設定
ご愛読ありがとうございます。
舞台を切替えて行きますので、少し設定を整理しておきます。
ご参考までに。
◇大環大陸
まず、樺太から北海道までつなげてしまいます。
そして四国と九州を本州につないでしまいます。
その状態から横幅を太平洋側に向けて4倍に広げたような物をイメージしてください。
それが大環大陸になります。
◇大環王国
・支配地域
大環大陸に佐渡や対馬、琉球諸島などを含めて一つの王国です。
・人間の居住地域。
現代の日本よりも遥かに広い面積を持つ大環王国ですが、南北の相当な部分を山脈が貫いていてそうした山脈部分には多くの魔物が棲息している。
まともに人間が居住できるのは大陸の半分程度。
3割は魔物だらけで人間ははいれないような場所。
2割程度は割と魔物がすくないので、ハンターなどが入って狩りが出来る程度の場所。
人間が使えていない場所というのが、結構多い状況です。
・魔物
体内に魔石を持つ謎の生き物を称して魔物。
魔石を持たない謎の大型生物もたまに存在して、そうしたものは怪獣。
同じく魔石を持たない霊的な存在などもいる。
魔石を持たない霊的な存在で、人間の役に立つものを精霊や神様と呼ぶ。小さくて人型で美しい物を特に妖精とも呼称する。
魔石を持たない霊的な存在で、人間に害を為すものを妖怪と呼んでいます。鬼や天狗、河童などがそう。
貴志が殺した白狐や王宮でモフモフされていた与楽の白狐は、魔石を持つ霊的な存在の模様。貴志は魔物だと思っていたし、与楽は妖怪や精霊の類だと思っていた。
・国の起源
王制を引いていて、王祖は天から降って来た神孫であるとされております。
元々、大環大陸を治めていた開国主の命から、王祖が国を譲られたという事になっています。
ですので、開国主は王家にとっては国をくれた恩人ということで、開国主の命を祀る神社が尊重される形になっているものです。
“和を以て貴しとする”昔の憲法の定めに従って、和すなわち皆が環になった状態を理想とする偉大なる環の国-すなわち大環王国なのです。
・民族
昔は北極を突破してバイキング達などがやって来て住み着いた事があって、津軽海峡から北には白人が勢力を張っています。
リューシャ、クルーガ、シオーヌ、シード、レキュア、シェイラといった人たちはそうした血を引いています。
津軽海峡から北の最大勢力というのがリューシャのイルマータ公爵家ということになります。
津軽海峡が本州と北方間で19km位なのに対して、間宮海峡の樺太とオロシア間がたったの7km。凍結する時期には歩いてオロシアと樺太を渡れてしまう。
王家からすると北方をオロシアに占拠されない為にも、イルマータ家にはしっかりして貰わないと困るのです。
異民族地域の支配権を強固にしたい。その王家の望みを託されてリューシャは公爵領に向かいます。
・統治機構
絶対王政で国会などありません。
政治機構としては、国王の下に宰相がいて現在は徳川家康が務めている。
その為に閣僚は徳川家の譜代の者が務めているケースがほとんど。
徳川家が宰相を務めているのは、15年前まで戦乱の時代であったのを彼が綸旨を賜り豊臣家を制圧することで終結させたからです。
上杉や武田が大勢力として生き残っています。
彼らがいがみ合って戦っていた間に、徳川と豊臣の決戦が終わって天下の帰趨が定まってしまった。
徳川としては上杉も武田も両方とも敵なのだけれど、両家とも国王には大人しく恭順していたから、徳川家としては征伐もできずという状態です。
・外交
公式に交流しているのはオロシア、貢鮮、オランダのみ。
間宮海峡を挟んで樺太の7km先がオロシアなので、交流せざるを得ません。この時代だと樺太附近のオロシア人は殆ど黒髪の黄色人種ばかり。白人はほとんどいません、オロシア国内では真面目にこんな辺境を開拓するだけの体力がないのです。
オロシアの南方にある華帝国。この華帝国にひたすら朝貢していたのが、大陸の末端にある半島の貢鮮帝国。彼らは例年大環国に使節団を送って貢物を差し出している。
でも、コイツラはやらかしてくれます。
懲罰に大環の武将連中は半島に遠征にいく羽目になります。多分、リューシャの公爵領入り後の話になります。
オランダは正規な外交ルートを持っていて、通商しています。
ただし、この時代の船は木造の帆船ですので、大きくはありません。一度に渡航できるような人数は限られてしまいます。魔法袋があるので荷物はそこそこに運べるものの、人的な交流は限られてします状態です。
・宗教
本州では独自の神道と仏教の混ざりあった物が主流です。
北方にいくと昔移民してきた白人達が持ち込んだ、北欧神話的な神やギリシャ神話的な神も信仰の対象です。けれど、今ではこうした神々も八百万の神々の一部という扱いがされています。
大環王国の中には神道の神社があり、仏教の寺院があり、北方の神々を祀る神殿もある。
昔は結構揉めたらしいものの、現在ではそれぞれに関係は良好。
貴志は神社の婿養子、嫁の実家は開国主の神社。
与楽は仏教系の行者。
リューシャ、クルーガはアテナ神殿で巫女をやっていた経験あり。
伴天連の一行も日本にやって来て一時期布教していたものの、世俗の権威を否定する言動を繰り返し、大量の奴隷を持ち去ろうとしていたことから結局禁制になる。
南方で伴天連を受け入れた国は、軒並み外国人勢力に乗っ取られていると知った王家が徹底的に排斥に動いたという面も大きい。
◇魔法
天性の才能を持つ者が、精霊や神様の神秘の力を借りて奇跡を起こす何からしい。
今の所、誰も正体を知らないけれど使える者には使えてしまう。
必要なのはイマジネーションらしい。
◇呪術
しっかりと修行すれば誰でもある程度神仏の加護を受けて超常現象を引き起こせるもの。
呪術に必要なのは信仰心と一定様式の儀式。極まって来ると神通力と呼ばれる。
高位の呪術者と高位の魔法師というのは、同じように見えてしまって区別がつかない場合もある。
与楽は師匠の慈雲から学んでいる。与楽は魔法がさっぱりで、呪術に関しては天才。
与楽の妻達は魔法の才能があって、そこに与楽から呪術も教えてもらっている。彼女達は両方使っているのです。
ちなみに貴志の場合は魔法の才能ゼロ。白狐から得た魔石と思われるものは、召喚術が詰まった霊玉。神様からの贈り物。
◇リューシャの出自
国王陛下の妹を母に持つ。
リューシャと弟のマークにとって、現国王は伯父にあたる。
皇太后にとっては、娘の子でまぎれもない孫である。
国王には1/4ほど白人の血が入っていて、それはリューシャ姉弟の母も同じ。
そして、母親はアルピノ。
この為なのか、リューシャ姉弟も色素が薄い印象を与える。白人民族の中にあっても、色が白い方に見える。
既に父母を失っているリューシャにとって庇護を求める先は、祖母であり伯父の王家。
王家にしても異民族の北方領の支配を強めておきたい。
リューシャに与楽という思わぬ強力な後ろ盾が登場してきたことで国王は決断したのです、一気に北方領の盟主の家を実質的に王家の出先機関にスゲ替えてしまおうと。
王家の血筋の姫に王宮からの官僚団を付けてしまって、統治は代官領並に進めてしまう。民族と宗教が異なる地域の占領にはそのくらいしておかないとダメだと不安だったのです。
16才のリューシャにとっても、公爵領がそれで安定するのなら構わない。むしろ歓迎でした。
彼女の父方の兄弟というのは、彼女にとってはマイナスの存在でしかなかったのですから。
父方の兄弟にとっては、彼らの父親の時代―リューシャの祖父の代―には自分達が好き放題やっていた。
そこに王家から兄嫁が入って来て、従って来た側近連中が偉そうにアレコレと介入して来て邪魔でしかたがなかった。
幸いにして王家の嫁が死んで、当主も死んだ。
だったら、昔のように好き勝手やりたいという事情もある。
もともとイルマータ領というのは自分達のご先祖の土地であって、王家とは関係ない場所だった訳です。
本来ならイルマータ領を巡る争いというのは土着の豪族に対する、王家の侵略行為という話です。
大環王国の国内法に基づくのならイルマータ領で行われている行為は改易するに値する犯罪行為。
だけれども、それは余計なお世話で自分達の土地で好きにやっているだけというのが現地側の伯母叔父の認識です。
好き勝手し過ぎて人心が離れてしまっているのが残念でしたが。
リューシャにとっては亡き父の遺産の正統な継承。
現地の親戚筋にとっては迷惑な侵略戦争。
この先のお話というのはそうした物語です。