第2話「魔法を引き出せ!」
今回はアオミが魔法を引き出す物語。アオミとノゾカの魔法が明かされます。さらに続くと魔術が登場予定です。
私は転移して三日目を迎えた。
「ふわぁ〜。おはよぉ〜」
「あ、起きたんだね? それじゃあ今から絵のモデルをやって欲しいんだけど駄目かな?」
「モデル? 前から言っていた奴を私が?」
「うん! 凄く可愛いし、モデルが向いてると思って頼んるんだよ?」
ノゾカちゃんは凄い絵が上手い。それもノゾカちゃんが描く絵は私からしてみれば二次元キャラと似たようなデザインだと少し思っていた。ノゾカちゃんからもらった絵の中でも一枚は私が持っていたライトノベルの登場人物と一致しても可笑しくないぐらい似てしまっている。これは偶然に過ぎないのか疑問を抱ける。
「どんなポーズで構えていれば良いの?」
「自然体で良いよ。後は適当に頭で想像して描いてみるから大丈夫!」
ノゾカちゃんの指示を聞いてとにかく自然体を振る舞う。ガタガタするといけないと思って姿勢は無理なく取らせてもらった。
そこで私は一つだけ疑問として抱いていた質問を投げ掛ける。それをノゾカは回答してくれる。
「一つだけ質問があるんだよね? 聞いてもらえるかな?」
「何ぃ〜? 質問は答えられる程度にどうぞ」
先に話し掛けて絵は何をイメージしているのか尋ねたいと思った。その質問は少しノゾカが何からイメージした絵なのか知りたくて真っ先に尋ねる。
「ノゾカちゃんが描く絵は何がイメージなの? いつも描く時に何か参考でもあるんじゃないか思った。答えられるかな?」
そうやって質問してみると彼女が返答する。それはノゾカが思っていた気持ちを語られる。
「私が思い浮かべた想像を絵として残す。それだけで何度だろうが描けているんだよ。絵は私からしてみれば命とも言い換えられる存在だったの」
「へぇ〜」
ノゾカは本音を口から素直に吐いた。ノゾカから告げられた回答は気持ちが込めてあった。その回答でノゾカを疑う理由がなくなる。
それから私がノゾカと街に出た時。外を出た瞬間から人々が集まって来る。
「わぁ! 貴方アオミちゃんって言うんでしょ! ずっとお話がしたかったんだぁ〜。よろしくね!」
「は、はい……」
いきなり声が掛かって驚いた。話し掛けて来た少女はノゾカちゃんと同年代ぐらいで赤髪のショートが印象に強い。後はあまり突き出ていない控えめな胸と低身長が幼く感じさせる。
瞳を宝石のように輝かせながら見詰める少女を私はどんな対応して良いか分からなかった。しかし、別に悪い人ではないと思えて関わって行くことに不安はない。
すると、ノゾカちゃんが話に割って入る。どうやらノゾカちゃんは知り合いだったみたいである。
「ちょっと馬鹿! アオミちゃんがびっくりしてるじゃん! もっと普通に振る舞えないの?」
「えー? それって意味不明だよぉ。何で私が振る舞えてないとか言われてるんだろ。有り得ないわ〜」
「ふん! 貴方はいつもとぼけるんだから最低なんだよ。それよりも例の仕事は空いてる?」
ノゾカちゃんの口から急に【仕事】と言う単語が出る。それは予想だと私に仕事を持って来てくれたのかと瞬間的に思ってしまった。それが的中していたならノゾカちゃんはかなり私が生活するために考えてくれているだろう。
「はいはい。どれだけ私が受付令嬢だからと言って仕事を持って来たことに報酬はもらうからね!」
「問題ない。早く渡しなさい」
「はぁ〜。受付令嬢から直接の依頼申請は厳密に禁止されてるんだよ? バレたら申請停止を食らうことを忘れないでね?」
「分かってる」
今の話を聞いている限りだとノゾカちゃんが受け取った依頼書は【受付令嬢】を通して渡してもらえる仕事らしい。もしかすると私の勘が当たっていれば内容はギルド系に近いと推測される。
「うん。これなら行けるかもね? それじゃあアオミちゃんも来てくれないかな?」
「え? あ、分かった!」
そして私はノゾカちゃんに着いて行った。ノゾカちゃんと向かった先は港町の外と繋がった門が構える場所だった。
「取り敢えず貴方も働かないと生活は送れないでしょ? だから、一緒に採集クエストを受けて欲しいんだ! 行けるかな?」
「ちょ、ちょっと難しそうだけど、行けなくもないと思う。それよりも私は何が出来れば良いのか分からない」
「大丈夫。見ていれば分かるよ。今から向かう場所は大して魔物が出ない森。そこで採集しながら魔法と魔術を取得してもらう。その二つが出来ると貴方は一人でもクエストが受けられるわ」
そこから先の詳細を聞いて分かったことは予測していた通り、こっちでも【冒険者ギルド】が存在しているらしい。それを成すために必要となる魔法と魔術が続けて行く際の要となる戦闘力を上げる方法だと教えてもらう。
「まずは魔法から始めるよ? 魔法は普通だと人間が必ず一つは持っている超自然現象を扱う力。これを引き出せる人は九割を超える。だから、アオミちゃんでも取得可能だと思った」
「魔法……? それが私にも使えるんだね。それならどうすれば取得できるかな?」
「その前た一つだけ聞きたいことがある。アオミちゃんは異世界から来たの?」
「––––え?」
唐突すぎる質問に私は固まった。私が知っている異世界転移は殆ど現地にいた人々から言い当てられるケースは少ない。いや、実際ならないと言い切れるほどでもないが、それでも少し特殊とも思える感覚だと捉えていた。
そしてノゾカちゃんは告げる。それはノゾカちゃんにも共通する点があるからだ。
「実は私も転移して来たんだ。どう? 驚いたでしょ?」
「––––え、ええ⁉︎」
「ふふん!」
まさかの展開が訪れる。ノゾカちゃんは私と同じ転移者だったみたいである。それを知った時に少し疑問に思えていたことが一気に晴れた。
「う、嘘だよね……?」
「ううん。実際だと三年前から生活が始まったんだよ。長ったなぁ。あれからすっかり慣れちゃってさ。こんな奇跡は二度とないかも知れないね?」
ノゾカちゃんが微笑みながら告げた一言は環境が一気に変わって送る生活の大変さが伝わった。きっと一人で頑張って来たんだと思う。何の手掛かりもない世界で急に馴染めていない場所を生きたんだ。それなりに苦労したはずだった。
「ちなみに帰る方法は探したけどなかった。だから、アオミちゃんは同じ道を辿る運命だったかも知れない。けど、これから辿る道は同じとは限らない。その上で私から生き方を教えてあげる。それを工夫して行くと自分が思った生き方になる。それ以降は自分で辿りたい道を決めても良いんじゃないかな?」
ノゾカちゃんが提案してくれた内容は私を導こうとしていた。ノゾカちゃんは転移してから本来と違う環境で生活を送った。それは今までと丸っ切り変化した生活システムを取り入れて以前の習慣は殆どが除かれてしまうような話。
質問された時には門から出ていた。目的地でもある森を目指して歩んで行く。
緩やかな風が吹いて髪を靡かせる。風は反対方向に吹くため、抵抗力を生み出して進み辛い。けれど、歩みは止まらなかった。どんどん港町から距離が空いて辿り着いた場所は木々で覆われた森だと分かる。
「ここでクエストをこなして行くよ? それと魔法から取得したいのもある。だから、アオミちゃんは覚悟してね?」
「う、うん!」
そして早くも森に入って行く。中は外よりも薄暗い様子が窺える。
木々の隙間から溢れる太陽光が差し込んで照らされたキノコは食べると美味しいらしい。目前でノゾカちゃんが食して見せるとニコッと笑った。その後は目的を果たすために行動した。
取り敢えずノゾカちゃんの後ろを着いて行きながらもう一つの目的でもある魔法について解説してくれる。それを踏まえた上で私は魔法を引き出して行く。
「まずは私があそこの野兎を使って狩ってみるね? 野兎が
「本当に? それじゃあ見せてもらおうかな?」
「よし! 行くよ!」
すると、ノゾカちゃんは人差し指を野兎に向けてから緑色の光が集まり始める。それを一気に放出して野兎が撃ち抜かれた。
「どう? これが私の扱える【カラフルビーム】だよ。凄いかな?」
「凄かったぁ! それが私にも使えるの?」
「普通なら同じ魔法は使えないんだよね。基本は他者と異なる魔法が備わっているはずだよ。アオミちゃんは普通に私と違う魔法が使えると思う」
「へぇ? それならどうやったら使えるようになる?」
私が自分でも魔法を使えてしまうと知れてワクワクする。
そんな内心を奮い立たせる感覚は凄く将来を期待させる。その期待は私を魔法と言う戦闘技術として取得を目指す。
それから最初に必要だと教わったことを実践してみる。実践内容はノゾカちゃんから教えてもらって始める。
「初めは魔力を引き出して慣れないと駄目らしい。それは普通だと慣れるまでの時間が半端ない。だから、今から渡す薬を飲んで欲しいゆだよねぇ〜」
「分かった。取り敢えず薬がよろしく飲めれば良いなら言われた通りにするよ」
「よし! それじゃあ例の薬はこれなんだ。これが飲めたら魔力感知も底上げされる」
ノゾカちゃんが薬を渡して来た。言われた通りに飲み込んだ薬が体内に入ると変化が起きる。全身に不思議な力が湧いて来る。それが確かめられた後から次に移る。
「魔力を感じ取ることが出来たなら指先に集中させていると魔力が動いて使えているはずだよ」
「ふーん? やってみるね?」
私が教えてもらった方法を試す。魔力は全身から感じられるエネルギーだと感覚で理解した。それを指先も集中する意識が強まる。集まって行く感じは自分でも実感が持ている。
しばらくして森を探索しながら集める練習に励む。魔力が指先を目指して動く感覚を馴染ませる繰り返しが施されると多少は掴み始めた。
魔力を動かす感覚が掴めて来た頃から私は何となく水滴を感じていた。それをノゾカちゃんに伝えてみると魔法が出来上がっている証拠だと告げる。
「そろそろアオミちゃんも魔法を使えるかも知れないね? 水滴が感じ取れるなら水系の魔法だと予測できるんだよ。だから、水を出す感じで意識して見ても良いんじゃないのかな?」
「分かった!」
そして私が掌から水が出るような意識をイメージしながら集中力が加わる。すると、掌が水で溢れ返って大量に発生した。
「こ、これが魔法……⁉︎」
そしてさらに集中することで水分が噴き出る。水分は噴水みたいに噴き出している様子から感覚が掴めたように思える。
「これは【ウォーターフォース】だ。水を操る魔法だよ!」
「へぇ? これが私の魔法なんだねぇ」
しばらく掌を上に向けて噴出させ続けた。これを繰り返して使用すると魔法は上達させられるらしい。けれど、ノゾカちゃんが思っていた魔法と少し外れていると告げられる。
「うーん。これじゃあ狩りが出来ないよ。水が操作できるだけで獲物は獲れない。でも、水分補給とか農家に役立つんじゃないかな? それも含めて後で仕事を探して見たいと思う?」
「私は農作よりも狩りをしたかった。ノゾカちゃんみたいな攻撃系を扱えていたらなぁ」
「方法はなくもない。もう一つなら誰でも取得が可能だからアオミちゃんでも扱える。けど、私にも上手く扱えなくて困っていたんだ。それを教えてくれる人がいると良いね」
ノゾカちゃんは唸る。喉から獣みたいな唸り声が上がると私が思わず笑ってしまう。
「––––ぷっ……ぷぷぷっ!」
「ん? 何で笑ったのぉ⁉︎」
「だってノゾカちゃんが獣かと思える唸り声。上げて悩んでるからだよぉ〜」
「はぁ? 真剣に考えてるんだからね!」
それから採集クエストを引き上げて帰還した。すでに十五分前から達成条件が満たされていた。それを私が魔法を吐き出したいと頑張っているところを窺ってちょっと残らせてもらったのだ。
それを実らせた事実は感動させられた気がするんだけど、まだ魔法は幅を広げて強化できる。だから、取り敢えず魔法を強化して街中で活かせる仕事を探す。
そんな時間が経過して二人は少し疲れ気味だった。仕事は色々とあったけど、気持ちを向けられなかった。それでも私の仕事が見つけたいと気を取り直して探して行く。
お疲れ様でした。読んで頂きありがとうございます。実際にアオミは本格化した魔法を発動するところまで書き上げました。次回は魔術取得を目指す回です。




