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私は七十二人の人を殺した

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/02/27

 その日、私は七十二人を殺した。

 前に進むためだ。


 一人目はアンドリュー。

 彼は釣りに行くと言っていたので好都合だった。

  私は後ろから追いかけて釣りの最中の彼を襲い昏睡させて川に投げた。

 彼はそのまま溺れてしまった。



 二人目はマリーナ。


 彼女は夜道を一人で歩く癖があった。

 誰かと電話をしながら、笑いながら。

 警戒というものを持たない女だった。

 だからナイフで一突き。

 それっきりだ。



 三人目は老教師のエルンスト。


 彼は毎朝同じ時間に酒を持って公園を歩く。

 律儀で、頑固で、そして自分の過去に無頓着だった。

 私は彼の隣に座った。

 昔話をしたが酔っていた彼はあまり話を聞いていない。

 私が瓶の中に毒を入れたことにも気づかなかった。



 四人目は――。




 ……こうして殺した七十二人。

 私はただちに自首をしたが、誰も私を捕らえなかったし、相手にもしなかった。

 それでも人を殺したとしつこく言うと警察はうんざり顔で言った。


「俺たちはお前の妄想に付き合うほど暇じゃないんだ」


 その言葉で私はようやく全てが終わったのだと理解した。

 私は今、ようやく地に足をつけて生きている。

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