生命線長ゾンビ
深夜テンションです
突然ゾンビウイルスが蔓延して世界はほとんど終わった。ほとんどというのはこんな世界でも戦っている人がいることを指している。
俺もその戦っている中の1人だ。
だが、正直このゾンビパニックは終わる気がしない。そりゃあワクチンとか血清とか突破口が見つかってる、もしくは見つかりかけてるなら俺だって本気で戦っているさ、だがそんなものは今のところない。やる気なんてとうの昔に失せた。
そんな俺の前には今、変なゾンビがいる。今まで身体能力に秀でたゾンビや、武器を使ってくるゾンビなどはいたが、こんなゾンビは初めてだ。
そのゾンビは「助けてくださーい」と助けを求めていた。あまりに流暢に言葉を話すものだから一瞬人だと思ってしまったほどだ。俺はすぐに銃を構えたが、今生存軍には銃弾が不足している。脅しで逃げ帰ってくれると助かるのだが……
「わ! なんですかあなた、急に来たと思ったら無垢なゾンビに銃口を向けて。」
そのゾンビはオーバーリアクションともとれる感じで両手を上げた。
「黙れ、俺は生存軍だ。ここから先は生存軍の一員だ、何がなんでもお前を殺さなければいけない。」
「まいったなぁ、出会い頭に殺すなんて物騒な人に出会ってしまった、ただ僕はゾンビから迫害されただけなのに……」
「ゾンビから迫害? そんな話聞いたことないぞ、良ければ詳しく教えてくれないか?」
「あなた図々しいとか言われません? 僕現在進行形であなたに生殺与奪権握られてるんですけど。」
「じゃあ分かった、銃を下ろそう。元々この銃弾入ってないしな。」
俺は渋々銃を下ろした、だがこれはサボるのに良い機会だ。喋れるゾンビと話したなんて生存軍に戻っても情報として有益で俺はあっちこっち動き回らずに済む。サボる、この響きにあまり良い印象を持っていなかったが、今は本当に神のような響きに思える。
「じゃあ一旦座ろう、流石に立ち話は堪えるだろ。それで? ゾンビの迫害ってどう言うことだ?」
「それについて話す前にまず前提条件として話すことがあります。」
無音が響いた。その間も首を傾げたり決心した様子で膝を叩いたと思ったらまた首を傾げてを繰り返した。その後も5分くらい待って、ようやく決心がついたようだ。どんな重要なことなんだろう。
「……僕って、生命線が長いんですよ。」
「ちょっと待て、そんなことを言うのをお前は躊躇ってたのか? ゾンビになるとIQも下がるのか?」
「そんなこと言わないでくださいよ!コンプレックスなんだから。だって考えてみてくださいよ。ゾンビって感じで書くと屍人ですよ、生命線長いのにもう、死んでるやんけってなりません!?」
少し笑いを堪えながら、まぁそうだな。とだけ言った。
「ほら! やっぱり笑ったじゃないですか! だから言いたくなかったんですよ、ていうか、あなたも生命線長いですね! まぁいいです。それで、聞きたいのは迫害された理由ですよね? そんなの単純です。あ゛ーーみたいな感じでしか喋らないゾンビ社会において、僕みたいな普通に話すゾンビは邪魔だそうです。」
「ゾンビ社会も意外とめんどくさいんだな。人間とあんまり変わんないように思えるわ。」
「そうですよ! すぐゾンビーとか人間ーとか分けたがるけど元々同じだったじゃないですか!」
「いや、流石にそれはダメだ、ゾンビと人間は共存できないだろ。」
「まぁそうですね……」
意外とこいつとの会話は楽しい、そういえばこんな気軽に話せるやつって生存軍にはいなかったな。
「なぁ、お前を信用してのことなんだがいいか?」
「突然ですね、いいですよ」
俺は長年抱えていた悩みを話すことにした。
「俺はよく協調性がないと言われるんだ、俺自身そんな自覚はないのだが人間社会だった頃も、生存軍の時も言われてしまうんだ。何か対策はないだろうか。」
「うーん……僕はそんな風には思いませんけどね、でも確かに取っ付き難い感じはします。ぶっきらぼうというか、そっけないというか。そこさえ良ければ大分面白い人だと思いますよ。」
まさかゾンビに励まされる日が来るとは思わなかった。ゾンビの話に感心してた時に電話がきた。
「おっとすまない、生存軍からの電話だ。少しだけ待っててくれ。」
「聞こえるか!? 私たちの生存軍支部は壊滅的な状況になっている! 私たちがここから生き残れる道はないだろう。唯一偵察に行っているお前に頼みたいことがある、別の生存軍支部にこのことを伝えてくれ!私からの命令は以上だ、健闘を祈る!」
そう一方的に言われて電話は切れた。
「どんな電話だったんですか?」
「俺の生存軍は滅んだらしい、別の支部に伝えてと言われたが、正直やる気になれない。」
やる気になれないのは訳がある、さっきの電話の時に聞こえてしまったのだ。なんでこんな時にあの人いないんすか!? 強いだけがあの人の取り柄なのに! 正直性格悪すぎますってあの人! って感じの声が聞こえたのだ。相談に乗ってくれて大分これからに希望を持てたのだが、俺だけだったらしい。
「なぁ、お前名前は?」
「染谷 病です」
小馬鹿にするような笑いが溢れたまま、「病気移すために生まれたみたいな名前してんな!」と言った。俺は目の前の病に頼んだ。
「なぁ、俺にゾンビウイルスを感染させてくれないか? 正直もう人間社会は疲れた。」
「…………わかりました。ゾンビになって、もし話せたら一緒に第二の人生楽しみましょ!」
「あぁ。」
そう言ってすぐに病は俺の肩にかぶりついた。右肩がジュクジュクしてる気がする。全身に何かが走っている。俺はここでゾンビになって第二の人生を歩めるんだな。なんだか安心だ。そう思って俺は目を閉じて安らかに眠った。
「寝ちゃいました、これから焼肉でも予約しましょうか。」
僕は騙された哀れな人間の顔を見てそう呟いた。元人間と生まれた時からのゾンビが分かり合えるはずないでしょう。僕がゾンビウイルスの発生源なんですから。僕が喋れるのは生命線が長いから生きれるはずだった寿命を消費して話してると博士は言っていました。
「いや、焼肉はダメですね、この人間も生命線が長い。」
この世に喋れるゾンビは僕1人でいいんです。
僕はさっきみたいに感染目的ではなく捕食目的でその人間を頭から貪った。
自分はゾンビ映画を見たことないです




