おわりに~両手いっぱいの可能性と夢と
さてさて。
トンデモ含めてみっつばかり、仮説を立ててみましたが。
別に、だからどうだということもありません。← おい…
ただ単に、あーじゃないかこーじゃないかと考えたことをバクッとまとめたという、早い話が自己満足です~、スミマセン。
そもそもこのへっぽこ考察を思い付いたきっかけは、この連載の最初の方で書いた、とある長編の逆ハー物のお話にあります。
ヒロインが異世界に転移し、その世界は何故か女性が生まれにくくなっていて……という、異世界での逆ハー物によくある設定だったのですが。
彼女がそちらへ転移した理由には、この世界での勢力争いとかが複雑に絡み合っている雰囲気がベースにありそう……というストーリーでした。
しかしそれはそれとして、ヒロインの前に次々とイケメンが現れては彼女に求婚し、あれよあれよと言ってる間に夫が増えて……という流れで、基本のお話が進んでゆきます。
一見チャラく見えるイケメンだけど彼女には一途な夫、質実剛健タイプのさわやかな騎士様の夫、身分が高くて強面(だけど、顔の造作そのものは綺麗)の上、コミュ障っぽい口下手のせいもあってツンデレみのある年上夫、すごい美形の王子様だけど筋金入りのヤンデレで、彼女にちょっと嫌われただけで食事ものどを通らないくらい病むという困った年下夫……などなど。
属性といいビジュアルといい、もはやいい男の見本市ですかというくらい、よりどりみどり(笑)。
この世界のこの国の、そこそこ身分のある未婚のいい男はみんな彼女を愛し、夫になりにくるって感じでしたね。
(元々この世界は女性が極端に少ないので、一妻多夫が当然で合法)
最初は彼女もメンズたちに押されて仕方なく、中盤からはそれぞれの夫の良さを見出して愛するようになります。
まあ、夫の数がせいぜい片手で済めばまだ追いかけられそうでしたけど。
陰謀やらなんやらが徐々に明らかになるにつれ、当然夫の数も増えてきて……ヘタレな私は疲れ始めました(笑)。
そして、伏線上出て来ざるを得ない運命の、陰謀がらみのキーパーソン・偉い神官さん。
コイツも、密かに前からヒロインのことが好きだった訳ですが、素直じゃない性格なので彼女に対し、アホだのバカだのマヌケだのと暴言を吐く、モラハラ気質のツンデレ男。
他にも、軽くDV臭ただようヤンデレみのある年下男も、意味ありげにチョロチョロと彼女の周りに出てきたりし始め、ついに私は嫌になりました。
(いくらキャラを立たせる必要があっても)こんなのまで夫として遇しなくちゃならないのなんて、イヤー!と(笑)。
まあその。
私も一応、書き手ではありますので。
作者様の苦労も幾分かはわかります。
せっかく書くんですから、ヒロインの夫役であるにーさん(おじさん?)たちに明確な個性や役割を持たせたい、様々な読者様の様々な性癖に正しくぶっ刺さるキャラを作り出し、楽しませながらエンタメしてゆきたい、そう思って書くでしょう。
そこは……単純にすごいです。
私には出来ない技だとも思いますし。
少なくとも、敵役ならいざ知らず、モラハラ男やDV予備軍の雰囲気のある青少年を、ヒロインの夫として(最終的には)魅力的に描く、自信はないです(苦笑)。
ちょっと脇道の話が多くなってしまいましたが、つまり。
この世界観の中では、ヒロインは『唯一の伴侶』を決める必要はありません。
むしろ決めた方が非人道的といいますか、他の夫の人権を無視するなと糾弾されかねない、そういう世界です(笑)。
それはまあ、そういう世界のお話だね、ですけど。
あえて私は思います。
何故また、そこまで数多くの(下手すると際限なく増える)夫の、相手をせにゃならんのだ? と。
いや、そりゃそういう設定のお話だし……ですよね、わかってます(笑)。
もし。
現在の日本のように、法的に重婚が認められていない世界ならば。
若く美しい頃に、いくら数多くのイケメンたちが自分に傅き、妍を競う(普通は女性に対する形容ですが、まあここでは男性に使わせてもらいますw)状態であったとしても。
(『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラみたいな感じでしょうか?)
ひとりしか選べないとなると、他のイケメンはもったいないけどあきらめるしかありません。
しかし、Aくんがいいと選んだけれど、五年後十年後にはBくんやCくんの方がずっと羽振りのいい、しかもいい男になってるという可能性もあります。
あああ失敗した、なんでまたAを選んだんだと悔やむということもあり得ます。
かと言って、BやCのどちらかを選んでみても、やっぱりAが良かったとか、Dって年齢重ねると渋さが増していいねとか思うかもしれない……などなど、モテモテのヒロインさん(笑)は懊悩します。
そんな時、こういう社会(一妻多夫が合法)だったらどんなにいいだろうと、ヒロインさんは夢想するかもしれませんね。
でまあ、別にモテモテのヒロインさんじゃなかったとしても。
『選ぶ』ことによってそれ以外を『捨てる』『諦める』ことに、私が若い頃よりも苦痛を感じる人が多いのかもしれないなア、と、ふと思いました。
今、多様な在り方を認めようという風潮の社会へ移行しつつあります。
多様な在り方、には、ある意味正解がありません。
Aが正解、と、社会が認めてくれれば安心できるのに、BもCも正解だよと、反対側から誰かが言い出す、そんな雰囲気が社会にある気がします。
自分にとってはAが正解だと思っていても、Aなんざ選びやがってと指差して嗤う者が絶対います。
人間の社会なんて、ホントは昔からそうだったのでしょうが、SNSの影響もあり、不特定多数の声がダイレクトに届きやすくなってきて……余計に選択し辛い、正解のわからない、世の中になっているのかもしれないなア、とも思います。
数多くの異性(恋愛対象者)とは、数多くの選択肢とか可能性の暗喩。
どれかひとつを選ばされることもなく、どれもこれも自分のもの。
そんなの現実では不可能だけど、全部抱えていられるという、夢のようなこの世界から離れたくない。
すべての自分が受け入れられ、自分の夢のすべてを手放す必要のない世界。
ハーレムもしくは逆ハーって、そういう世界なのかもしれないな。
最終的に私は、そんな風に思いました。
もちろん、これが正解かどうかわかりません。
単なる私見、単なる一個人の戯言です。
この戯言で楽しんでいただけたのでしたら幸甚です。
ハーレムもしくは逆ハー愛好者の方、明後日の方向の理解であったらすみません。
野暮がなんか言ってやがらァ、と笑って流して下さいませ。
ここまでお付き合いいただき、どうもありがとうございました。