第四話 Pain Is Love①
【ふりかえり】
幼馴染みのアセウスと俺、エルドフィンはフィヨルドの森ではぐれハイリザードマンと遭遇した。なんとか倒し、手に入れたのは、不思議な青い塊。
その夜、二人が宿泊した町を魔物が襲う。突如現れた超強かつ超絶可愛いゴンドゥルと契約を結び、伝説クラスの魔物イーヴル・アイを倒し、球体に捕えられたアセウスを救ったエルドフィン。
二人を怪しむオッダ部隊のジトレフに監視されながら、アセウスが狙われた理由を求めて北へと旅立ったのだが……
異世界転生しても、42年DTでも、
俺は魔法を使えなかったけど、
(通算だとノーカンなのかな。24年だとまだ6年あるか……)
同じくらい凄い力を手に入れたと思ってる。
一人じゃないって、魔法みたいだ。
辺りに闇が落ちて、焚き火の光や音が自己主張を強めていた。
俺は、なんだか眠れそうにないといって、アセウスに先に寝てもらった。
起きてこなければそのまま寝かせてやろう。
隣で寝ているアセウスを眺めていると、ふと、ゴンドゥルのことが思い出された。
そういえば……「形代」ってどういうことなんだろ。
(なろう的)適応能力高過ぎくんで深く考えてなかったけど……
これから聞きに行く、アセウスの祖先に関係あるんだろうか……
考えてみると、ゴンドゥルの髪もアセウスの髪もプラチナブロンドだ
瞳の色は……アセウスはブルーグレーでゴンドゥルは深いブルー
アセウスも美形だし、兄妹って言ってもおかしくはないな。
同じ血が流れてるんだろうか……
「女の子でも良かったんだけどなぁ……」
ボソリ……と俺の口から本音がこぼれ出た。
はいっっ! ごめんなさいっ!! ホントごめんなさいっ!!
少し前までの感動的な話どこいった!! お前一生ぼっちでいろ!!
て思ったな? (まー思うわな)
大丈夫! (何が) 俺も思うから!! (最低かよおい)
でも……もっともっと欲しいんじゃ~っっ
ゲスいって引かないでぇぇ~!!
だって、女の子だったら……
俺は可愛かったゴンドゥルを思い浮かべた。
白い肌、白金の髪、群青色の瞳。
衣装はそう、ワルキューレもいいけど、海外アスリートにも人気の
少女漫画原作アニメのヒロインの戦闘服とか見たいなぁ
エロ仕様でへそとか露出多めにしてさ……うへへ
セーラー服風のミニスカートの姿を思い描いて、似合うだろうなぁ、なんて妄想した。
すると、横に座るアセウスの回りがキラキラと輝き始めた。
あれ? 焚き火の火の粉でも飛んだかな?
なんとなくアセウスの顔が可愛く見える。
おいおい、それは流石にヤバいって。俺はそっちには行かないよ。
自分で突っ込んでついつい笑みが漏れる。
端から見たら怪しい奴だな俺(笑)。
「そんなに楽しいか?」
可愛らしい声に問い掛けられる。
「え? まぁまぁね。……って、ぇええ?!」
目の前に思い描いた通りのコスプレをしたツインテールのゴンドゥルがいて、俺の顔を覗き込んでいた。
「?!?!」
俺は咄嗟に立ち上がって周囲を見回す。
魔物の襲来はなさそうだ。ストーカーも見た感じ眠りに落ちている。
アセウスは……やはり姿がない。
「(どーゆーことですかっっ?!)」
「汝が呼んだのであろう。奇妙な衣装だな。汝の国のものか?」
立ち上がって、衣装や髪型を楽しそうに確認しているゴンドゥルは、声を潜めた俺に合わせて囁いた。(以下、俺のセリフはヒソヒソな)
ずっきゅーーーーっっん
その衣装で顔を寄せて囁くの、反則ですっっ!
「呼んでません! 呼んでませんよ!! ちょっと妄想はしましたけどっっ」
何故か敬語になってる俺。
自分で言って、ハッとする。
「……然り。呼ぶとは、言葉に出すことに限らぬ。声に出さずとも、汝の内で我への求めがあれば応じよう」
「みみみみ、耳元で囁くの止めてくださぃっっめっちゃエロいから……っ」
「えろいとは?」
「え……えぇと、それは……」
「そうだな……汝が国の言語を手に入れた方が良いかも知れぬ。それより、この程度のことで我を召喚して……良いのか?」
ゴンドゥルはコスプレが気に入ったのか、嬉しそうにくるくる舞踏のような動きをした。
「?? あっそうです。教えてください。呼び出す方法はなんとなく解ったので、あなたを召喚する時のルールみたいなものを」
「あぁ、まだもたらしていなかったか……だが、既に来てしまったようだ」
ドンッッッッッツ!!!!!
一瞬で周囲に重苦しい魔力が満ちる。
魔物だ。しかも数が多い。
囲まれている……?!
一体一体はそこまで強い魔力ではなさそうだが、20体以上はいそうだ……!!
ゴンドゥルがいると分かっていても、気持ちの悪い汗が身体から出る。
『一つ、我を召喚している間は、形代に負荷がかかる。当然だ、人間の身体に半神を降ろすのだからな。形代の身体にその余力がなければ我を召喚することは出来ない』
ゴンドゥルは肉体を使って話すことを止めたらしい。
またあの恐ろしい声なき声が轟いた。
暗闇の中から、背の低い、だが頑丈そうな体駆の生き物がその醜悪な姿を現してきた。
『一つ、召喚により、汝が使える我が能力は、形代の精神、肉体に左右される。使える能力の上限は我それ自身、神の領域まで届こうが……人間の形代ではその全てを使い得ることはなかろう』
魔物の姿が焚き火の炎で徐々に照らされていく。
毛むくじゃらの身体、大きく伸びた耳、身体のあちらこちらを醜く飾る傷跡
『一つ、我が召喚される時、次元をつなぐ扉が開かれる。世界は均衡せねばならぬ。次元の歪みなき調和において、瑣末な汝が我が召喚を成せば、世界は均衡へ回帰する。故に、我に反する魔力の存在も召喚される。くくく……この魔物も汝が呼び出したのだ』
なっっッッ! なんだってぇェェェェエ??!!
間合いを見ながら周囲から目を離さないようにしていた俺は、つい顔ごと振り返る。
魔物たちに対峙するように、自分の横に移動したゴンドゥルに、驚愕した顔を晒した。
それが余程愉快だったのか、ツインテールのゴンドゥルは妖艶に微笑んだ。




