第十二話『好奇心は猫をも殺す』
今回は説明回です。
やっと出したい設定を出せる…。自分の話を作る構成力のなさに絶望しかけた。
「始まりは些細な好奇心だった。人間は〝遺伝子操作薬〟を作ったことであることに気付いたんだよ、〝遺伝子操作薬〟は薬の中にある情報を直接遺伝子に伝えることで変化を与える。ならもし、〝遺伝子操作薬〟に人間の遺伝子情報を覚えさせて動物に投与したらどうなるか、とな」
「な…」
僕はその言葉に絶句するほかなかった。動物に、人間の遺伝子情報を加える?そんなの…バカバカしいと思う。そんなことをしてメリットなんかあるのか?
「人間はな、俺たちを生物兵器として使えないかと考えたんだよ。人間並みの知能に、野生特有の強靭な肉体。人間以外の兵士がいれば、わざわざ軍人なんかいらないだろ?」
「最初に投薬された世代を〝第一世代〟と人間は呼んでいたが…その姿はお粗末な物だったという。多少の肉体の変化はあったが、それだけ。だが、研究を進めるとその子供に遺伝子情報がそのまま伝わることが分かった。〝遺伝子操作〟は強力な薬だから、連続して使用は出来ない。無理やり〝交配〟させられることで俺たちは進化してきた」
「俺は〝第五世代〟…今最も人間に近い世代だ。皮肉なことに、人間と同レベルの知能を持つに至ったからこそ、こうして反乱を起こすことが出来ている。これは、正当な怒りだ。今まで散々俺たちを良い様に扱ってきた人間への報いだ。だから、人間を殺す。殺しつくす。それが俺たちの使命だ」
僕は――――何も言うことが出来なかった。動物を人間化させて兵器化する?より進化させるために交配させた?何だそれは。倫理的にも、彼らを人間と定義するなら人権的にも――――滅茶苦茶じゃないか。そんなことの為に、あの薬は作られたんじゃない。あれは、僕と同じように遺伝子疾患に苦しんでいる人たちが、救われるようにと作られたんだ。
それはあまりにも――――製作者の意思を、願いを踏みにじる行為だった。
「理解できたか?俺たちがお前たち人間を憎む理由が、怒りが。分かったなら――――死ね」
首を絞める力が一気に強くなる。次第に朦朧となる意識。痛みも感じなくなってきた。僕はこれでお終いなのかもしれない――――。