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15 突破




 シクロがエルダーレイスの動きに警戒していると、不意にエルダーレイスが声を上げる。


『……フフフ、よくもここまでのダメージを与えてくれたなッ! その礼は、貴様らの身体で支払って貰うぞッ!』


 言うと、次の瞬間にはエルダーレイスの姿が消滅する。


「来るぞッ! 多分、身体を乗っ取る攻撃だ!」


 シクロが呼びかけると同時に、ミストが頷いてからスキルを発動する。


「――サンクチュアリっ!!」


 ミストのスキルにより、神聖な魔力が一定範囲を満たす。

 味方にはバフを、敵にはデバフを与えるこのスキル。ここに到達するまでの間にも、シクロの時計感知スキルをかいくぐり近寄るレイスを発見して来た。


 当然――姿を消したエルダーレイスのことも捕捉可能である。


「アリスさんっ! 真上です!!」

「了解っ!!」


 ミストの言葉に、アリスが反応する。

 咄嗟に発動したスキルは『魔力具現化』、そして『魔力操作』のスキル。これらを操り、真上に存在するはずの、姿の見えない敵に目掛けて投網のような魔力を実体化させて飛ばす。


『ぐぬぅッ!? な、何故だッ!?』


 自分の所在が把握された理由が分からず、エルダーレイスは狼狽え姿を見せる。

 具現化した魔力は込めた魔力に比例して固くなる。咄嗟に放った網状の魔力程度なら、力を込めれば振り払うことも可能であった。

 だが――エルダーレイスは狼狽えた為に、その機会を失った。


「――くたばれェッ!!」


 この一瞬の隙を見逃さず、カリムが飛び上がり、剣を振るう。

 一度に三回の剣閃が、魔法の炎を纏ってエルダーレイスの肉体を切り裂く。


『グオオォォォオオッ!!』

「追撃しますっ! 『ホーリーアロー』ッ!!」


 さらに、ミストが光魔法を発動。神聖な魔力の弾丸が、矢のように鋭くなってエルダーレイスへと飛来する。

 カリムに切り裂かれ、霧のようになって消えかかっているエルダーレイスを光が射抜く。


 それも――ミストは続けて連続で放っている為、無数にである。


『く、くそォォオオッ!! こんな、こんなことがァァァアアアッ!!』


 エルダーレイスは断末魔の叫び声を上げ、その姿が千切れるように霧散していく。


 完全に姿が消滅しても――全員が警戒を解かない。


 だが、沈黙が流れ、暫く経っても何の変化も起こらず――ミストのサンクチュアリにもデバフが発動する反応も無い。


「……間違いないな。エルダーレイス、撃破達成だ」


 シクロがそう判断し、声を上げる。


 すると――他三人も、それぞれ声を上げ、喜ぶ。


「っしゃ! やったったわ!」

「当然よ! 私達、みんな強いもの!」

「はいっ! 無事撃破出来て、良かったです」


 それぞれが異なる喜び方を見せつつ、互いに歩み寄って喜びを分かち合う。

 そしてシクロも、そんな三人に歩み寄る。


「おめでとう、みんな。エルダーレイスは間違いなく強敵だったのに、それでも難なく倒せた。これは、みんなの実力が高くなっていることの証だ」


 シクロが言うと、カリムが問いを口にする。


「どうや、シクロはん。今のウチらやったら、深層でもやっていけると思うか?」


 その問いに、頷きつつ応えるシクロ。


「ああ。着実に、階層ごとにレベルを上げて行けば、間違いなく通用するよ」

「そうか。経験済みのシクロはんが言うんやったら、間違いないな」


 シクロの答えに、カリムは嬉しそうに頷く。

 また、アリスとミストも同様に嬉しそうに笑みを零した。


「じゃあ――いよいよだね、お兄ちゃん」

「ああ。深層の……ディープホールの、本格的な攻略開始だな」


 言うと、シクロは部屋の奥に視線を向ける。

 そこには――ボスを倒したことにより開いた門と、下層へと下る階段があった。


 こうして、四人はとうとうディープホール真の深層へと足を踏み入れることとなった。

投降が遅れて申し訳ありません。

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