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それでも生き続けていく〜自伝〜  作者: ヒナノ花ひな
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〜幼き孤独〜


朝ごはんも私は楽しみだった

杏果ちゃんを起こす


「杏果ちゃんー!朝やよ起きてー!」

と、杏果ちゃんをゆらゆら揺する


次に梨花ちゃんも起こし


みんなで歯ブラシをした


歯ブラシさえ楽しかった

一つの鏡を取り合い変顔をして朝から遊ぶ

いつも杏果ちゃんは朝でも御構い無しに笑わせてくる。私や梨花ちゃんも真似をして笑い声が響き渡った。

その声で目が覚めたのかサユリさんが起きタバコに火を付けタバコをふかしながらその様子を眺めていた。


朝ごはんはスクランブルエッグやコンソメスープ、まだ保育園だった私は食べたことがない料理ばかりだった。

そのなかでもコンソメスープにパスタみたいなのが入っていて、私はお味噌汁にパスタが入っている料理だと思い込んだ。


保育園は車でサユリさんが送ってくれた

保育園は大好きだったし親友の絵菜ちゃんといつも遊んでいた

大人の男性は特定の人としか話せなかったが

同い年の男の子とは普通に接することができた

当時は私のことを好きなミツルくんがどうも好きになれなかった。ミツルくんはいつも私に引っ付いてくる。お昼ご飯のときもだ


ミツルくんはニコニコしながら

「一緒に食べよう!」

とついてくるが


私は「付いてこないで!」と嫌がった


すると私の初恋の相手鉄平くんの隣の席が空いていた

私は顔色や声を変え鉄平くんに近づき

「一緒に食べよう!」と言う

「いいよ!」と言ってくれMくんは仕方なく

私の前に座った


今思えばミツルくんとも一緒に食べてあげればよかったのにと思う。

私は嫌いな相手には嫌だと言い好きな相手には顔色や声まで変え接する。当時から二種類の自分を使い分けていたのだ。


また、私には初恋の相手が二人いた

鉄平くんとは両想いだとママ友の間で広まっていたらしく微笑ましく見られていた。


また、文也くんとは一度母親が仕事に行っている間お世話になったことがあった。

身長が高く坊主頭が似合っていた

それでも本命は鉄平くんだった

バレンタインデーには鉄平くんの為に手作りのチョコレートを作り、またホワイトデーはお返しのお菓子も鉄平くんから貰った


そして帰りの時間になりサユリさんが迎えに来てくれる

家へつきサユリさんが料理をしていると

近くにいた杏果ちゃんと梨花ちゃんがなにやらヒソヒソと会話をしている。


私は「なにはなしとるん?」

と聞くが

「なんもないよ!」と教えてくれなかった

何度も気になり教えてと頼むが教えてくれず

私は何かしたのか、それとも嫌いになったのかと不安になった

サユリさんにも言えず、ひとり隠れて泣いてしまう

私はしばらく心を閉ざした

そうだ。私はこの家では自分だけが他人なんだと幼いながらも感じたのだ

いくら同じ時間を過ごしても私には言えないことがあるんだ。

私は近くにあった鏡を取り自分の顔をじっとみた。杏果ちゃんと梨花ちゃんとはまるで顔さえ似ていない。

それは初めて味わった孤独感だった。

〜母親のお見舞い〜

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