再会を誓って指切りする彼の話
君から見た俺は、どう映っていた。
君は、俺に全部を話してくれたか。
君は、俺を忘れないでいられるか。
俺は、君に憧れていた。
俺は、君に秘密がある。
俺は、君を忘れるかも。
それほど、深い間柄ではなかったから。
好きか? ちょっと言いにくいだろう。
嫌いか? そこまで拒んではいないさ。
最初から、無かったことにできる。
でも反対に、一生の絆にもできる。
付かず、離れずの、不思議な関係。
満足はしなかったけど、不満もなかったよ。
楽しくはなかったけど、退屈もなかったよ。
別れは平気じゃないけど、つらくもないよ。
夢を語らった。
馬鹿もやった。
喧嘩もあった。
いつしか出来ていた、二つの道。
どちらも、長くて先が見えない。
元から、向いていた方は別々だ。
背負ってきた共通の感情を、半分こした。
俺は「弱さ」を取って、泣きながら右を往こう。
だから君は「強さ」を取り、笑って左へ往けよ。
心配してない、されたくない。
過酷であろうが、信じて進め。
涙も、いつかはちゃんと乾く。
俺も、頑張るから。
想いを綴じ込めて。
記憶を砌に流して。
この空の下にいる限り、きっとまた会えるさ。
それまでは、暫しの別れを楽しんでいようか。
じゃあね、君に出逢えたことを誇りに思うよ。
互いが互いに背を向けた。
見送る桜は、笑っていた。
影と影はゆっくり離れた。
君は輝く夕陽へと。
俺は迫る宵闇へと。
さらばだ、盟友よ。
次に顔を合わせる時は、未来を手にした時だ。
もし迷ったのならば、この指切りを思い出せ。
どんなに遠く離れていても、この絆は本物だ。
さあ、見えぬ行き先へと歩き出そう。