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マイグレーション 〜現実世界に入れ替わり現象を設定してみた〜  作者: 気の言
Phase2 警視庁公安部公安第六課突発性脳死現象対策室
109/152

Tier56 二手

 長い廊下をトタパタと勢いよく走って来る足音が聞こえる。

 そして、足音は突如として止まる。


「ごめん、皆お待たせー!」


 誰もいない六課に勢いよく入って来た那須の声が響き渡る。


「あれ? 皆、いないの?」


 那須はキョロキョロと辺りを見渡す。

 しかし、物音一つせず六課は静寂に包まれていた。


「おかしいな~? 皆もう先に来ていると思ったのに……まだ、来てないのかな~?」


 那須は呟きながらデスクの下や引き出しの中、仕舞いにはゴミ箱の底からパソコンの裏まで皆がいないか探し始める。


「ここまで探していないとなると……もしかして、今日の招集って午前からじゃなくて午後から? だとしたら私、皆より先に来ちゃったってこと?」


 ここには誰もいないので那須の独り言の疑問に答えてくれる者などいるわけもないのだが、誰が答えてくれなくとも那須は自分で結論を導き出した。


「なんだ、私うっかり先に来ちゃったのか。なら、皆が来るまで待ってよ」


 導き出した結論が正しいかどうかはともかく、那須は自分の席に座り皆を待つことにした。

 自分が致命的な勘違いをしていると、いつ気付くのかは那須次第である。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 手塚課長が話終わる前にマノ君に引っ張られて、半ば強引に六課から出た僕達は既に警視庁本部の建物からも出ていた。


「俺と伊瀬は広崎の面会にこのまま行くけど、他はどうすんの?」


「あ、どうすればいいのかな?」


 美結さんが、しまったという顔をする。


「手塚課長、私達に対しても指示出そうとしてたけど、それを聞かずに出て来ちゃったからね」


 少し申し訳なさそうに市川さんが言う。


「多分だけど、渋谷の通り魔事件の資料を整理しといて欲しいとかだと思うよ。それなら、ただの資料整理だから捜査にならないしね」


 丈人先輩の推測に僕はなるほどなと感心する。


「逆に言えば、現状は面会以外に出来るのはそれぐらいってことだな。正直、やってもやらなくてもいい内容だ。資料の整理なんて、この事件の捜査を担当した所が既にやっている。改めて資料整理が必要になるには、新たな手掛かりが出た時ぐらいだ。何も掴めていない、現状にやることなんてねぇよ」


「そんなの分かんないじゃん。もしかしたら、資料整理以外にも何か手塚課長がやって欲しいことがあるかも」


「何かってなんだよ?」


「それは……ちょっと分かんないけど……」


「分かんないなら最後まで聞けば良かっただろう。手塚課長のクソ寒いギャグを含めてな。なんで、一緒に出て来たんだよ?」


「えっと……体が反射的に……」


 気まずそうに美結さんがマノ君に答える。

 体が反射的にって……手塚課長のギャグはそこまで凄まじく寒いのだろうか……


「まぁ、本当に必要な指示があるとしたら、手塚課長だったら携帯に連絡してくれると思うよ。連絡が無かったら、俺達の推測が当たってたってことだから問題は無いしね。俺は手塚課長からの連絡が無いようなら一応、事件の資料整理やるつもりだけど、日菜ちゃんと美結ちゃんはどうする?」


「私もやろうと思ってました」


「アタシも!」


「じゃあ、決まりだね。俺達は事件の捜査資料を取りに行って整理しているから、二人は進展があったらいつでも連絡して」


「分かりました。んじゃ、俺達はさっさと広崎の面会に行くか」


 僕とマノ君は広崎さんの面会へ、丈人先輩と美結さんと市川さんは事件の資料整理ということで僕達は二手に分かれることになった。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

次話の投稿は一週間前後を予定しております。


少しでも面白いと思った方、ブックマーク、ポイントをして頂ければ幸いです。

よろしくお願いいたします。


活動報告も書いています。

よろしければそちらもご覧ください。

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