表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/17

もっと貪欲に

「え?なに?」


「晃河が可愛いって知ってるの、俺だけだと思ってた」


「もしかして莉久?あんなのただの冗談でしょ。本気で可愛いなんて思ってないと思うけど」


「そう?でもあんなほっぺむにむにしてさ。俺の晃河なのに」


「また嫉妬だ〜!なんだ、明日香って意外と嫉妬深いんだ〜」


「まぁ、晃河程じゃないけどね?」


「俺はまぁ...他の人が明日香に近づいただけで嫉妬だから」


「ちょっとそれは無理があるんじゃない?そんなこと言ったら誰も近づけないじゃん」


「それでいいんだよ。明日香に近づいていいのは俺だけ」


「わ〜。独占欲つよ〜」


「独占欲強い男は嫌い?」


晃河はそう言って目をしょぼんとさせる。


「嫌いじゃないよ」


「ほんと?」


「うん。晃河が俺を独り占めしたいって思ってくれるのは嬉しいし」


「じゃあ、これからも明日香を独占するね」


「いいよ。俺も晃河のこと独占してもいい?」


「もちろん。俺も明日香の事見てるから、ちゃんと俺の事見ててね」


晃河はそう言って嬉しそうに笑った。

翌日、学校で授業を受け、体育の時間になる。明日香が更衣室で体操服に着替えていると、クラスメイトの1人が言う。


「あ!それ」


明日香は声のする方を見た。すると、クラスメイトはシャツを脱いでいた晃河の腕を持ち上げた。そこには明日香とお揃いの腕飾りが着いている。


「これ、有名なやつだよね。恋人とお揃いでつけるやつ!もしかしてこれで晃河の彼女が誰なのか分かったり...」


クラスメイトはそう言って腕飾りを凝視する。


「A?じゃあ″あ″から始まる人か〜。何。この学校の人?」


晃河はそう聞かれて、こくりと頷く。


(晃河、嘘つけないもんな...)


明日香はバレてしまわないか心配になる。そんな気も知らず、クラスメイトは話を続ける。


「この学校で″あ″から始まる人...あ、同じクラスのあかりちゃんとか?」


「...違うよ」


「えっとあとは...同じ学年にあゆかちゃんとあゆみちゃん、それと...」


そこで考え込むクラスメイトに莉久が言う。


「明日香...とか?」


莉久のその一言でみんなの視線が明日香に集まる。そして、クラスメイトは明日香に寄って腕を掴んだ。


「はい、身体検査しま〜す」


「ちょっと、やめてよ」


明日香はそう言って抵抗したが、体操服の腕を捲られてしまい、腕飾りがあらわになる。


「お、あった」


そして、先程と同様に腕飾りを凝視する。


「わぁ。ビンゴ。″K″だ」


クラスメイトのその言葉で周囲がザワつく。


「いやあの...これは...」


(何とか誤魔化さないと...)


「マジ?お前ら付き合ってんの?」


(どうしよう...)


明日香はどう言い訳しようか苦悩する。その時、横で着替えていた颯人が言う。


「凄い。晃河の彼女もAから始まるんだね。明日香の彼女もKから。すごい偶然。でも、明日香は白だよ?」


「なんで?」


「俺、明日香の彼女に会ったことあるし。ここなちゃんだよね?たしか」


颯人はそう言って明日香の方を見る。


「...あ、うん。そう」


明日香がそう言うと、再び周囲がザワつく。


「なんだよ〜。偶然かよ〜。ビビらせやがって〜」


そう言いながらクラスメイトは着替えを再開した。明日香は、颯人に向かって言う。


「ごめん。ありがとう」


「ううん。全然」


颯人はそう言ってニコッと笑った。

着替えが終わり、みんなが更衣室から出ていく中、颯人と莉久だけが残る。


「なにしてんの。あのままバレてれば2人を引き離せたかもしれないのに」


「...ごめん。でも、ああいうやり方はよくないと思う」


「なんで?」


「だって、みんな巻き込んで...あすかも困ってたし...」


颯人はそこで口を噤む。そんな颯人を見て、莉久は言う。


「そんなこと言ってたら、一生手に入らないよ?もっと貪欲にならないと。何してでも手に入れるって思わないと一生このままだよ?」


「そうだけど...」


「まぁいいや。とにかく颯人はもっと明日香と距離詰めてよ。俺もやることやるからさ」


「うん。わかった」


「じゃあ、引き続きよろしくね」


そう言って莉久は更衣室を出ていった。残された颯人ははぁっとため息をつく。


「もっと貪欲に...か...」


颯人は、そう呟いて更衣室を出るのだった。

それから颯人はもっと明日香にちょっかいを出すようになった。そんなある日、2人がじゃれている様子を見ていた晃河に莉久が言う。


「あの二人って仲良いよね」


「え?」


「なんか距離近いっていうか、友達の距離じゃなくない?」


莉久のその言葉に晃河は無言になる。そんな晃河の様子を見て莉久は続けて言う。


「なんかもう、付き合っててもおかしくないよね。2人お似合いだし。ね、晃河もそう思わない?」


「...思わないよ」


晃河は不機嫌そうにそう答える。


「まぁ、明日香はどうか知らないけどさ。颯人は明日香の事好きだと思うんだよね。なんかあったらいつも明日香のこと庇うし、他にも友達いるのに明日香ばっかりだし」


「別に友達だからじゃないの?それくらい友達でもするでしょ」


「そう?でも、颯人最近彼女と別れたんだって。なんか、他に好きな人が出来たとか。それって、明日香の事なんじゃない?」


「...だとしたら何。別に俺に関係ないし」


「関係ない、ね。あんなに仲良くしてるのに、大事な友達が颯人に取られちゃうかもよ?颯人ばっかりになって、もう晃河に構ってくれなくなるかも」


それを聞いた晃河は再び黙り込む。そんな晃河を見て、莉久は続けて言う。


「明日香もさ、あんだけ颯人に助けられて距離詰められたら、ちょっとは好きになっちゃうと思うんだよね。そしたらどんどん好きになっちゃって、最後にはふたり両思い。付き合っちゃうじゃない?」


莉久のその言葉を聞いて、晃河は颯人と明日香をじっと見る。


(明日香が取られちゃったらどうしよう...)


晃河はそんな不安を抱えて、1日過ごした。その日の帰り、明日香と帰っていた晃河は2人の分かれ道でふと口にする。


「あのさ、明日香」


「何?」


「...颯人ともう話さないで欲しい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ