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ふと、思い出して  作者: 櫻美
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高校での一日はと言うと、あまり覚えておらず

藤野か他に数人の友達か大野先生か

あとは図書館ぐらいの記憶だ。

大野先生は国語の教師で、

背は低く髭は生やしておらず

白髪混じりの頭をいつもきっちり整えて

右目の下にほくろがあった。

大野先生はいつも授業の終わりがけに

私たち生徒に向かって説教混じりの演説をする。

「今すべきことをやれ」この台詞は今でも

耳にこびりついてしまっている。

教卓に両手をつき必死に生徒に語りかけるが、

みんなまた始まったかと、真剣に聞くものはおらず

いつも微妙な空気になるだけであった。


学校が終わり友達と別れ、駅へと向かった。

会えますように。もう沢山願った。

ようやく来た電車に乗り込んでみたが、

彼女の姿はなかった。

座席に座り肩を落とす。隣の車両にもやはり居ない。

鞄から本を取り出し開いてみるものの

集中できなかった。もしかしてと期待しながら

駅に止まり扉が開く度に顔を上げては見渡してを

繰り返しながら降りる駅に着いた。


次の日もその次の日も、会う事は出来ず、

初めて彼女を見かけた日から

気づけば一週間ほど経っていた。

徐々に夢だったんじゃないかとまで

思うようになってきてしまった。


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