本編7
「という訳で、来週蒼史くんと出掛けてくるね。」
あの後蒼史くんと相談した結果、来週にハイキングに行くことになった。
「蒼史くんって、美瑠璃ちゃんの従兄だよね?」
「うん。さっき言ったよね?」
「……じゃあ、僕も行く。」
「え?」
じゃあって、どこから出てきたの?
「っていうか、平日に行くつもりだから、陸くんは学校に行かなきゃ。」
「サボるから大丈夫だよ。」
「えっ!だめだよ!」
「でも、家族で出掛けたことないし、折角なら蒼史くん、って人にも会ってみたいな。」
「ゴールデンウィークに旅行行ったじゃん!蒼史くんともそのうち会えるよ!」
「この前の旅行は、美瑠璃ちゃんが熱で、あんまり一緒には楽しめなかったし、蒼史くんとは、美瑠璃ちゃんも滅多に会わないってさっき……」
うっ。
「そ、そうだけど、やっぱりサボりはだめだよ!」
私は陸くんを思い止まらせようと何度も説得して、話してないのに知られていたハイキングの当日も、付いてこようとする陸くんを撒いて、蒼史くんとの待ち合わせ場所にたどり着ました!
「お待たせ、蒼史くん!」
「あ、美瑠璃。」
「あ、美瑠璃ちゃん。」
……ん?
「えっ、陸くん!?何でここに!?私、待ち合わせ場所話してないよね!?」
「……ここ、電車もバスも、タクシーもあるから、美瑠璃ちゃんはここから待ち合わせ場所に行くだろうと思って待っていたんだけど、蒼史くんもいるし……ここが待ち合わせ場所だとは思ってはいなかったよ。」
ガーン……撒いても意味なかったんだ……!
……って、あれ?二人仲良さそうに並んで笑ってる?
「陸くん、この人が蒼史くんだって分かってたの?」
「ううん。でも、美瑠璃ちゃんに似ていたから聞いてみたらそうだって。」
「え、似てる?」
蒼史くんは男の人にしてはちょっと細めで白めだし、筋肉無さそうで髪長めだし……まあ似てるようにも見えるのかなー。
「……っていうか、蒼史くん、前以上に不健康そうになってない!?」
今の蒼史くんは、がりがりで、青白めで、ちょっと足ふらふらしてて、髪がぼーぼー!
……あれ?でも、一週間前もそうだったような……?な、何で気にしてなかったんだろ、私……。
「……っていうか、こんなのでハイキングなんて行けるの?」
「「大丈夫だよ!」」
「えー……」
っていうか、何で陸くんまで……。
「……じゃあ、無理はしないでね?」
「勿論。」
本当かなぁ?……すごく心配なんだけど。