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詩集 ―Migratory Bird―

紅き月

それは血潮のように紅黒く

滴り落ちるは無数の灯


漆黒の夜空にただひとつ

紅き月だけ浮かんでる


闇に呑まれた私には

ただ1つだけの道標


幾億の星を奪い去り

紅き月は嗤ってる


存在理由を探せども

答えはとっくに捨ててきた


自分が立ってる位置なんて

紅き月にはわからない


鈍く光る切っ先は

私に真っ直ぐ向いている


命を奪う瞬間を

紅き月は待っている


水面に映るその影は

まるで何かを哀しむよう


手を伸ばせば影は消え失せ

独りぼっちの紅き月


歩けど走れど一向に

その背はどこにも現れない


(ただ)あるのは私とアイツ

紅き月との永い時間


遂にアイツは息を止め

その身を私に突き立てた


臓物ぶちまけ滴る血

(えぐ)られ(ねじ)られぐちゃぐちゃに


身体にぽっかり大きな穴

狂気に満ちた紅き月


痛くも痒くも感じずに

静かに鼓動は消えていく


私の生命(いのち)を飲み干して

紅き月は膨らんだ


丸々としたその(てい)

いつぞやの私そのものだ


上から横から溢れるは

有象無象の叫び声


誰にも声は届かない

紅き月よ満足か?


もうじき私の来た道は

喰われて千切れて呑み込まれる


最期に願いし希望さえ

紅き月には届かない


気づけば結局独りだけ

自分の影も見えやしない


何度も何度も繰り返す

紅き月夜はすぐ傍に



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― 新着の感想 ―
[良い点]  ただいま読了、すぐの感想を。  真っ暗な中に浮かび上がる赤き月、そして同じく赤き字面がいかにも先行きを暗示するかのような、美を感じさせます。  月は、寂しくて一緒にいてくれる者を殺…
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