六
高校での一日はと言うと、あまり覚えておらず
藤野か他に数人の友達か大野先生か
あとは図書館ぐらいの記憶だ。
大野先生は国語の教師で、
背は低く髭は生やしておらず
白髪混じりの頭をいつもきっちり整えて
右目の下にほくろがあった。
大野先生はいつも授業の終わりがけに
私たち生徒に向かって説教混じりの演説をする。
「今すべきことをやれ」この台詞は今でも
耳にこびりついてしまっている。
教卓に両手をつき必死に生徒に語りかけるが、
みんなまた始まったかと、真剣に聞くものはおらず
いつも微妙な空気になるだけであった。
学校が終わり友達と別れ、駅へと向かった。
会えますように。もう沢山願った。
ようやく来た電車に乗り込んでみたが、
彼女の姿はなかった。
座席に座り肩を落とす。隣の車両にもやはり居ない。
鞄から本を取り出し開いてみるものの
集中できなかった。もしかしてと期待しながら
駅に止まり扉が開く度に顔を上げては見渡してを
繰り返しながら降りる駅に着いた。
次の日もその次の日も、会う事は出来ず、
初めて彼女を見かけた日から
気づけば一週間ほど経っていた。
徐々に夢だったんじゃないかとまで
思うようになってきてしまった。




