2,真中ほのか
宜しくお願い致します。
私、真中ほのかは高校一年。まっすぐな黒髪と少し大きな目のどこにでもいるような普通の女子高生だと思う。漫画とかライノベ、ゲームが大好き。ファンタジー、とくに異世界モノとか。魔法を使えたらいいよね?
入学したらバイトして、自分で好きな本とかゲームを買おう!
今日はコンビニでアルバイトの日なので学校が終わってからは自転車に乗ってバイト先に向かっている。
車道を走っていると、突然、後ろから衝撃を受ける。私は物凄い痛みを覚え、身体が吹っ飛んで行くのが自分でもわかる。
(どうして?!もしかして私ヤバい?!)
スローモーションで見えていた景色が突然、真っ白となって、私の意識が途切れるのであった。
「――。ほのか」
――うん?
「――。ほのか」
誰かが私を呼ぶ。
「私を呼んでいるの?」
声に応えることができても、瞼を上げることはしない。いや、できないのだ。どうしてだろう?
「うん、そうだよ」
何故か懐かしく心地よいバリトンが返って来る。見えなくても金色の光が私を包み込む。
「……あのう、すみません。私は一体どうなってしまったのでしょうか?あと、どうして目を開けることができないのでしょうか?」
「私はソル、そなたのいた世界とは違う世界の、異世界の神である。――ほのかは背後から、居眠り運転のトラックに追突されてしまったんだよ。それが原因で命を落とし、そなたの魂を奪われないようこの世界に拾い上げたのだ。目を開けられないのは、ほのかが魂の状態だからだ」
――ええええっ!
告げられた事実に息を吞む。
「えっ。……何故?!」
「そなたの魂はとても、とても美しく輝いている。そなたのいる世界の悪しき神ならぬ者がほのかの魂を欲して、トラックのドライバーを操り、殺して手に入れようとした」
――魂って?!
――悪しき神って!
「……ほのかは私の大切な、大切な魂の欠片を抱く者。奪われる訳にはいかない。それで私は自分のいる世界へそなたを引っ張った」
私の顔はたぶん間抜けの顔をしているだろう。
こんな大事な事を話をされているのに、頭がフリーズしている。働け脳みそ!
「焦らなくてもよい。まだ少しは話せる時間はある」
――それって?
「いずれ話せなくなるって事でしょうか?」
恐る恐る尋ねてみる。
「そうだよ、ほのか。私はそなたを引っ張るのに力を多く使ってしまった故にしばらくの間、眠りにつかなくてはならない」
「ごめんなさい」
涙が勝手にこぼれてくる。――涙が出ているのかわからないが。
この声の持ち主と時期に話せなくなるのが心が苦しく思う。
「泣かないで、ほのか」
「……だって……」
「目を覚ました時にもう一人の私が、そなたを迎えてくれるだろう。安心して」
「もう一人の私!?」
「うんそうだよ、もう一人の私だ。」
私の頬というか私自身を優しく撫でられている感じがする。
「もう一人の私、彼はそなたの番である」
「……っ!ツガイ?!」
「そうだ。そなたには私の永遠の伴侶の魂を宿している故、もう一人の私でもある彼とは伴侶となる」
――はっ、伴侶ー!
男の人と一度も付き合ったこともないのに、口を鯉のようにはくはくさせる。
「そなたは愛いのう。あとお願いがある。向こうにいったら世界の過分な魔素のコントロールをしてもらいたい」
「え?それは?」
「私の世界は今は魔素が過分に増え、あちらこちらで瘴気が溢れておる。このままだと人類が生き続ける事ができなくなる。そなたの力で魔素バランスを整えてくれないか」
「……私の力って?」
「そなたは私の伴侶・ルナの化身であるから彼女の力が使える」
「ルナ?」
「私の唯一の伴侶だ。――そなたには地球でいう空気清浄機のような役目を担ってほしい」
――空気清浄機?!
「わからないことがあれば、まずは、ステータスオープンと唱えるといい」
ソルさんが私自身に口付けを落としたみたい。体が火照るよう。
「そろそろ別れの時が来たな。また会えよう」
私自身が真っ赤になったのがわかる。
最後までソルさんを見る事ができずに、再び意識が途切れた。
「魂を美しく輝かせ、なんと愛らしいことか。アメトリンの名の肉体を得れば、もう一人の私が暴走するであろう。……少し待たせるのもよいな。」
ソルさんの呟きは私には聞こえなかった。




