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    約束の代わりに、サヨナラを②

【ふりかえり】

 幼馴染みのアセウスと俺、エルドフィンはフィヨルドの森ではぐれハイリザードマンと遭遇した。なんとか倒し、手に入れたのは、不思議な青い塊。

 その夜、二人が宿泊した町を魔物が襲う。

 何故かアセウスの部屋に伝説クラスの魔物イーヴル・アイが現れ、アセウスは球体に捕らえられていた。アセウスを救うべく、エルドフィンは剣を掲げ球体へと跳んだ……!


 人は死ぬ時、死ぬくらい危険な時、世界がスローモーションで見えるっていう。

 あれは、本当だ。

 知ってた? 結構経験してる人いるよね。俺は二回経験してる。

 一回目は前世を終わらせた時。コマ送りの電車が今でもはっきり思い出せる。

 二回目は今、コマ送りの球体(スフィア)と、それに近づいていく剣先。

 球体(スフィア)の底に手を伸ばすアセウスも見えた。


 剣が届いたところで、どうなる保証もなかった。

 球体(スフィア)の魔力に(はじ)かれて、俺が消滅するだけかもしれない。

 ――それでも、その何等分にもされた一瞬の間、何か満ち足りた心地がした。

 剣

 先

 は、

 球体(スフィア)

 に

 届いた!


 バリ バリバリィィッッ バチ  バチッバチ バチッッ――

  バリッ  バリッ    バチバチィ  バチッッ


 激しい雷鳴と稲妻が闇を切り裂き、物凄い勢いでその眩しい裂け目に身体が吸い込まれていくっ

 一面の白光から別の次元っ!! やはり漆黒の闇!!

 俺は闇の中に一人漂っていた。辺り一面ひたすらの闇。

 アセウスの入った球体(スフィア)とイーヴル・アイが、画面映像のように、遠くに映し出されていた。


 『(なんじ)の願いに偽りはないか』


 声が頭の中に(とどろ)いた。

 さっきの世界とを繋ぐ裂け目から、青白い光が流れ込み、俺の前で形を造っていく。


 『絶対に助ける、命を懸けてもという言葉、(たが)えぬと誓えるか』


 たなびく長い巻き毛

 目鼻から顎にかけての美しい輪郭


 ……これってっっ女の子っ?! ……しかも超っ絶っ可愛い!!!!


 細くなまめかしい曲線を描く首から肩

 触ってといわんばかりの鎖骨

 柔らかそうな形で弾む豊満な胸


 うぉおななななななななんで裸ぁァァ!!!!

 えぇっっ?! これ俺見ていいやつ?!?! ダメと言われても見るっっ

 ここまで来たら見るけどォォ!!


『…… …… ……………… ……えよ』

 わずかに筋肉がのぞく腹から腰へと続くくびれ

 色が無いのは惜しいが脳内着色すればいい話だっ

 なんで「雪国」が出てきたか謎だったけど、この予兆だったんだな

 エロいって聞いて読んだけど、リア厨には生々し過ぎて一頁でリタイアした本。

 今なら、……俺も指の匂いを嗅げる!! かもってこと?!

 ぁあ!! ダメだ!!

 肝心なところはガスっててモヤモヤしてて、見えねぇェェェエ!!!!


 『如何に。……答えよ!!』


 「…あっっ! はいっっ!!」



 大音量で轟かれて、俺はとっさに返事をした。

 すんませんっ、全然聞いてなかったわ(汗)

 てゆーか可愛いんだから、可愛いはずの声で聞きたい。

 頭に響くやつは声というより音で、思念派で、どっちかというと恐い…


『ならば、ここに契約を成そう。形代(かたしろ)に預けし我が力、汝のものと成す。汝、形代の生命(いのち)忠僕(しもべ)と成らん!! 我が名はゴンドゥル!』


 轟音が響くと共に、青白い光で出来た人形(ひとがた)はまばゆい閃光となった。

 そのまま閃光は空間を瓦解させ、次元そのものが大きく爆発する!!


 カッッッ!!!!


 その一瞬で、俺は初めの(・・・)異空間、オンボロ家具とイーヴル・アイの目の前に戻って来ていた。

 ビリビリとイーヴル・アイの魔力が身体を押し潰してくる。すごい圧だ…。

 だが、少し前とは決定的に違っていた。

 俺の身体は異空間の闇の中に浮いていて(・・・・・)

 剣を構える腕に、()()()()()()()()()()()()()()()()


 ……!!!! 色が付いてる!! てゆーか実体があるっ!!

 めっちゃふわふわしてる~っつか、胸っっ当たってるから!!! もっと来てぇえェェ!!


 俺はすぐ隣で腕にしがみついている可愛い彼女(ゴンドゥル)をマジ見しました。

 黄色人種(にほんじん)の色白とは全然違う、透けるような白い肌。

 くるんくるんと長くたなびく髪はプラチナブロンド。

 うっすらピンクに見える乳白色の衣に、

 アイスシルバーの鎧兜(よろいかぶと)をまとっている。


 ……これは……いわゆるワルキューレたんですか!!

 美少女はデフォで風をまとうんですね!

 衣や髪がひらひら舞って垣間見えるいろんなところがエロいですっっ。


 そんなことを思いながら、ゴンドゥルと名乗った彼女を、

 というか主に鎧の胸当てからあふれでて腕に当たっている胸を見ていると、

 大きな群青色の瞳がすぐ近くで俺を見ていた。

 きらきら光るプラチナブロンドの睫毛(まつげ)が可愛すぎるっっ



「やらぬのか?」



 絡める腕の力を強めて彼女(ゴンドゥル)が言った。



「やりますっっ、て、え?! いいんですか?! いきなり?! 」



 思っていたより高く軽やかな声に、俺は身体全体でびっくりする。あかん、DT弱すぎ!

 そして、漫画みたいな積極的に迫られる展開ぃィ?! DTには難易度高い!!



「契約は成された。(われ)のすべては汝の思うがままだ」



 きょどってる俺に冷ややかな目つきになりながら、下半身に刺さるパワーワードを吐く可愛い唇。



「……分かりました。俺も男です、やらせていただきます……。えっと……初めてなので、上手く出来ないかもですけど……」



 精一杯のイケ顔 (のつもり)を作って彼女(ゴンドゥル)に告げると、



「では我が教えよう、あれ(・・)に向かって剣をふるえ」



 彼女(ゴンドゥル)は顎で示しながら顔を「あれ(・・)」に向けた。


 ――イーヴル・アイ

 目の前に現れた雑魚(おれ)に今の今まで忘れ去られてた

 手持ち無沙汰感がにじみ出ちゃってる魔物(モンスター)

 一応、伝説(レジェンド)クラス……ゴメン……


 …………そうだった……修羅場だったんだっけ……

 ……………………………………………………………………

 「やる」ってそのことですね。そうですよねー。



「転生者ナメんなぁあァァァッ!!」



 俺はやりきれない想いをぶつけて剣をふるった。

 剣から蒼白い稲妻がほとばしる!!!!

 と、思ったが早いか、稲妻に呑み込まれたイーヴル・アイは瞬滅した。

 イーヴル・アイが場を作っていたらしく、異空間も闇も瞬時に消え去り、浮力を失ったオンボロ家具がオンボロ部屋にゴトゴトと落ちた。






―――――――――――――――――――

【倒した魔物(モンスター)

 イーヴル・アイ

【獲得したアイテム】

 未確認



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