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ルヴァンとエリスの物語―

SNS(X)を始めました。

物語やキャラクターのことを少しずつ発信しています。

もしよければ、覗いてみてください。

「kagena」で検索すると出てくると思います。

ご感想や反応も、とても励みになります!




人は、なぜ恐れ、なぜ拒むのだろう。

竜は、なぜ孤独に、なぜ優しくあれたのだろう。


この物語は、ある少女と一体の竜が紡いだ、短くも深い絆の記憶。

まだ誰にも知られていない、少女「エリス」の過去――

彼女が“光”の力に目覚める前。

彼女が“誰かを守る強さ”を知る前。


出会いがすべてを変え、別れが強さをくれた。

これは、そんな“始まり”の物語

【第一章:出会い】


ヴェルデリアの外れ、霧に包まれた**「祈りの森」**。

そこは昔から「決して足を踏み入れてはならない」と語られる禁忌の地だった。


ある日、その森に、一人の少女が迷い込んだ。

名はエリス、わずか7歳。家族を失い、飢えと寒さに震えながら、当てもなく森を彷徨っていた。


地に崩れ落ち、意識を失った彼女の前に現れたのは、一体の黒銀の竜だった。

その竜は、かつて人間との共存を夢見た青年、ルヴァン。


ルヴァン:「……怖がらないのか?」


低くも優しい声に、少女は目を開ける。

怯えながらも、首を横に振って、ぽつりと呟いた。


エリス:「……助けてくれたの?」


ルヴァン:「……そうだ。」


竜の瞳に、微かな驚きと、拭えぬ寂しさが宿っていた。


エリス:「ありがとう。」


その言葉に、ルヴァンの瞳が、かすかに揺れた。


少女にとって、それは小さな感謝だった。

しかしルヴァンにとっては、長い孤独をわずかに照らす灯火だった。



【第二章:絆】


あの日から、エリスとルヴァンの奇妙な日々が始まった。


ルヴァンは森のことを教えた。

毒のある実、動物の足跡、風の変化、そして「恐れを知る力」。


エリスは文字や言葉、歌を教えた。

絵を描き、詩を読み、ルヴァンの翼に花の冠を載せて笑った。


二人はまるで兄と妹のように寄り添った。

エリスは彼を**「ルヴァン兄さん」**と呼び、ルヴァンはその呼び名に口元を緩めた。


エリス:「ねえ、ルヴァン。いつか一緒に村に行こうよ!」


ある日、エリスがそう言った。

だがルヴァンは、静かに首を振った。


ルヴァン:「それは、叶わない。」


エリス:「……どうして?」


ルヴァン:「人間は、竜を恐れる。」


それでも、エリスは言い張った。


エリス:「私は、信じたいんだ。人間も、あなたも。」


その想いに、ルヴァンは何も返せなかった。

ただ、エリスの頭をそっと撫でて、彼女の笑顔を胸に刻んだ。



【第三章:崩壊】


12歳のある日――

森に突如として人間の兵が現れた。


兵士たち:「この森には危険な竜がいる!」

兵士たち:「少女が囚われているらしい!」


村人たちはエリスを思い、王に訴えた。

だが、彼らは真実を知らない。


ルヴァンはエリスを守る存在であり、決して人を傷つけたことなどなかった。


エリス:「やめて!ルヴァンは、違うの!」


エリスの叫びは、誰の耳にも届かなかった。


兵士:「撃て!」


矢が放たれる。

一本、二本、三本――

そのうちの一本が、ルヴァンの胸を深く貫いた。


エリス:「ルヴァン……?」


黒銀の鱗に血がにじむ。

それでも、彼はエリスを抱き寄せ、微笑んだ。


ルヴァン:「大丈夫……怖がらなくていい……」


エリス:「お願い、もうやめて!!ルヴァンは敵じゃない!」


けれど、人々の恐怖は止まらなかった。

幾重もの矢が放たれ、ルヴァンの体は限界を超えた。


竜族に宿る最期の力、**「魂の昇華」**が発動する。


その体が、淡く光を帯びはじめる。

死を迎えた竜は、この世界から完全に消える。


エリス:「いやだ……いやだよ……行かないで……!」


エリスは泣き叫びながら、彼を抱きしめる。


ルヴァン:「君が……幸せなら……それでいい……」


ルヴァンの声が、風に乗って消えていく。


光が森を包み込んだ時、そこに竜の姿はもうなかった。

彼女の腕には、何も残っていなかった。



【エピローグ:星霜の願い】


それから5年――


エリスは成長し、旅を続けている。

二刀を手に、戦いながら、人と竜が共に生きる未来を求めて。


光の魔法を学び、「星霜の刻印」の力を覚醒させた。

それは、かつてルヴァンが願った**“希望”**の継承だった。


彼女はいつも、夜空を見上げて呟く。


エリス:「ルヴァン……あなたは今、どこで笑っていますか?」


風が吹く。

その音に、懐かしい声が重なる気がした。


ルヴァン(声):「……ここにいるよ、エリス」


そう、彼の想いは今も、彼女の中に生きている。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

エリスという少女の芯の強さ、そしてルヴァンという竜の優しさが、少しでも心に残っていれば嬉しいです。


別れは悲しく、どうしようもなく理不尽なものかもしれません。

それでも、大切な誰かとの出会いは、きっと“これから”を変えてくれる。


エリスの旅は、まだ始まったばかりです。

彼女がこれから何を見て、何を守るのか――

ぜひ、これからの物語にもご期待ください。


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