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59 an(d) t(h)en


『……その言葉、どこで聞いた?』


吟遊詩人(バード)から聞きました」



 眠気のせいで説明がめんどくさい。

 知ってれば説明は要らないだろうし、

 知らなければ説明しても意味ないよ、きっと。

 ものぐさして口を閉じたら、目蓋まで閉じようとしてきた。

 いや、待て。お前はまだだ。


 

『ヴァルキュリャ一族を訪ねて回っていると言ったな。これからの予定はどうなっている?』


「? 明日あと二人、吟遊詩人(バード)から話を聞いて、多分明後日ヨルダール邸に顔を出してから、コングスベルを出立です」



 (まばた)きを繰り返しつつ、ものぐさな口を働かせる。

 答えるのはいいけど、なんでその話?

 早く本題を片付けたいんだけど……。



『次はどこへ行く』 



 俺の質問の答えはぁ……?



「ロンダーネのオーネ家を訪ねる予定です」


『……慎重さは信頼を高める、だが、機会を失う』


「え?」



 眠気が強過ぎて、聞き間違えたのかなと思った。

 身長差がなんだって?

 何を、失うって、言ったか?



『時間切れだ、エルドフィン・ヤール。真実が見えぬ相手とこれ以上語ることはない。グングニルは私が認めた者にしか扱えない。お前が力を欲しているならいずれまた会うだろう』



 う゛ぇっっ!!

 俺がっっ! 最強の味方(ゲイロルル)を失うのかっ?!

 協力も、(グングニル)も得られずにっ!

 一気に目が覚めた。

 絶望の悪魔がその大鎌で俺を睡魔ごと刈り()ったみたいに。

 張り詰めた意識だけが俺を支配していた。

 時間切れだ、時間切れだ、時間、切れた……



「まっっっ!! 待ってっっ!!!!」



 伸ばした手は虚しく暗闇に吸い込まれて、消える。

 真っ暗闇だ。

 何も、見えない。

 ゲイロルルという光は、一瞬で、消えてしまった。

 まぢかよ……。

 失敗したのか、また(・・)

 身体と脳の疲労限界を感じながら暗闇で頭を抱える。

 けれど、焦りと不安は俺を眠らせようとしない。

 朝は淡々と近づいてくるのに、目は冴える一方だ。



「……ど、どーしよぉ……。俺……、くっそぉ……くそっ」



 *

 *

 *



「お。エルドフィン、起きた?」



 聞き慣れた声とともに目に入ったのは、見慣れない部屋とテーブル。

 あれ、ここは。

 なんとなく身体の反応が鈍い。

 慣らすようにゆっくりと、周囲を見回しながら身体を起こす。

 どうやら俺は、テーブルに伏して寝ていたようだ。



「あぁ……、マッシュポワンを食って、俺……寝ちまったのか」


「うん、少しは疲れ取れた?」



 それで、昨夜の出来事を夢で見てたと。



「どーだろ。かえって疲れが増したよぉな気も、しなくもねぇ」


テーブル(ここ)じゃあな」


「いや、でも、少しはマシになってるよ。眠くて、でも眠れなくて、ほんとしんどかったから」


「そ? なら、良かった」



 穏やかに微笑んだアセウスの横には誰もいなかった。

 座ったまま伸びをして、腕と一緒に首を回す。



「……んっと、俺達(・・)だけ?」


「ヤクモ? なら、帰ったよ。魔法陣(ゲート)でお見送りしてくれるって」


「ふぅん」



 変な奴。

 どうせ戻るなら一緒に戻ったって変わらねぇのに。



「明日はヨルダール邸に行って、その足で出立でオケ?」


「あぁ、それなんだけど、ヨルダール邸に行くのはなしになった。宿で朝飯食ったらそのまま町を出るから、少しくらい朝寝しても大丈夫だよ」


「えっ、なんで? 話は?」


「エルドフィンが寝ている間にミゲルさんがここ(・・)に来たんだ。明日、ガンバトルさんが時間作れなくなったから、わざわざ来て貰うのも申し訳ないって」


「は?」


「ミゲルさんの方で調べた話は全部教えて貰った」


「はぁ?!」



 これは往年の名(迷)台詞、ちょ待てよ! を言いたい。



「エルドフィンを起こそうか迷ったんだけど、吟遊詩人(バード)から聞いたのと同じ話しかなかったよ」


「まぁ、それはそうだろけど……」


「オスロへ行く時は、寄ってくれって言ってた。ミゲルさんに呼ばれたって言えば、直ぐ取り次いで貰えるってさ」


「……へぇ」


「ふっっ」



 突然、思い出したようにアセウスはけらけらと笑う。

 ちょ、待てよ。

 笑う要素ねぇだろ。どこにも。



「そー不服そうな顔するなよっ。表情出し過ぎっ」



 実に楽しそうだ。

 むむむむ。



「別に不服じゃねぇーよ。起こしてくれても良かったのにとは思うけどさ」


「だな。さーて、夕飯までどーする?」



 アセウスは組んだ両手を返して伸ばすと、ゆっくりと左右に振った。

 あ。

 知ってる。

 右手首が知らせてくる。

 この動作はあれ(・・)だ。



「……やるか?」


「いーね! エルドフィン暫くサボってただろ。加減出来なくてやり過ぎても怒るなよー」



 言うが早いか、立ち上がったアセウスは腕を回しながら外へと向かう。

 早ぇよっっ。

 いや、そうは言ったけど、俺にも心の準備ってもんが。



「え、明日旅立つのに? 俺としては全然加減し過ぎてくれていいんだけど、いやむしろやり過ぎなくらい加減しろ」


 

 アセウスの足が止まれば良い、なんて思いながら声量を上げて呼び掛ける。

 実戦稽古ってどの程度本気(マジ)でやるもの?

 悪ぃけど、俺そーゆーのに本気見せるの苦手な人種(タイプ)なんだけど。

 完全にバックギアだ。

 しかし、アセウスは軽く振り向くだけで容赦ない。

 

 

「ローセンダールに戻るだけじゃん! ロンダーネに向かうには準備に数日必要だろうし、打ち身の一つや二つ」


 ひでぇ、まぢかよ。

 重い腰を上げると、もうアセウスはドアを開けて食堂を出て行くところだった。

 渋々俺は追いかける。



「ちょ待てよぉー、徐々にって言ったろー? 手加減マックスでよろしこなんだってばぁー」

 

 

 

 

  

 ―――――――――――――――――――

 【冒険を共にするイケメン】

 戦乙女ゴンドゥルの形代でエイケン家の神の血継承者 アセウス

 【冒険の協力者イケメン】

 ? ヨルダール家当主 ガンバトル

 ローセンダールの魔術師 タクミ

 ソルベルグ家当主 カルホフディ

 【冒険のアイテム】

 アセウスの魔剣

 青い塊

 黒い石の腕鎖(ブレスレット)(シグルの監視石付き)

 イーヴル・コア(右手首に内蔵)

 ヴァルキュリャ十一家を繋ぐ帯ベルト

 【冒険の目的地】

 一旦 ローセンダール

 その後 ロンダーネ

 【冒険の協力者ヴァルキュリャ】

 エイケン家 ゴンドゥル

 ランドヴィーク家 通称ソグン

 ソルベルグ家 通称シグル(ドリーヴァ) 

 ✕(ヨルダール家 通称ゲイロルル)



 

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