12,上層 森のエリア①
よろしくお願いします。
レオンに抱えられたまま飛行して上層を目指す。ここは森のエリアで樹木がうっそうと茂っている。大きい魔物の気配がない。サソリとか小さい蟲型の魔物の気配はあるけれど、影に潜んでいて姿を見ることができない。
「そういえば……この辺はワイバーンが多くいたな。ここを通過する際、気が急いていたから何物にも邪魔されぬよう咆哮で威嚇しまくったりしたから俺の魔力を感知して近づいて来ないな。……すまない」
レオンは申し訳なさそうに話す。――どんな魔物だって大きなドラゴンが咆哮を上げ威嚇しまくっていたら近づきたくないに決まっている。
「気にしないで、レオン。私嬉しいんだよ?レオンが必死になって私の元に駆けつけてくれたんだから」
私はレオンの頬にキスした。そろそろレオンに慣れてきて、2人きりだったらほっぺチューはできるのである。
「頬だが、リンから初めて口付けをしてくれたな」
レオンは艶めいた微笑みを浮かべると、お返しと言わんばかりに、唇にキスをしてきた。バードキスかなと思って待ち構えていると、あっさりと顔を離した。
――もう終わっちゃうの?
その時の私はどんな表情だったのかわからないけど、レオンはうっとりと美貌を蕩けていた。レオンは飛ぶのを止め、その場に留まる。
「リン、俺はお前のことを愛している、自分の命よりも大切だ。だが、リンはこの世界ではまだ未成年だ。成人するあと2年先までは性的接触は我慢しようと思っていたが、今のリンはどう見ても子供には見えない。――どうか俺にもう少し深くリンを愛するのを許してほしい。成人したらすぐに婚姻を結ぼう。これから先もずっと俺と一緒にいてくれ」
私の手を取り、全ての指先、左右の掌、額、瞼、鼻、頬にキスを落としながら愛を乞う。レオンのキスはとても熱く、触れられたところから蕩けてゆく。
「――リン、返事をくれ」
「うん、レオンと結婚して一緒にいる。――大好きだよ、レオン」
私から唇にキスをした。
「――煽るな、リン」
レオンは乱暴に私の頭を抑え込むと、激しいキスをする。いつもと違う。貪るように奪うようにレオンの舌が私の中に侵入し、私をからめとっていく。よそ見、息継ぎせも許さないと言わんばかりに、あらゆる角度から私を欲してくる。
――ああ何も考えられない……。全てが蕩けてしまいそう……。溶け合い貴方と1つになりたい……。水音を遠くに聞きながら理性を手放し、レオンに身を預ける。
「アメトリン、魂が叫ぶほどにおまえを愛している……」
レオンの切なげで苦しそうな声に囁かれながら私の意識はホワイトアウトのように白一色になり途切れた。
――ああ、いい匂いがする。これ大好きな匂い。くんくんと鼻をならし、もっと嗅ごうと鼻を近づける。「――クッククク」小さく笑いながら私の髪を梳く。
ーーこれ気持ちいい……。もっと撫でてほしい……。
「――リン?起きてくれ。起きないと悪戯するぞ?」
と言われ慌てて覚醒する。目を開けば、比類なき美貌が微笑みを浮かべ私を覗き込んでいた。
「レオンごめん。どのくらい時間が経ったの?」
顔を赤くしてしまったけれど、とんでもない美貌が起きたらすぐ傍にあり悲鳴をあげなかった私を褒めてほしい。
「リンが意識をとばして、そんなに時間は経ってないぞ。スピードを上げて飛行しているが、森のエリアを抜け、別の森のエリアに入ったみたいだ」
レオンは海水浴の姿から着替えていてローブを纏っていた。私もすぐにワンピースの姿に戻した。
「ーー残念だな。リンのお臍はとても愛らしいのに見えなくなるのは」
レオンはニヤリと笑うと私の髪を一束すくいキスを落とした。
お臍の件はセーフだけど、ニヤリと笑う顔はカッコよすぎてアウト。ーーもうドキドキして顔がほてっちゃう。
少しでも早く頬のほてった熱を逃そうと両手で包む。これで赤い顔隠せられるかな?
なんとか平常心を取り戻し、ここのダンジョンはどうなっているのかわからないので、ララにおしえてもらおうと念話を送る。
(ララ、ここのダンジョンの様子がわからないからおしえて)
(ではマップをマスターに送りますね)
ララからダンジョン・マップを受け取ると、頭の中で展開する。
ダンジョンは螺旋状の形になっていて5層(上層から洞窟エリア→森のエリア→森のエリア→海のエリア→森のエリア)ある。エリアの繋ぎ目は緩やかなスロープ状になっている。広大な規模の繋ぎ目なのでわかりにくい。ここのダンジョンにはライトノベルにあるワープ、セーフエリア、ボスの部屋等はない。ワープと部屋はあってもいいと思う。
(マスター各部屋にワープとマスターの部屋を制作しましょうか?)
(それってできるの?)
(はい、マスターの持つ魔素をいただければ可能です。お任せいただければ、只今より着手します)
ララは有能なバトラー『執事』だ。
(じゃお願いします)
心の中で頭を下げる。お願いしたら(承知しましたマスター)と返事を聞いたら、私の中の何かがごっそり持って行かれた感じがする。
――私の部屋かぁ♪どんなのができるんだろう。キッチン、調薬とかできたら専用の部屋も欲しいしなぁ。調薬してギルドに売って外貨を稼げるしね。
(マスターの希望を承りました。僭越ながら調薬は私がおしえることができますので、お任せください)
ララは本当にとても優秀なバトラー『執事』だ。
飛行中、森の様子を眺めていると、地上に狼を連れた鬼みたいな姿の2人が私達に遠慮がちに手を振っている。
「レオン、声を掛けたいから下におりてもらってもいい?」
レオンのローブの袖を軽く引っ張る。
「ん?あれか。あいつらはゴブリンキングとジェネラル、シルバーウルフか。わかった、おりるぞ」
レオンはそう言うと彼らの前に着地した。着地しても抱き上げている腕を緩めない。緩めるどころか逆にきつくなった。
私は不満ありげにレオンを見上げるけど、彼は目が笑ってない微笑みを浮かべているだけだった。これは何を言ってもダメそうだなと判断し気を取り直して、彼らに視線を向ける。
ゴブリンキングとジェネラルは片膝をつき頭を下げ、シルバーウルフは身体を伏せて、私達の声が掛かるのを待っていた。
「頭をあげて」
私がそう言うと彼らは頭を上げた。彼らは灰色の肌を持ち、紫の瞳、頭には小さなツノがあり、筋肉隆々の体躯の持ち主だ。けしからん身体を腰衣だけで隠しているだけだ。
キングはジェネラルより体躯が立派で首にはたくさんの首飾りをさげていて、ジェネラルはキングより劣るがそれでも立派な体躯だ。ジェネラルは腰に剣をさげている。
シルバーウルフは銀色の素晴らしい毛並みで是非もふらせてほしい。目はキラキラさせ、尻尾を横にブンブン振りながら私を見上げている。
「こんな態勢でごめんね。私がここのマスターのアメトリンです。私と一緒にいるのが番のレオンハルト。よろしくね」
「俺は番のレオンハルトだ」
レオンは素っ気なく名乗ると、すぐに視線を私に向け、頭に自分の頬をこすりはじめた。
「――名前がないと不便だね。うーん、ちょっと待ってて」
私の傍で何か言いたそうなレオンのことは見ないようにしつつ、彼らの名前を考えはじめた。王様と将軍の名前っと。自重の意味、私ワカリマセン。
「ーーゴブリンキングには『レックス』、ジェネラルには『アーバ』、シルバーウルフには『アルゲ』と名前を授ける」
私が厳かにそう告げると、レックス、アーバ、アルゲらは黒い靄に包まれ白銀の光を放った後に進化を遂げた。
ありがとうございます。




