~世界の前史~
2040年以降、人類の技術力の進展速度は大幅に上昇し、次世代兵器の開発や他惑星への探査、動物や人の遺伝子操作などが頻繁に行われるようになった。また先進国と発展途上国との技術各差は縮み、2076年、ついには第三次世界大戦という悲劇をもたらした。人口過多となったイスラム社会と国内の空洞化が明瞭となったキリスト社会の激突である。開発されて間もない兵器や技術力が使用され、犠牲は6000万人以上にも上った。約一年半に及ぶ戦いの末、中立国であったインドや日本、中国などのアジア諸国が調停に入り、終結に至った。
しかしそれ以降も二つの社会は対立を続け、軍事競争が勃発。技術力の発展と引き換えに平和は遠ざかり2159年、第四次世界大戦の開戦に踏み切った。だが両陣営の互いの破壊兵器に対する恐怖ゆえ戦いは小規模なものが多く、よって10年もの長きにわたり戦争は続くことになる。この戦争における特徴は、航空戦艦の登場と宇宙空間での戦闘が行われたことである。そして開戦から間もなく禁忌であった生物兵器や、遺伝子操作による人体の強化が行われるようになり戦争は泥沼化していった。また技術力の向上により無人戦闘が増えた一方で、民間人への集中的な攻撃も行われ、犠牲者は約8000万人に達し、多くの命が奪われた。
開戦から10年経った2170年2月11日、非参戦国日本の東京にて講和条約が結ばれ、翌年、各国、各社会は互いの尊重と相互理解を目標に10年後の国際政府創設を決定した。こうして宗教による対立は減り戦後の10数年は奇跡の平和と呼ばれるようになる。