百合?(約5分)
この作品には以下の要素が含まれていますので、ご注意ください。
・微エロ ・ガールズラブ ・虐待
貴方は愛情を誰から教えてもらいましたか?
私は他人から。
「いい?ユウカ」
「え、でもお姉ちゃん。こんなところでしたら・・・」
「大丈夫、こんな時間に公園のトイレを使う人なんていないよ」
家族の愛なんて知らない。
私を生んだという『自称:親』は二人とも虐待してきた。
そして施設に入り、今の里親へ。
いつも一歩引いていて、私達にあまり関わろうとしない里親。お姉ちゃんは「二人とも緊張してるんだよ」って言ってくれたけど絶対違う。
私を愛してくれるっていうから施設からここへ来たのに、愛してくれない。一週間も経ったのに私が愛されたと思うようなことがないんだもん。
だけど、お姉ちゃんは違う。
今日も私を愛してくれる。
トイレのふたの上に座るお姉ちゃんの上に私が座る。
お姉ちゃんからはお酒の臭いもタバコの臭いも脂っぽい臭いもしなくって、優しい匂いだけがいつでも香ってる。柔らかくてスベスベの肌、やっぱり来年高校生になることが決まったお姉ちゃんは素敵だ。
「んっ・・・」
「可愛いよユウカ」
後ろからお姉ちゃんの手が伸びて、私を弄ぶ。
お姉ちゃんに背中を見せているから、今お姉ちゃんがどんな表情をしているか分からない。それを見ようと後ろを振り返ると、お姉ちゃんにキスされてしまう。
「───んっ・・・お姉ちゃん、大好きだよ」
「私も大好きだよ。ユウカ」
冬の夜は冷える。
だけど、今ここだけは世界で一番熱い。熱い愛がここにはあると信じている。
女同士でヤるのは一般的じゃないのでしょうね。でもね、お姉ちゃんは私の愛を受け入れてくれた。私の愛は絶対。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・そろそろ帰ろうか」
「え、もう?」
「あれから2時間も経ってるし、そろそろお父さんとお母さんが心配してるよ」
ああ、この時間が一番嫌いだ。
私を愛してもくれないようなやつがお姉ちゃんの頭に浮かんでいると思うとイライラするし、何より私の頭の中でアイツらの心配しているようなフリがチラつくのが何よりも嫌だ。
「お姉ちゃんは、私を愛してくれるよね?」
そう言って、今度は自分からお姉ちゃんにキスする。
甘くて、気持ちいい。
「ユウカがいいなら、私は構わないよ」
結局、時間が過ぎても続けた私が帰ってきたのは深夜になってしまった。
「おい!百合子、今が何時か分かってるのか?」
「ねぇ、お願いだからやめて百合子。自分をもっと大事にして」
はぁ・・・これだから帰るのは面倒で嫌だ。施設にいたときは何時に帰って来ようと大丈夫だった。だって私を愛してくれる人たちばっかりだったもん。
なのにこの二人と言ったら、文句ばっかりで私を愛してくれない。
「聞いてるのか?こんな遅くまで男をたぶらかして、そのスマートフォンとか言うのがすべての原因なんだろう?」
「触ろうとすんじゃねぇよ!!スマホじゃなくて私を触れよ!愛してよ!!」
「貴方のそれは『愛』じゃないわよ!」
「うるせえな!私の愛は絶対なんだよ!」
「高校生にもなって、そんな考え方でいいと思ってるのか!?」
「フンッ・・・これなら施設にいた方が全然愛されてるわ」
そう言って私は玄関を出る。
私の愛は絶対。それは中学生の時に自称父親と名乗る男二人に車に引きずりこまれて山に連れていかれたときに教わった。痛かったけど、すっごくよかった。
父親にヤって、バレていなくなって。
施設にいって、帰りが遅くても、私の『愛』がバレても文句を言われないためにヤって・・・ヤって・・・ヤって。
スマホで愛してくれる人を拾って、里親にバレてもヤって。
今日の人はスマホで釣れた人。身長が大きいって理由かもしれないけど、注文の『愛』は姉と妹。
私にとっては内容なんてどうでもいいの。
本当に愛してくれるんだったら誰でもいいの。
タバコも汗も脂の臭いも、男も女も、関係ない。
「だって、私の愛は絶対だもん・・・今日は誰の家で愛されようかな?」
貴方は誰から愛情を教わりましたか?
貴方の愛情は本当に『愛』ですか?
時代や『虐待』なんて言葉に愛が負けるとでも?
世間や周りが何と言おうと『私の愛は絶対』?
自分をどこまで通していくのか。 他人をどこまで通していくのか。
自分をどこまで殺していくのか。 他人をどこまで殺していくのか。
考えるべき難題ですね。




