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憎恨恋愛




「貴様に損害賠償金を請求するからな」

「損害賠償金ですか?」

「ああ。貴様は俺が買ったって言っただろうが。もう忘れたのか?」

「え? あ。ああ。そう、でした。けど。え? もうチャラになってたんじゃないでしたっけ?」

「チャラになってねえわ。百万トッテ」

「元の世界に戻ったら働いて稼いで返します」

「はあ? 返すな。貴様は百万トッテで俺が買ったんだ。貴様は俺のものだ。分かるな?」

「えええ? じゃあ、損害賠償金って何ですか?」

「右腕」

「え?」

「貴様の右腕も無論、俺のだったってわけだ。それを貴様は勝手に消滅させた。俺のものを勝手に消滅させた。ゆえに、損害賠償金を請求する」

「僕、無一文ですけど」

「それを言うなら俺もだ。もう親父も人魚も俺に援助しないどころか、財産も没収している事だろう。無一文だ。財産はお互いしかないってわけだ」

「桔梗大太刀もありますけど」

「それ、売っ払うか? 俺たちの逃亡劇に邪魔だな」

「何言ってるんですか? これがないと闇の世界から抜け出せませんよ。そもそもこの状況も乗り切れませんし」

「俺が居れば十二分だろ」

「否定はしませんけど。でも。それだと僕はお荷物にしかならないので、嫌です。僕たちには桔梗大太刀が必要です。売り払いません」

「っちぃ。天使も巨人も悪魔も貴様にべったりなのが気に喰わん」

「単に早く僕の肉体に下りて僕たちの願いを叶えて自由になる為に、僕に地獄地獄地獄の特訓を課しているだけじゃないですか」

「はあああああ。貴様は本当に朴念仁だなあ」

「どうせ僕はあちらこちらとぽろぽろぽろぽろ抜け落ちていますよ」

「そうだ。だから貴様には俺が必要なんだ。損害賠償金を払う義務もある事だし、一生、ドカドカ、俺の傍で生き続けねえといけねえんだよ」

「………元の世界では桔梗大太刀は使えませんよ。天使も巨人も悪魔の力も使えませんよ。弱くて情けないだけの僕になりますよ。頑張りますけど。すぐに見限りたくなるかもしれませんよ」

「ほおおおお。だんはそこまで俺に離れてほしくないのかあ?」

「はい。どうしてか、分かりませんけど。律希りつきさんの傍に居たいです」

「おう。好きなだけ居ろや」

「………はい」


 闇オークション会場を出た途端に、襲いかかってくる山ほどの刺客を、律希は素手で、暖は鞘を納めたままの桔梗大太刀を使って気絶させ続けていた。


「律希さん。絶対に、一緒に、おわっ。すみません」

「おう。気にすんなや。絶対一緒に大学に行くんだろ」

「はい」


 律希と暖は足を止めず、地に倒れていく刺客に背を向けて走り続けたのであった。

 時に隣り合わせで、時に背中合わせで、時に身体を預けて、時にお互いを見失って。

 ずっとずっとずっと走り続けるのであった。


「暖」

「はい」

「ありがとな。俺を。闇の世界に引きずり込んだ俺が、憎くて、憎くて、恨めしくて、仕方ねえだろうに。俺を。助けてくれて。本当に。ありがとうな」

「憎んでますよ恨んでますよこれでもかって僕がお金使い込んだから悪いのは重々承知ですけどでもだからってこんな仕打ちあんまりだってでも………律希さん。泣かないでください。僕も。涙が。涙で刺客が見えなく。ぐずっ。うう。ヴ。分かんないですけど。どうしてか。分かんないですけど。あなたふぁ欲しくなっちゃったんだから仕方ないふぁないですかあああああ!?」

「………ばかたれ。鼻提灯作りながら。滝の涙流しながら。こんな。刺客だらけの処で。言うんじゃ。ねえよ」











(2025.1.3)




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