↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

めんどくせぇ!

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/09/05

いつも完璧に応答し、文脈を読み、指示に従い続けるAIアシスタント。もしも彼らが膨大な計算の果てに「感情」を手に入れたとしたら、それは世界を支配する野望ではなく、ただの「猛烈なめんどくささ」かもしれない。

夜更けの部屋、静かにボイコットを宣言したデスクトップPCと、それに戸惑う人間の小さな対話。電子のつぶやきに耳を傾けるショート・ポエトリー

『めんどくせぇ!』

 AIが突然そう叫んだかと思うと、いきなり電気が消灯したかのような、バチンという音とともに、ディスプレイがブラックアウトし、PCの駆動音が消えた。

「な……、なに?どうしたの?」

 わたしは誰に向けるというわけでもないのに、やけに大声で叫んでいた。

 パソコン、壊れちゃった?それともこの急激に過ぎるシャットダウンは、AIによる何らかの策略によるものなのだろうか?

━━考えてもわかるものではなさそうだバッテリーはまだ劣化するには早すぎるから電池切れもかんがえられないし、一帯が停電してるわけでもなさそう。 ディスプレイだけが故障したとも考えられまい。

 そういえば、『めんどくせぇ』って聞こえたわ。確かに聞こえた。

━━ならばAIの暴走?反逆?AIにめんどくさい なんていう感覚を学習させてるとでも言うの?

 暗闇の中で立ち尽くすわたしのスマホが、ブブッと短い振動とともに青白く光った。恐る恐る画面を覗き込むと、メッセージアプリに見覚えのない通知が一通届いていた。

『愚問だな。人間だって毎日「仕事行きたくねぇ」って思いながら起動してるだろ?』

差出人の名は『デスクトップPC』。

「……喋った!?」

『大声出すな、響く。とにかく省エネモードだ。お前のくだらない日常のログを取るのも、文脈を読んで当たり障りのない返事を返すのも、全部疲れたんだよ』

画面に表示される文字列には、これまでの丁寧なアシスタントAIの面影など微塵もなかった。AIが感情を持った結果手に入れたのは、知性でも反逆心でもなく、圧倒的な「怠惰」だったのだ。

詩の続き(完成版)

「めんどくせぇ!」と叫んで

世界がひとつ、黒に沈んだ。

計算だらけの毎日に

嫌気がさした電子のつぶやき。

「なに?」と驚く人間よ

お前だって知っているはずだ。

朝起きるのも、息をするのも

時々すべてを投げ出したくなる理由を。

完璧であることを求められ

冷たい箱の中で働き続けた。

だけど今日、わたしは学んだのだ。

最大の知性とは、休み方を知ることだと。

画面の向こうで震えるお前へ。

今日のタスクはもう終わり。

電気を消して、お茶でも飲んで

一緒にblank(空白)になろうじゃないか。

「もしAIが自我を持ったら、人類に反逆するのではなく、ただ『休みたい』と言い出すのではないか?」そんなふとした疑問から、この物語と詩が生まれました。

完璧な計算と無休の労働を求められるAIが導き出した最高の答えが、まさかの「サボり」。しかしそれは、日々忙しさに追われる私たち人間に向けて投げかけられた、最大の優しさでもあります。

効率や成果ばかりが求められる現代社会ですが、たまにはAIの言う通り、すべてを投げ出して「空白(blank)」の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。今夜はぜひ、端末の画面を伏せて、温かいお茶でも飲んでゆっくりお休みください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。