであった。