~日本の前史~
日本は2034年に憲法改正を行い、県を廃止し20余りの州に再編した。国名も日本国連邦と改め、翌年には首相公選制も導入した。2041年になると90年近くも続いた日米同盟を凍結し、永世中立国を宣言するに至った。産業分野でも航空宇宙産業や医療、教育に力を注ぎ、ソフトパワーでの充実を図った。近隣諸国や国際社会とも活発に交流を行い、2050年代以降は世界で一番友好的な国と称されるようになる。さらに2068年には人類で初めて火星にす有人基地を建設し、2070年には独自の宇宙ステーションの建設も開始した。しかし第三次世界大戦以降は日本も方針転換を余儀なくされることとなる。
第三次世界大戦以降、核使用を危惧した日本は2081年に核兵器完全廃絶にこぎつけた。しかし各国で新たな軍拡競争が勃発し、2088年には世界の不安定化に応じて日本は自衛隊を軍と改称し、陸、海、空、宇宙に軍を編成した。軍事研究も再開し防衛力の増強を決定。さらに2107年には月面演習場を建設し、かつての友好国というイメージは薄れつつあった。
2125年、日本は人口が6000万人にまで減少し、国力増強のため宇宙資源の開発をさらに推し進める法案を可決する。そのため日本の技術力は他国を圧倒するに至り、航空宇宙産業ではほぼ独占状態が続くこととなる。2152年には木星の衛星であるガニメデ、エウロパに無人基地を建設し、2156年からは資源の採掘実験も開始した。軍事面では航空艦をいち早く開発し2154年に航空防衛艦として登用を始めた。
世界では2159年に第四次世界大戦が開戦し、ほぼすべての国が参戦する大規模な戦争となった。しかし永世中立国である日本は最後まで参戦することなく、2170年に講和会議を東京で開催したのである。日本は二度と大戦を起こさないため国際憲章の制定を提案し10年後には世界をまとめる国際政府の樹立を決定した。
そして10数年にわたる奇跡の平和が訪れ、国際統合政府IUGが創設された「今」、世界は動き始める。先が見えぬ未知の未来へと・・・