第1話 赤との出会い
ある夜、都会で見た空は街の光が雲を染めて薄い赤色をしていた。
舞い散る花びらのピンクは晴れ渡った清々しい空の青と対になり、春の爽やかさを見事に表現している。一年間出し惜しみする価値は十分にある風景だ。この4月になる度にそう思う。
春は美しいだけじゃなく始まりの季節でもある。俺は高校2年になる。
始業式は定番の校長の話で長引かされていた。あんたの話を聞きに来た奴なんていないこと、分かってるくせに……。俺の冒頭の話が長くなっているだけなので省略させてもらう。
しかし、この日は俺にとって運命の分かれ目と言っても過言じゃない!あるイベントがあるからだ。
「神様お願いします」
「あの人といっしょになれますように」
「はぁ〜あ、宇都木先生ぃぃ〜!」
「なんまんだぶ〜なんまんだぶ〜」
全てが運任せの勝負だが、皆全神経を奮い立たし念力をかける! 講堂全体が熱気(欲望)に包まれる!
そして生徒全員に新クラス発表のプリントが配られた。
最高の結果だった。40人のクラスで元々の友達が8人という結果になった! サンキュー神様ありがとう。
さぁ、友達としゃべりながら新クラス3組の教室へ♪
最初の席順は五十音順。…………あ、今ごろ気づいた。友達の姓はア行マ行ヤ行に集中している!
そして俺の名前は天竜慶渡、見事に教室の真ん中に取り残された。
……まぁいい。裏返せばこれはチャンス! 元々の友達としゃべる時間を新しい友達を見つける時間に当てられる!
さぁ、どう出る!?
両サイドと前の奴は既に他の奴と交流を深めようとしゃべり初めている。話中に第三者がいきなり入って来たらちょっと対応に困るはずだ。ひかれるかもしれない。ここはターゲットを一人の奴に絞った方が良策だろう。
そして俺は前方とは違って静かそうな後ろの状況を見ようと体ごと振り返った。
真後ろには机に肘を付いて右手であごを支えながら、左手一本で本を持ちページをめくって読んでいる、変だがそれが形にハマっている、そんな感じの小さな女子、いや少女がいた。細くて綺麗な腕と指。肌が白く整った顔。こっちが振り返ったことなどお構い無しに、眠そうに左手の本に向けている二重瞼の眼。
そして何よりその存在感を示しているのは天然の茶色のセミロングヘア。
……そう、赤みのかかった……。
この日から俺の中で
「赤」は、どんな色より特別な色になった。
初作品です〜よろしくお願いします! 実は僕、高1になったばかりのなので、天竜君より年下なんですよね。なので、まだまだ小説に関しても人生に関しても半人前の自分です。それでも精一杯面白いものを書いていこうと思うので、真剣に読んでいただける方がいましたら光栄この上ないです。