33,アシュレイの道中
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周りを見て耳が1つも拾い忘れてないことを確認するとレオン達の元へ戻る。
「リン怪我はないか?」
レオンにすぐ抱き上げられる。私の返事をまたずに頭、頬、腕を手で触れて直接確かめようとする。
「大丈夫だよー?レオン心配してくれてありがとう」
私はレオンの腕を掴み自分の頬に彼の掌を寄せる。
「番を心配するのは当たり前だ。——覚えていてほしい。番のおまえに命を落とすような事がおきたら俺も命を落とすことを」
レオンは悲愴な面持ちで話し「片方が失われれば残された片方が狂う——それが運命の番だ」私の頬から優しく掌を剥がすと両手をレオン自らの首元へ寄せる。
「ここに俺の逆鱗がおまえの為にある。結ばれた時に飲み込んでくれ」
逆鱗……逆鱗を飲めば魂が結ばれるという大切なモノ。
「うん……必ず飲むよ」
ソルがどうして私を魔人族に転生させたかわかった気がする。竜人のレオンは逆鱗を飲むことで成る魂の結びつき、魔人族の私は血を飲むことで成る魂の結びつき——あらゆる手段でソルとルナを確実に結び付けたいと。
(マスター、番様。この先に魔物がいる。私がこのまま対処しますので多少揺れますのでご注意ください)
ニュークに告げられて少し走ると、前方にワイルドボアが3体を見つける。ニュークは加速するとまず1体を前足で蹴る。蹴とばされたワイルドボアは蹴とばされて姿が見えなくなり、遠くで「グチャ」という音が聞こえる。2体目はニュークに飛び掛かるが素早く前方に進んで躱し、後ろ脚で蹴り上げる。後方に蹴とばされたワイルドボアは頭部が破壊され即死なのが振り向けばすぐわかった。3体目はレオンが無詠唱でファイヤーで燃やした。
圧勝だったけど……ニュークの脚に蹴られないよう気を付けようと強く思った。
山に入ると傾斜がきつい坂道になり、途中で休憩する旅人を何組か見かける。その中には若い女性の冒険者のグループもいる。私よりも少し年上みたいだ。
同性とはいえあまり見ているとレオンが嫉妬するので、すぐ前方に視線を戻す。
「もう少ししたら頂上に着く。俺達も休憩するか?」
レオンが提案する。
「うん、そうだね。ニュークもずっと走っているし」
(私は大丈夫だが?お言葉に甘えるか)
頂上で休憩を取ることになった。
頂上に着くと少し奥に入ったところで私達はお茶をいただく。レオンが異空間からポットとカップ等を出してティータイムの準備を始める。相変わらずてきぱきと動いている。執事とかと間違われてもおかしくない。
森の中で広げられるテーブルの上にはティースタンドが出され簡単な軽食とお菓子がいろいろと並ぶ。レオンの膝の上に座らせられ、出されたカップに口をつける。飲み込むとカップのかわりの物が口に運ばれる。
もぐもぐと咀嚼しているのをレオンは蕩けた顔をして見ている。
「リン、ビスケットはどうだ?」
まだ食べ終わっていないのに、すぐ次をすすめようとする。なので私はサンドイッチに手を伸ばし、レオンに食べさせることのする。
「リン、サンドイッチが食べたかったのか?すまぬ」
「ううん、違うよ。はい、レオンあーん」
レオンの大きい口に入れる。口に入れる時に私の指まで口に入れようとしたよ?!軽く甘噛みしてからサンドイッチだけを食べる。
「レオンはこの道を通ったことがあるの?」
もう少しで頂上だと言っていたからね。
「ああ依頼で何度か通った。警護もやったな」
「——警護?この辺りは治安が悪いの?」
私が聞くとレオンは頷いて見せる。
「ここまできつい坂道だっただろう?旅人等が坂を登り疲れきった時を狙って山賊等が襲う」
疲れている時に不意をつかれて襲われたら大変な事になる!
「大人しくしていれば奴等は命まで取らないみたいだが。女性は襲われたという話を聞く」
私は途中で見かけた女性だけのグループを思い出す。彼女達が何も起こらずに通過できる事を願う。
「帝国とか領主が山賊を捕まえないの?」
「あまり殺されていないからな。リン、あれを見て」
レオンの指は遠い山の頂上にある建物をさす。
「——あれは?」
「頂上にあるのはグランドール帝国の軍の建物だ。そこから他国からの侵入されないようにと見張るためにある。あくまでも国防、見張りのための軍の配置なので山賊のために動かない。山賊を捕まえたりするのは領主の仕事なのだ」
せっかく軍の人がいるんだからついでにパトロールすればいいのにと思う。山賊を捕まえるのが領主の仕事というならちゃんと仕事を全うして欲しいものだ、私の唇にクッキーを押し当てられ視線をレオンに向ける。
「リン、はいあーん」
給餌するレオンの顔は本当にうれしそうだな、と思い口を開ける。
ありがとうございます。




