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商品
豪華絢爛な三基のシャングリラが遥か頭上から、オニキスピンクの大理石の床と壁を壮麗に彩らせる馬蹄形の会場は、二階と三階に設けられているボックス席から、舞台となる一階全体を見下げる。
まるで舞踏会会場のようなここで、闇オークションが行われており、招待客及び従業員同様に仮面を着けたオークション司会進行役、通称オークショニアが、十番目となる商品の紹介を声高々としていた。
(しくっちまった、なあ)
以前は二階のボックス席から一階を見下げていたのだが。
今は一階から二階三階のボックス席を見上げる立場となってしまった、つまりは、商品として競売にかけられる事になってしまった男の名前は、律希。
点滅する眩い光に意識を奪われそうになりながらも。
点滅する眩い光から逃れる事はせず真っ向から見据え続けていたのは。
(あ~あ。早く助けに来いよ、暖)
肩書が未だに定まらぬ男をいち早く見つける為であった。
(2024.12.23)