P.08:〜*月*日 エジプト某所にて〜
私は歩。
旅が趣味の人間である。
旅の相棒は大きな革のトランクひとつ。
気の向くまま、時間の流れるまま、私はどこまでも行く。
そんな旅の途中の話である・・・。
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粘り気のある野菜のスープと豆のコロッケ、魚のバーベキューを堪能して幸せに浸りながら歩いていると・・・。
突然、「スフィンクス」と名乗る少年・少女5人に通り道を塞がれた。
話を聞いてみれば、少年少女のイタズラ好きギャング団のような感じだった。
ワルはする。でも盗みと薬はやらない。
極めて健全である。
45度程生き方と考え方を変えて、逞しく生きていってほしいなぁ・・・。
ついついほほえましく思ってしまった。
そんな私の態度が癪に触ったのか、ムッとした表情で「スフィンクス」の少年のひとりが口を開いた。
「問題に答えられないと、通さないぞ」
「私達の問題は、難しいんだもん!」
少女の一人も口を開く。
ほほう。どんとこい。
私の首肯を合図に、彼らは問題を出してきた。
出してきたんだけど・・・。
ただ・・・その問題が・・・。
お約束の問題だったのだ。
最初は4本足、次は2本・・・ってやつである。
・・・キミタチ、遅れすぎです。
とっくの昔に。模範解答出とりますがな。
もうちょっと時代に対応しようよ。
思わずこめかみに指を当てた。
「どうだ!難しいだろ!」
得意げな笑みを浮かべた少年に私があっさりと正解を告げると、「スフィンクス」は唖然。
しぶしぶながら道を通してくれた。
おお。ここまでもあの伝説と一緒なのか・・・。
が。
私は、「ただのヒト」に自分を試される事をされるのが最っっっっっっっっ高に嫌いだ。
神様でもないただのヒトが、何様のつもりかと小一時間問い詰めたくなる程に。
しかも相手は子供。
大人の対応放棄。子供っぽさ全開。
腹が立ったので、私も「スフィンクス」に問題を出すことにした。
「『さんにんよればもんじゅのちえ』だもん!私達五人だもん!」
「無敵だもん!」
「俺達が知らないことは何もない。来やがれ!」
おお。難しい言葉知ってるな。
では遠慮なく。
"坂を登るときは三本足、下り坂では四本足。
これなあに?”
「スフィンクス」達は互いに顔を見せ合い・・・あっさり散り散りになったのだった。
完膚無きまでに叩きのめしたので気が済み、私はトランクを担ぎ直すと旅を再開した。
さて、四角錘の大きな墓でも見に行くか・・・。
ならとりあえず、水を買いに行こう。
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拝啓:「スフィンクス」さん達へ。
その後、お元気にしているでしょうか?
あの時の問題の答えですが・・・。
ごめんね。
さっきの問題、私にも答えはわからないの♪
敬具。
fin...
ちょっとギャグ風味(?)の旅日記をお送りしました。
元ネタは、スフィンクス伝説のお約束のなぞなぞと、アメリカンジョークを使わせて頂きました。
エジプトネタは、いつか一本書きたいと思っていました。
それと言うのも
私は
・世界遺産大好き。
・好きなアーティストの「姫神」が、ピラミッドの前でライブをやっていた(素晴らしい映像でした)。
・そして、エジプト神話大好き。
だからです。
決して某カードゲームで有名なマンガからではありません。
*エジプト料理
実は一番の難題でした。
モロヘイヤスープ(粘り気のある野菜のスープの事)は知っていたけど・・・。
あと何があるの?
蔵書とネットサーフィンで、やっとこさ見つけました。
意外と肉料理もあるんだぁ・・・って感じです。
モロヘイヤが印象的だったんで・・・(苦笑)
*「スフィンクス」の少年少女達
よく小学生が作る、ちょいワルグループみたいなモノだと思ってください。
男子3名・女子2名のグループ編成となっています。
*歩が出した問題の答え
本当にわかりません。
誰か思いついた人。歩にご一報下さい。
(4月28日に、解答を下さった猛者が現れました)
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。