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ふと、思い出して  作者: 櫻美
20/24

二十

駅から図書館へと目指して二人並んで歩いているが

やっと少しずつ恵子の歩く速さや歩幅が

わかってきたらしく足並みを揃えて

綺麗に並んで歩けるようになって来た。

とは言ってもまだ、ちらちらと恵子の方に

目をやりながら合わせているが。

こうして並んで歩いている私達二人を見た

周りの人々はどのように思うんだろうか。

ただ単に友達同士に見えているのか、まさか

兄弟だとは誰も思いやしないだろうが。

少しは、お似合いまたは恋人同士なんてものに

見えていたりするのだろか。そんな事を一人で

勝手に考えながら歩いていると、恵子と並んで

歩いている自分の顔がどんな顔をして歩いているのか

気になってきた。妄想が行き過ぎてだらしない顔に

なってはいないかと、我に帰り考えるのを

一旦辞めにする事にした。

図書館へと向かって歩いて行く道中、

恵子は黙ったままであった。

こないだまではお互い全くの他人で

私が一方的に恵子に対して意識し始め

頭をいっぱいにしていた訳だが、今では

偶然出会い、勇気を出して声をかけたのがきっかけで

その彼女と約束を交わしたり、二人で会ったりと

あんまり二人の関係が順調にいくもんで

かえって心配になるくらいだった。

図書館の前へ着き、いつものベンチに腰掛けて

恵子の様子を伺うように横目で見てみたら

スカートに皺がつかないように

手で撫で下ろしてからゆっくりとベンチに座り

細い足は膝を揃え斜めに流していた。

本当にうっとりするほど美人だな。と見惚れていると


「久しぶりの学校はどうだったの?

ちゃんと行ったのかしら、」


「行ったさ、中々起きないもんだから

初日の日は母さんが参ってたよ。」


「そう、私は朝が好き。夜はあんまり好きじゃないわ」


「どうして?」


「夜ってなんだか暗い気持ちになる事ない?

凄く考えこんだり、暗くなった空を見てると

どうしようもなく寂しい気持ちになったりするの。」


恵子がそう言った事を暫く黙って

考えてみたけれど、私にはあんまり

わからなかった。朝と夜とで、どちらの方が

好きだとか嫌いだとか考えた事もなかった。

返答に困っていると恵子が微笑みながら

「そんなに重苦しい話だったかしら?

真剣なお顔しちゃって。」と、言われ

何だか照れ臭くなって何も言わず笑っていたら

それを見て恵子も笑う。すごく幸せなひと時だった。

図書館へ着いてから一時間程経ってから

私達はそろそろ帰ろうかと、また肩を並べて

駅へと向かい歩いていた。今日は何だかいつもより

時間こそ短かったが、恵子との距離が縮まった気がした


「次は日曜日よ、覚えていらして?」


「あぁ、忘れないよ。大事な予定だからね。」


「大袈裟よ、お寝坊さん。またね」


お寝坊さんなんて言われているのにも関わらず

私はどきっとした。私の心を放っておいて

恵子は颯爽と歩いて行ってしまった。

それから数日経ち、日曜日にいつも通り

何十分も早く私は図書館の前で待っていた。

最近になってやっと緊張感も無くなりつつあり

少しだろうが以前よりも二人の距離が

縮まったように思えてきた所だったが、

実はこないだの放課後に会った時から今もずっと

どきどきしたままであった。

待ち遠しいような、そうでないような。と

気持ちが落ち着かない前に恵子は現れた。


「いつも早く来て待ってくれているのね。」


「たまたまだよ。気にしないで」


「もしかして、楽しみにしてくれてたりする?」


照れ臭かったのか、こちらを見ずに聞いてきた。


「うん」これしか言えなくて。

こう言う時何て言ったらいいのだろうか。

恋愛経験も無く、好意を寄せる相手すら今まで

居なかった私は何もわからなかった。

何故だか藤野なら何て言うのかと

無意識に考えていた。


「本当は思ってないんでしょ?」


「そう思うの?」


「思うわよ。あなたって何だか不思議な人ね。」


不思議な人と気を使ってそう言う言い方を

したんだろうな。と強く思った。

周りによく言われるので恐らくそうだと思うが

何を考えてるかわからない人って

言いたかったんだろうなと思った。

強く強く、恵子の事を想う気持ちはあるが

やはり想うだけでは意味がなく、何となくでしか

伝える事が出来ない。

何故、私は好きだと言わないのだろうか?








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