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それでも生き続けていく〜自伝〜  作者: ヒナノ花ひな
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〜タイムリミットは一時間〜

新しいアパートに母親と共に引っ越し二人で暮らすようになる。

近所には歩いて行ける距離におばあちゃん家もあるから安心だ。

日に日に母親の様子がまえとは違くなっていたことに薄々感じていく。

わたしは少食の割にご飯を食べるのも遅く残すことが多かったのだ。

それである日、母親は一度ものすごく私に対して怒った

「食べるのが遅い!まずいんか?ママが作ったのこれじゃあ作った意味がない!!食べんのやね?」と


動悸が激しく波打ち今すぐにでもおばあちゃん家に行きたいくらいだった。

何も言えない私に食べている途中なのにご飯を取り上げた。

怖くて泣くことしか出来なかった。


私はいまでもご飯を味わい食べるというよりも友達などと食べるときは残してはいけない全て食べなくてはいけないということに集中し食べている。


そして母親はご飯を食べ終わるたびにトイレで吐くことが多くなった。

私は静かにトイレに一緒に入り泣きながら

大丈夫?と言った。

不安で仕方がなかった。母親は「大丈夫」と言っても死んでしまうのではないかと。

その頃からだ、もしも母親が死んだら私はどうなるのか、おばあちゃんに預けられてもわたしはまだ子供だからおばあちゃんやおじいちゃんは先に亡くなって、私はひとりぼっちになる。


とにかく不安で不安で仕方なかった。


次の日の早朝、そんな不安が的中する。

冬の寒い朝だった。

私は前日に母親がいつもと違うことに気づいていた。不安感を抱えたまま、ただ母親の様子を気にかけながらも眠りについた。


いつもよりはやくに目を覚めた私は

異様な空気に包まれる。


部屋はお酒の空き瓶が散乱し

机の上には大量の睡眠薬のような物

そして暖房のすぐ前に母親が寝っ転がっている


「ママ……?」

そっと横になっていた母親を仰向けにすると、目は虚ろで緑色の泡を吹いていた


(ママ!?!?)


裸足で家の鍵を開け扉を開け階段を一目散に冷たい足で駆け下りる。


外に出ると見知らぬ女性が傘をさし

「おはよう!裸足…?ねぇ!ちょっと!?」

と、挨拶をされるが、耳も向けず頭の中はただ母親のことだけだった。


おばあちゃん家に近づきちょうどゴミ出しをしているところで

声にもならない混乱状態で

「たすけて。。ハァハァ、ママが、ハァハァおうちで、、」

只事ではないと感じ取ったおばあちゃんは

「おばあちゃん家で待ってなさい」

と言った。

私は仏壇の前で泣きじゃくりひーおじいちゃんがお菓子を渡すが震えてなにも出来ない。


母親のことだけが気になり私は靴を借りてまた走って自分の家へと戻った。


大勢の人が家の前で集まっている。


救急車が止まっており運ばれていく母親を見つめていた。おばあちゃんの服をそっと掴んで。


医者からは私がいつも通りに起きていたらそのまま亡くなっていたと。

あと一時間遅かったら助からなかったと言われた。


母親は鬱病を発症していたのだ。

次回〜新たな生活〜

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