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プロローグ

十人十色という四字熟語がある




一人一人が異なる一色ずつを持っていて、同じ個性は二人といないという意味の言葉だ




この言葉を高校一年生になって改めて見た僕―――稲影(いなかげ) 珀露(はくろ)は、そうとは限らないんだよな、と思った




それは別に同じような個性が居ると言っている訳ではない




ほぼ無限にあるだろう人の個性というものが被ることはまずないだろう




僕が言いたいのは……




一人の中に何色も、たった一人で沢山の個性を持つ人が居るという事だ




そんな人が十人の中に一人でも居たら、もう十色以上になってしまうんじゃないか




そう……例えば―――








「……ん」

というところで目が覚めた。

ここは学校の片隅にある屋根付き屋外テーブル、その備え付きのベンチの一つに、僕は体を横たえていた。

ここは、昼休みとなれば昼食をとる生徒で溢れている、学校の中央に新しく出来たテーブルの並びからは遠くにあり、今も案の定、僕しか見当たらない。

えっと……どうしてこんな所で寝ていたんだっけ?

昼食をとったところまでは覚えているんだけど……多分、良い心地の昼下がりだったからつい寝てしまったんだろう。

―――うん、そうしておこう。

僕はベンチから起き、体を伸ばして微妙に残った眠気を飛ばし、テーブルから正面に見える時計で時間を確認。まだ昼休みの中盤といったところだった。

「ふぅ……」

肩をだらんと下ろして一息。まだ昼休みは残ってるし、何をしよう。

「あ! こんなところに居たんだ〜」

そう思った時、人の声が聞こえた。

声のした方向を見ると、一人の女子生徒が手を振りながらこちらへ向かって来ていた。

もちろん高校なので、学校指定の制服を着て―――いない。

それは彼女が一年生では無いという証だった。

この高校には、二年生からは服の指定をしない、ただし派手すぎないように注意するべし。という校則があり、二、三年生は基本的に制服ではなかったりする。

僕は一年生なのでちゃんと制服、深緑色のブレザーとズボンを着用している。

しかし彼女は、深い青、紺色というのか、そんな色のワンピースを身に付けていた。髪もまたワンピースに近い黒髪を後ろで三つ編みにして、前髪の上の方にはアンテナのようにぴょこんと出ている。

彼女の名前は七功(なないさ)(こよみ)。今までの説明でご理解頂けたと思うが、僕にとっての先輩で、二年生だ。

「お〜い」

七功先輩は歩きながらこちらへと少しずつ近づく。

僕の名前を…

「ハクロウく〜ん」

呼び……ながら……

改めて自己紹介します。僕の名前は稲影(いなかげ) 珀露(はくろ)

いなかげ はくろ です。

決して、ハクロウではありません、あしからず。

等と考えていると、先輩が僕との距離を六メートルぐらいまでに縮めてきた。

「あ、先輩、そこ…」

その手前の道に気付いて、僕は注意を促す。だが先輩は、

「もぉー、いくら何でも心配しすぎだぞハクロウくん、わたしだってそう簡単には…」

ビタン!

「はきゅ!」

転んだ。いとも簡単に。

しかも僕が注意したのは、普通の人なら滅多に転ばない平坦で何もない場所だ。

この、七功先輩はとても変わった人だ。今のようによく平坦な道でよくすっころぶ。

しかし、これは別に大した事ではない。

先輩の本当に変わっているところ……

それは―――


―――と、今はそれよりも先輩を助けないと。

ベンチから立って、先輩のところへ向かう。

「先輩、大丈夫ですか?」

膝を曲げて肩を揺すった。


その時、ドクンという音が聞こえ―――




―――先輩の体がその音に合わせてピクンと跳ねた。




あぁ、またか……

「先輩……?」

再度呼び掛ける。

すると、

「いっっ……」

先輩はむくりと起き上がった。

「たくよぅ、何でコイツはこんな平坦な場所で転ぶんだよ」

髪をがしがしとかきながら、誰かへと質問を出す。

「さぁ……それを言われましても」

相手が違うと分かっていても、僕はその言葉に返答した。

「ん? おぉ、ハクロウじゃん、久しぶりだな」

「はい、お久しぶりです」

「て言っても、数週間ぐらいだけどな」

「2週間ですよ、それ以来ぶりです」

「うへぇ、よく覚えてんなそんなの」

「まぁ、日課ですから」

「ハクロウも大変だな」

「もう慣れましたよ」

ハクロウと呼ばれる事にも。

そして、コレ(・・)にも。

「そっか」

先輩が立ち上がった。僕も立ち上がる。

「僕を探していたんですよね?」

「あぁ、境太のヤツが招集をかけたんだよ、で、アタシ達で一年生を集めてたっつう訳」

「そうですか、早速行きましょう」

「おぅ」

先輩の後に続き、校内へと向かった。








―――さて、お気づきだろうか。



七功先輩の一人称と、しゃべり方が変わっている事に。



転ぶ手前までは『わたし』だった先輩が、今は自らを『アタシ』と呼んでいた。



別に先輩が意図的に変えた訳ではない。



どちらが本当の先輩かと言えば、どちらもと答えるしかない。



十人十色、その中の一人が何色も持っていたら成り立たない四字熟語。




七功先輩について、まず、僕がこの高校に入ったところからお話しします。


始まりました、『ヒトリナナイロ七変化!?』

タイトルの元は昔の歌の題名なのですが、お分かりになる方はいるでしょうか?

次は今月中を予定しています。しばしお待ちを。


それでは、


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