プロローグ2
……信じ難いことに、どうやら私は過去に戻ってしまったようだ。今は二〇一六年四月二十日。さっきまでは二〇一七年四月二十日だったはずなのに。
過去の私が帰ってこないから、過去の私は消滅したのかな?なんて一瞬思ったけど、そういえば去年の今日……じゃなくて「今日」は、「今年」クラスメートだった……である、鈴村礼子の誕生日パーティーに行っていて、そのまま泊まるかと聞かれてうんと言ったんだっけ。……頭がおかしくなりそう。
「今夜」は、自分で親にちゃんと連絡すると言いつつも、栄人さんと陸さんを紹介されたばかりで、何日か連続で、夕食を食べに二人が来たり、四人で外食したり……っていうのが嫌になっていたから、つい無断で泊まっちゃったんだった。本当はしてはならないことだけど……今回だけはナイス、過去の私!それから、今の私もナイス!
無断外泊したのに責められなくて、逆に優しくておかしいなぁ、いや、優しくしないといけないなとでも考えたのかなぁなんて思ってたけど、私が代わりに帰って話したから優しかったのか。過去の私は、しばらく母のことを無視していたし……。
そうやって自分を誉めていると、母に声をかけられたので、寝ぼけていただけだと誤魔化して部屋に戻った。
母と栄人さんが結婚したのは半年前だから、一年前である「今」はまだ、「私」は秋葉美瑠璃ではなく須田美瑠璃のはずだ。
家は、あの二人が社宅からこっちに引っ越してくることになったから、私達はこのまま。
翌朝、家の表札を確認したら、須田になっていた。やっぱり私、過去に戻ってたのかぁ。
表札を確認したあと、本当に「私」がいるのか確認しに行った。
結論。いた。
「ふーん、じゃあ、私は今日からは家に帰らなくていいんだ?」
やったー!
……あれ?
でもそれってつまり、今日から私、ホームレスっ!?
「えええええっ、それって超困る!」
超焦った。