17 教えてシグルさん!
「さぁ、何が知りたい」
不敵な笑みを見せるシグル嬢への質問タイムが始まった!
Yahoo!! やっぱり最初はスリーサイズだよな。
それから、初えっちはいつかと、あ、ヴァルキュリャだと処女か。
じゃあ、初恋の相手は誰かと、初ちゅーはいつどんなシチュかと……
あぁあっっこの質問DT感満載ぢゃねぇかっっ!
俺は口の端をぴくぴくさせながら葛藤する。
「……それじゃあ、初代ヴァルキュリャが子どもを作って、皆さんがヴァルホルに帰るまでのことでご存知のことを教えてください」
「……何故そんな残念そうな顔をする?」
「いや、気にしないでください。俺はキモ男じゃないんで、知りたいことをちゃんと聞いてますから大丈夫です」
「?」
シグルは何かを求めてソグンを一瞥したが、目を伏せたままのソグンに諦めたのか口を開いた。
「最初に聞かされたのは、私のはずだ。……ファストル、エイケン家の初代ヴァルキュリャはそう呼ばれることが多かったが、ファストルと私はヴァルキュリャの中でも親しい方でな。赤子も私が預かった。とんでもないことだと驚くだろうけれど、更に驚くことにオージンからお許しを頂いたとな。神の子ではなく、人の子として生きるという誓いを立て、神の血の力はオージンが封印したと言っていた。赤子を守るために授けられた魔剣とともにエイケン家に預け、魔物ら害なすものに襲われることのないよう見守って欲しい、とファストルから託され、私はそれに従った」
「ファストルさんは、子どもを預けてどこへ行ったんですか?」
「知らぬ。聞いたが、やらねばならぬことがある、すぐ戻るから、としか言わなかった。魔物との最終決戦が近い時でな、そのためだろうと勝手に思っていた。魔物と戦い滅ぼすことが、何よりも優先されるべき私たちの存在意義だったからだ」
「なるほど」
「しかし、ファストルは戦線に戻らなかった。最後に姿を見たのは、その時の私ということになっている」
おおう……。
しんみりした雰囲気になってしまった。
行方不明の友人と最後に会ったのが自分だとなったら、それはモヤモヤが残るんじゃないか?
しかも自分の勝手な思い込みで、相手が何を考えているのか聞かなかったために謎が残ってしまった。
もしかしたら、シグルもその謎が気になっているから、協力してくれるのかもしれない。
俺はまた思考の波にチューブライディングしていく。
結局、人は自分の利害で動くのだ。
これから先も、俺はいろんな奴に協力して貰わなければならない、多分。
そのための一つの真理として、覚えておこう、そう思った。
「父親のこととか、生んだ経緯とかは話してましたか? 生まれるまで誰も気づかなかったってこともないように思うんですけど」
「一切話さなかった。自分の弱さが招いたことで、誰にも迷惑をかけたくないと言っていた。正直に言うと父親は私も気になってな、赤子を預ける時に、当時のエイケン一族に怪しい奴はいないか調べもしたが、それらしい男はいなかった」
「弱さ……?」
「……私たちはずっと魔物と戦っていた。子を成すような暇もなければ、身重になっている暇もなかった。だからファストルから子を産んだと聞かされてもにわかには信じられなかったくらいだ。気がついていた者などいない。私が信じたのは、ファストルがそんな嘘をつく者ではないというそれまでの信頼と……赤子がファストルに良く似ていたからだ」
「神話だと、神や精霊はぽこぽこ瞬間的に生んでますもんねぇ。ヴァルキュリャもそういう産み方なのかもしれないしなぁ」
「ファストルは、最終決戦に備えて、何人かのヴァルキュリャたちと魔山の近くで偵察を行っていた。その期間はお互いに顔を合わせる時間も少なかったから、あるとしたらその期間だろうとは思っている」
「そこって、人間がいそうなところなんですか?」
「普通はいないな」
シグルは表情を変えずに淡々と答える。
表情から何か読み取れないかと見る必要もねぇなぁ、と俺は天井を眺める。
そうだよなぁ。
魔物の本拠地と言われる南の魔山。そんなところの近くに普通は人間はいない。
いるとしたらぶっとんだ戦士か。神か。
父親が魔物の可能性は除いた。
魔物の子をオージンが許すとは思えないし、アセウスに魔物の要素なんて微塵も感じられない!
天使ちゃんだぜ?! 輝く光だぜ?!
アセウスが魔物の眷属だったら俺なんてゴブリンだろ。
え? 最近のゴブリンは主役張れるくらいの人権だから生意気言うなって?
ひでぇっ、俺、ゴブリン以下なのかよ~(涙)
ウホホーッ
ボボンガ コインガ。
「赤子をエイケン家に預けてからほどなくして、オージンが赤子に会いに訪れた。私はオージンに尋ねたよ、ファストルの身に何が起こったのか、赤子の父親は誰なのか」
「!! オージンはなんて?!」




