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第九話 報復の稲妻

 ズン、と重く響くその音に、僕とエヴァローズは揃って遥か天井を見上げた。

 広々とした部屋そのものを揺るがす衝撃が、落雷のような轟音を響かせながら降りてくる。何が起ころうとしているのかは分かっている。分かっているはずなのに、その事実を飲み込むことが出来ない。


(まさか、上から……!?)


 数秒ごとに響く轟音はやがて天井の鉄板を直に揺らし、黄金色の雷光が迸る。


「――ッ」


 それは、一瞬の出来事。


 頭上を見上げた僕の視界が黄金色に輝くその刹那、僕の体は宙を舞っていた。

 視界はまるで静止したかのように遅くなり、僕の意識からあらゆる音が消え失せる。僕を遠く投げ飛ばした無機質な腕は降り注ぐ光に貫かれ、砕け散った。


「!」


 一瞬遅れて響く凄まじい轟音と同時に床を転がった僕は、傾いた床に身を横たえる。痛みを堪えて床に手をつき、顔を上げると、そこにはまるで隕石でも落ちたかのような惨状が広がっていた。


 遥か天井には焼き切られたような巨大な穴。床は中心に向かって大きく傾き、床を覆っていた鉄パイプは滅茶苦茶に折れ曲がってめくれあがり、あちこちで白煙を吹き出している。

 

 そして、そんな衝撃の中心地。

 赤く熱せられた鉄クズが放射状に飛び散るその場所に、一人の女性が立ち上がった。


「……」


 微弱な稲妻を纏う三つ編みが揺れ、裾の長いエプロンドレスが広がる。

 その背には虫のそれと似た翅。銀のガントレットを嵌め込んだその手を静かに握り締め、ため息と共に振り向いた金の眼が僕の意識を貫いた。


「ペトラ、さん……ですよね……?」


 輝く翅がその身を浮かし、女性は僕の眼前にふわりと着地。安心したような、呆れたような表情を浮かべて僕を見下ろす。


「ペトラさん……すみません、僕……」


 こつんと、優しい拳骨に目を伏せる。

 その手を覆っていたガントレットは、音もなく柔らかな手袋に変わっていた。


「……ソウジロウ」

「は、はい」


 滑らかな手袋に包まれたその指先が、そっと僕の頭を撫でる。

 あぁ、この手は、僕が幼い頃から、長い説教の後に僕を撫でてくれた手だ。


「どうして、もっと早く呼ばなかったのですか。自分の体を何より大事にしろと、あれほど言ったではありませんか」

「す、すみません……」


 聴き慣れた声に、その口調に、思わず涙が頬を伝う。そんな僕の涙ごと、白いハンカチが顔の汚れを拭き取ってゆく。ほんのりと鼻腔をくすぐる甘い香りも、何故だかとても懐かしく思えた。


「ぺトラさん、母上が……僕、僕は……」

「話は後です。まずはこれを飲みなさい。ほら」


 ため息と共に、ポーションの瓶を半ば無理やり咥えさせられる。喉に流れ込むそれは凍るように冷たく、清涼感のある味と喉を擦る刺激が心地よい。喉から胃へ、そして全身へと冷たい魔力が伝わっていくのが分かる。気が付けば、ものの数秒で痛みが引き始めていた。


「……ありがとう、ございます……」


 長い三つ編みを揺らして腰に手を当て、ため息をつく姿は間違えようもない。幼い頃から僕の面倒を見てくれていた頼れるメイド長。普段の子供のような姿とは違えど、紛れもなくペトラさんその人であった。


「なんです、その顔は。私の背が伸びたのがそんなに可笑しいですか」


 ペトラさんは細い腰を折って僕の顔を覗き込んでくる。豊かな胸がふるりと揺れた。


「いえ、そんなつもりじゃ」

「元の体のままでは、何かと不便なこともあるのです」


 ぽふんと白い煙に包まれ、普段通りの小さな姿となったペトラさんが腰に手を当てる。長い三つ編みと身に纏うエプロンドレスはやはり特徴的だ。


「……! ペトラさん!」


 ひらりと舞い散る黒い花びら。僕はとっさに小さなぺトラさんの体を掴み、抱き寄せる。その刹那、ペトラさんが立っていたまさにその場所を漆黒の棘が貫いた。


「……っ」


 黒い花びらとなって消えてゆく棘。吹き出した冷や汗が頬を伝う。気づくのがあと一秒遅れていれば、ペトラさんは間違いなく串刺しになっていただろう。僕に向けられたそれとは違う。明らかな殺意が宿る一撃だ。


 ハッと、顔を上げる。

 傾いた床の果て。未だ熱が残る陥没した床の中央に、黒い薔薇の花びらを含んだ魔力が渦を巻き、形を成してゆく。割れた数本の腕が瓦礫を押し退け、首から上が捩じ切れた巨大な人形がその身を起こした。


 巨体を覆う漆黒のドレスからいくつもの無機質な腕が伸び、破れたスカートからは脚ではなく無数の黒い茨が伸びて床を這う。その異形の姿に、先程までの面影はない。ギチギチと音を立てて蠢く腕はただ不気味であり、潰れた頭部から吹き出す魔力はまるで血のようだ。


「――まさか、仕留め損ねていたとは」


 白い煙と共に再び長身の姿となったペトラさんが、僕の頭にぽんと手を付いて立ち上がる。

 透き通る翅に金の光が蘇り、滑らかな手袋は無骨なガントレットへその形を変えた。


「確かな手応えがあったのですが……どうやら見誤ったようですね」

「あいつはただの魔物じゃありません。魔将軍エヴァローズです」

「エヴァローズ? あれがですか?」


 ムチのようにしなる茨を平然と躱しながら、ペトラさんが振り向く。その表情に危機感のようなものはなく、きょとんとしていた。


「妙ですね」


 僕の方に視線を向けながら、ぺトラさんは虚空を裂く茨を躱し、時には拳で打ち払い、ため息をついた。そして踊るように身を翻し、振り下ろされた巨大な手のひらを打ち上げた拳で迎え撃つ。陶器の破片がばらばらと辺りに降り注いだ。


「……エヴァローズにしては、随分と脆いではありませんか」


 ふうと息を吐いて構えるぺトラさんの背を見上げ、僕はごくりと唾を飲む。

 確かに、魔将軍やかつて活躍した英傑たちの武勇伝については聞かされたことがある。


 エヴァローズがどんな魔物であったか、というのも習った。エヴァローズは巨大な人形に薔薇を生やしたような魔物だ。何度でも再生する茨と、同じく再生可能な複腕による隙のない波状攻撃が得意な魔物だったはず。三十年前の大戦では物理攻撃と魔法の両方に高い耐性を持ち、不壊の壁として魔族の拠点を守り続けたというが……。


『……』


 腕を易々と潰された現実を、埋めようのない力の差を理解したのだろう。エヴァローズはやがて攻撃を辞め、長い腕を擦り合わせながら後ずさる。


「あれが本当にエヴァローズなのだとしても、やはり妙です。眷属の姿がありません。エヴァローズは自身の魔力を分けた優秀な幻魔族を従えていたはずですが……」


 その言葉にハッと息を呑む。エヴァローズの眷属、スペクターは茨が蠢くその足元に、未だ液状のままぴくりとも動かない。パイプの隙間に流れ込んで今にもどこかへ行ってしまいそうだ。


「あの足元の黒い水たまり……あれが多分、その眷属です」

「なるほど。微弱な魔力の正体はあれですか。笛に仕込んだ術が上手く働いたようですね」


 静かに拳を構えながら、ぺトラさんはため息をつく。


「何か、仕込んで……?」

「あの笛には、鳴らすと同時に周囲の魔物を麻痺させる魔法を掛けておきました。あなたが私に助けを求めるその瞬間、危険な魔物がすぐそばに居る可能性は十分に考えられます。この状況から考えるに、眷属が身代わりにでもなったのでしょう」


 確かに、僕が笛を鳴らした瞬間、スペクターはエヴァ様、もといエヴァローズを守るようにして笛の音を一身に浴びていた。


「ソウジロウ。あなたは完全に傷が癒えるまでそこで大人しく寝ていなさい。今度こそ、確実に仕留めてみせます」


 ぺトラさんは床を蹴る音と共に弾丸のごとく飛び出し、虚空に金の尾を引いた。

 ほぼ同時に、エヴァローズは巨体に似合わぬ機敏な動きで壁を這い上がってゆく。


 戦おうとはしていない。逃げるつもりだ。


「どこへ行こうというのです」


 振り回される茨を打ち払いながらエヴァローズの懐に飛び込んだぺトラさんの拳が、その腹部を深く貫く。そのまま床を転がってもがく巨体に二度、三度と殴打を浴びせ、止めに鋭い蹴りを叩き込む。エヴァローズの巨体は陶器の破片を散らしながら勢いよく床を跳ね、轟音と共に壁に叩きつけられた。


『……』


 床に伸びる茨は痙攣するかのように震え、折れた数本の腕は力なく投げ出されたまま動かない。漏れ出す魔力はまるで煙のように濛々と立ち上っていた。


 ひらりと着地したぺトラさんが、静かに息を吐いて拳を構える。


「うちの者が随分と世話になったようですね。これは、せめてものお礼です」


 その瞬間、僕の視界が歪む。

 振り抜かれたその一撃を、金の稲妻が彩った。


「……ッ」


 轟々と唸る空気に、揺れる床に、震える空間に頭を伏せる。駆け巡るノイズとなって聴こえてくるのは、鋼鉄の悲鳴。硬い金属が擦れ合い、ぶつかり合い、砕け散る音。空間そのものが壊れ行く轟音の中で、僕はただ揺れ動く床に身を伏せていることしか出来なかった。





「……ソウジロウ」


 その声に、ハッと顔を上げる。

 気が付けば音は収まっていて、そこにはただ大きな爪痕だけが残されていた。

 壁をびっしりと埋め尽くしていた鉄板やパイプは跡形もなく剥がれ落ち、消し飛び、剥き出しとなった無骨な岩の壁にまで亀裂が走っている。まるで、横向きに雷を落としたかのような、そんな惨状が広がっていた。


 壁に叩きつけられていたエヴァローズの姿はなく、辺りの床を埋め尽くす瓦礫に混ざる黒い茨がその形を失ってゆくのが見えた。そんな状況を飲み込むこともできずに呆然と目を見開く僕の傍らで、ぺトラさんがふうとため息をつく。


「さっさとこの街を出ますよ。ほら、立ちなさい」

「は、はい……」


 差し伸べられた手を取って、僕はその場に立ち上がる。が、足に力が入らずぺトラさんの細身な身体に抱きつくようにもたれ掛かってしまう。静かに僕を見つめる金色の瞳は冷たかった。


「……す、すみません」

「そのまましっかりと掴まっていなさい」


 ペトラさんは少し身を屈めて僕の首と膝の裏に手を回し、そのままひょいと僕を抱き上げる。お姫様抱っこだ。思わず間抜けな声が漏れるが、じろりと見下ろすその眼が僕の意識を貫く。とてもではないが、下ろしてくれと言い出せるような雰囲気ではない。


 妖精族が生まれ持つ怪力は知っているし、大柄でもない僕を抱き上げることなど動作もないことは分かっている。それでも、女性にお姫様抱っこされるのは恥ずかしい。


「あ、あの……」

「動かないでください。肩を貸すのも吝かではありませんが、抱いて飛んだ方が早いというだけの話です。高いところが苦手なら目を伏せてじっとしていなさい。心配せずとも落としはしません」


 背に光る妖精の翅が大きく広がって羽ばたき、僕を抱いたままふわりと浮き上がる。


「ま、待ってください! 飛ぶって、まさか」

「大丈夫です。人間を抱えた状態ではそれほど早く飛べません。貴方は黙って身を委ねていれば良いのです」


 床が遠ざかり、やがてぺトラさんは僕を抱き抱えたまま天井の大穴へと入ってゆく。そのとき、瓦礫の奥に割れた水槽が見えたような気がしたが、こじ開けられた無機質な穴に入ると同時に僕の意識は塗り替えられた。


 鋼鉄と木材が歪に重なり合う街の基盤を文字通り貫いて来たのだろう。強引に突き通されたその穴は未だ焼け焦げたような匂いが充満し、立ち込める煙が視界を塞ぐ。


 複雑な通路を辿ってこの場所にたどり着くより、地上から穴を開けて直通の通路を作ったほうが確かに早い。だからといって、こんな方法はあまりにも強引だ。下手に壊せば街そのものが崩れかねない。


(……けど)


 この人は、来てくれた。僕の助けに、応じてくれた。

 こんな強引極まりない方法を選んでまで、僕を助けてくれたのだ。


「それにしてもぺトラさん、強いんですね……いや、強いのは知ってましたけど、あんなにあっさり倒しちゃうなんて……」

「相性が良かっただけです。恐らく、耐性を持っていたのは眷属の方だったのでしょう。エヴァローズ自身は、打撃に対する耐性がほぼありませんでした。打撃を主とし得意とする私にとって、あれほど相性のいい相手はいません。負ける理由など無いのです」


 静かな、それでいてどこか自慢げなその表情に、僕はそれ以上何も言えなくなってしまう。確かに、あいつの身体は僕でも打ち砕けるほどに脆かった。人間とは比べ物にならない怪力を生まれ持つ妖精族が相手では言うまでもない。粉々に打ち砕くことなど、文字通り動作もないことであろう。


 やがて僕はぺトラさんに抱かれたまま、町を穿つ穴を抜ける。無計画な増築を繰り返した地上の町並みが視界に広がった。空は夕暮れに染まりつつあり、鮮やかな橙の日差しが薄暗闇に慣れた目に響く。


 ぺトラさんは町の外側の大地を掘り進んで来たらしく、穴を抜けたその場所からは町を一望することができた。鋼鉄と木材が歪に重なり合うクレウルの町は至るところから白煙を立ち上らせており、耳をすませば町の住民たちが騒ぎ立てる声も聞こえてくる。


 故障だとか、壊れただとか、そういった声の他にも、怒鳴り声や悲鳴までもが飛び交っている。地下での騒ぎが、地上に何か良くない影響を及ぼしてしまったのだろうか。


「……ぁ」


 思わず、声が漏れる。クレウルの町の門から道なりに行った丘の上。そこに佇んでいたはずの古城が無い。そんな馬鹿なと目を見開くも、そこにはただまっさらな丘があるだけだ。


 あの城は恐らく、エヴァローズが守っていたというローゼンブルクの古城であろう。

 魔族の指揮官として大群を率いた大悪魔、ルシウスの居城であったとされるあの城は、エヴァローズとその配下の軍勢が守り続けていたが、やがて魔族の劣勢と見たルシウスはエヴァローズを囮に転移魔法を唱え、城ごと姿をくらませたという。


 ルシウスが魔法を唱える時間を稼ぎ、最期まであの城を守り続けたエヴァローズは英傑たちによって撃破、封印され、今に至るというわけだ。


(ほんの一時間くらいだったけど、すごい場所に居たんだな……僕は。伝説の悪魔ルシウスもあの城のどこかには居たんだろうか。一目だけでも見れたら良かったのに。あぁ、もしかしたらあの肖像画の男がルシウスだったのかもしれないな……)


 なんて悶々と考えている間に、地上がどんどん遠ざかってゆく。気が付けば、クレウルの町は遥か彼方に消えつつあった。吹き出した冷や汗が頬を伝い、地上に目を向けていられなくなる。


「あの、ぺトラさん? ちょっと、高すぎやしませんかね?」

「舌を噛みますよ」


 じろりと僕を一瞥したぺトラさんはそのままさらに高度を上げ、鳥すら追い越した上空で輝く翅を大きく広げて空を翔ける。頬を撫でる風は穏やかで心地よく、遠い夕日に照らされるその横顔はやはり美人であったが、ツンと冷たい表情は崩れぬままだ。時折向けられる視線にそっと目を逸らすと、大空を焦がす茜色が一面に広がっていた。


「ぺトラさん。ヴェントが墜ちたっていうのは……」

「それは事実です。私を含め、少しでも戦闘の心得がある者は国家魔術師たちと共にいち早く彼の地へ援軍に向かいました。つい先程まで私もヴェントに居ましたから、彼の地がどんな状況であったかは知っていますよ」


 言葉を紡ぐぺトラさんの表情は変わらず、その言葉もまた平坦なものであった。


「ですが、ベルガからの援軍がヴェントに到着した時には既に、魔族は全滅していました。流石に防衛魔術の最先端都市というだけあって、非常時の対応も手馴れたものだったようです。住民の避難も迅速で、死傷者も殆ど出ていません。あの様子なら、瓦礫もすぐに片付くでしょう。心配することはありませんよ」

「……今、なんて」


 思わず、聞き返す。ぺトラさんは目だけを動かして僕を見た。


「……彼の地はすぐに片付くでしょうと」

「違います。そうじゃなくて、全滅、ですか……?魔将軍とその配下が押し寄せたって……それが、全滅……? そんな、短時間で……」

「……死傷者こそ少なかったようですが、マガの森は焼け野原でしたよ。黒く焼け焦げた大地に、真っ赤な蟲の死骸が辺り一面を埋め尽くして……ひどい有様でした。避難した住民たちは怯えきっていて、何が起きたのか尋ねても首を横に振るばかり。恐らく、奥様がひと暴れしたのでしょう」


 つらつらと紡がれるその言葉に、僕はごくりと生唾を飲む。魔将軍アスカトレスとその配下は、かつての大戦で名を馳せた魔族の尖兵。戦略もへったくれもない、ただ圧倒的な数の力で全てを押し潰す戦法は、アスカトレスが得意としていた唯一の戦い方であったはず。それを、こうもあっさりと駆逐してしまうなんて。


「ですが、アスカトレスの死骸は見当たりませんでした。調べによると、大陸各地に封じられた魔将軍たちの封印が何者かによって人知れず破られていたそうです。どの封印地も、見張りや管理人はもちろん、近隣の村人まで全て殺されていた、と。どうして今まで誰も気付かなかったのか……全く、ため息が止まりません」

「……それで、母上は」

「安心なさい。ご無事です。クレウルの町に向かう途中、荷車を引いて歩く奥様の姿を見ました。もうじき日暮れですし、今頃は恐らく休息を取っている頃でしょう。居場所の目星は付いています」

「そう、ですか……良かった。母上は、無事なんですね」

「私が奥様を発見した際、奥様は彼方を飛び去る私に手を振ってくださいました。ソウジロウの居場所も、私がソウジロウを助けに向かうということも、全てを理解して私にその任を託してくださったのですよ」


 ぺトラさんはそう言うと、再びため息を付く。

 母上の無事にひとまず安堵した僕は胸を撫で下ろし、頼れるメイド長に身を委ねた。

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