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第九話 ベルゲンの赤い輝き①

【ふりかえり】

 幼馴染みのアセウスと俺、エルドフィンはフィヨルドの森ではぐれハイリザードマンと遭遇した。なんとか倒し、手に入れたのは、不思議な青い塊。


 その夜、二人が宿泊した町を魔物が襲う。突如現れた超強かつ超絶可愛いゴンドゥルと契約を結び、伝説クラスの魔物イーヴル・アイを倒し、球体に捕えられたアセウスを救ったエルドフィン。


 アセウスが狙われた理由を求めて北ベルゲンへと向かう旅の途中、魔物トロルに取り囲まれ、ゴンドゥルの力で倒すところをオッダ部隊のジトレフに見られてしまった。


 ローセンダールの町でスリに絡まれたところをジトレフに助けられるなど、様々な出来事が起こる中、ジトレフの祖先だというヴァルキュリャが現れる。


 この世界に優位に立たなきゃなんねぇっ……ベルゲンでエルドフィン達が知ることとは?

 10メートル四方程の広い部屋。

 床には剥いだ樹が敷き詰められていて、

 そこに黒く魔法円が描かれている。

 照明は薄暗く、壁に幾つか据えられた松明が照らすだけ。

 石造りの部屋特有の、湿気のあるひやっとした空気。


 ゲームのダンジョンみたいだ。

 さながらここ(・・)はセーブポイント。


 周囲を観察しながら、俺はそんなことを考えていた。


 ゲームと違うことは、目の前に人が立っていること。

 魔法円の外、正面位置の壁側に、三人立っている。

 両脇の二人の男が素早い動きで魔法円の一部分の床木を外す。

 残された一人がゆっくり魔法円の中、俺らの方へ歩み寄ってきた。

 床木を壁に立て掛けた屈強な二人は、小柄な一人の両側へと戻る。

 着ている物で、三人の関係性はすぐに分かった。

 真ん中の小柄がこの(・・)()の者で

 両脇の二人はその子分兼護衛役だろう。

 (絵面(えづら)がまんまロケット団だったわけっスよ。)



「ようこそお越しくださいました。ソルベルグ家当主、カール・ソルベルグと申します」



 体格や声から若さは明らかだった。少年当主だ。

 だが、堂々とした態度で礼節正しくお辞儀をしたその姿は、

 歴史ある一族の当主として、十分な威厳を漂わせていた。



「後ろに椅子が用意してあります。どうぞお掛けください」



 そう言われて振り向くと、後ろの壁際に椅子が三つ並んで置かれていた。

 俺たちは言われるがままに椅子に腰かけた。

 アセウスの動きに戸惑いが見られる。

 八年前まではこんな感じじゃあ無かったのかもしれない。



「えっと……、おま……あー、カルホフディ?」


「お久しぶりです」


「あ、お久しぶりです……。覚えてはいてくれてるんだ? 俺、アセウス。アセウス・エイケン。ほら、一緒に遊んだ……」


「貴方がエイケン家のアセウスだということはローセンダールから聞いています。当家にお越しになったご用件を伺いましょう」


「ご用件って……」



 けんもほろろってやつか……

 脳内からキジが飛び出て来て

 カルホフディの頭上を「ケーンッッ」と派手に鳴きながら羽ばたいている。

 アセウスはカルホフディの態度が変わるのを待ったみたいだけど

 キジが「ケーンッッ」「ケーンッッ」「ホロホロ」と煽るように騒ぎ続けただけだった。


 うるせぇっっっ

 シュパァーーーーンッッ ッッ


 脳内から構えた銃でキジを撃ち殺す!

 フッこれぞキジも鳴かずば撃たれまいってやつだな。



「……我々一族に伝わる伝承を全て詳しく教えてください」


「何故ですか? 貴方はエイケン家を捨てたのでは?」



 おーいっ、誰かきび団子持ってこーいっっ。

 それか孤高の山猫スナイパー呼んでこいっっ。

 お前ら聞かれたら答えてあげるが世の情けじゃなかったのかよ。

 ちっこい真ん中のぉっ

 「なーんてニャ!」って言うならさっさとしてくれ?

 俺はアセウスをちらっと見る。

 アセウスは俺とジトレフに「心配ない」と軽く笑みを見せると、

 カルホフディに向き直って力強く答えた。



「そのことも含めて、カルホフディと二人で話したい」


「分かりました。両親が皆様に是非宿泊して欲しいと申しています。今日は晩餐をご一緒にと準備していますので、どうぞお泊まりください。お連れのお二人は先に部屋へご案内させます。一人ずつ世話人をつけますので、晩餐までご自由にお過ごしください」


 カルホフディが合図すると、護衛の男一人が部屋の外へ行く。

 扉の向こう側に控えていたらしい男と共に戻ってくると、俺とジトレフを部屋の外へと連れ出した。


 そーゆーことになってるのか。

 そりゃ、仕方ねぇよな……。


 俺の気持ちと同じように暗澹とした石造りの狭い廊下が続く。

 まだそんな時間ではないはずだが、薄暗く松明の灯りが頼りだった。

 しばらく歩いて、重厚な扉を通り抜けると、明るく開放的な建物が続いていた。

 一角にある並びの部屋へ案内される。



「私達は扉の外に控えておりますので、何か有りましたらお声掛けください」



 ジトレフの部屋の前に立った、護衛役から転身したムキムキの男に比べて、

 随分と華奢な体つきの青年が俺の世話人らしかった。 

 まぁ……悔しいけど順当ですわな。 



「ジトレフ……アセウスが来るまで、適当に休ませて貰うわー」


「了解した」



 俺はさっさか部屋に入ると大きなベッドに腰掛けた。

 肩から荷物を下ろしながら見回した部屋は、なかなかに上等だった。

 俺は部屋の中から世話人を呼んでみた。



「はい、何か?」



 頼り無さそうな世話人が数歩、部屋へ入ってきた。



「俺はエルドフィン・ヤール。貴方の名前は?」


「……スニィオです」



 色の白い彼は怪訝な顔で答えた。

 ですよねー(棒)。

 っでもっ!! 小説や漫画だと結構鉄板なんだよぉーっ!

 初対面の人とか敵兵とか懐柔するのに名前聞くのってっっ

 えぇーっあるよねぇっ? めっちゃテンプレであるよねぇっっ

 俺の使える魔法(もん)っったら、前世の知識しかねぇんだもんつ。

 検討はずれだってなんだって、ダメ元で片っ端からやるんだっ

 挫けねぇぞっっ(←既に挫け済み)



「スニィオさん、……」


「はい?」



 で。……こういう時って、何言ったらいいんだっけ……。(汗)



「俺も、アセウスも、ソルベルグ家の敵じゃないから。アセウスはソルベルグ家のこと、親しい親戚みたいに思ってるし」

 (←ジトレフはまったく数に入っていないご様子)


「?? はい。カルホフディ様も先代も、皆さんのことを歓迎していますよ。アセウス様は旧知の友ですから」



 スニィオはニッコリ笑った。

 駄々っ子を諭すような笑顔だ。

 …………なんか失敗し(ミスっ)たっっ

 お、俺は挫けね(以下略)



「なら良かったデス。昼寝するから放っといて」



 スニィオを部屋から追い払って、俺はベッドに横になった。

 あー、ハズい、消えたい。

 そりゃそうだよな。

 この部屋、この待遇、歓迎されてるわな。

 雰囲気険しかったのはあの部屋(・・・・)でだけか。

 ……通過儀礼(・・・・)か。

 アセウス、頑張れよ。

主人公、ただの、使えない、モブw(。・ω・。)w

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